2009年10月31日

青汁1年生

●初めての青汁●

 美容と健康のため、青汁を飲み始めて半年が過ぎた。
 著しい効果は感じられないが、以前よりも顔色がよくなった気がする。このまま続けて様子を見るつもりだ。

 青汁。
 一度聞いたら耳にこびりついて離れない、強烈なインパクトのある名前である。おしゃれじゃないし汚らしいネーミングだけれども、それを逆手にとって、いかにも体に効きそうなイメージがある。
 ドラッグストアに行って、何種類もの商品が並んでいるのには驚いた。「えっえ〜、どれにしよう??」と悩んだ末に購入した、4種類の青汁について評価をしてみたい。


●青汁の基準●

 私が青汁を選ぶ基準は、パッケージの写真と価格、形状である。
 初心者なので、高価な商品は敷居が高い。今の時点では、せいぜい1500円までが妥当だろうか。形状は、スティックタイプの個装になっているものがいい。ゴミが増えるという欠点はあるけれども、湿気で固まることもなく、毎朝手軽に飲むことができる。
 あとは、外箱のイメージで決める。
 栄養成分については特に気にしない。あれこれ書いてあっても、私の乏しい知識では理解できないからだ。
 封を開けたら、当然のことながら、溶けやすさと味を重視する。わずか4種類のうちでも、溶けやすさには雲泥の差があった。さらに、味にも個性が見られる。もちろん、好みは人それぞれだから、あくまでも私の嗜好で格付けをしたい。


●大麦若葉●

大麦.jpg

 最初に買ったのは、山本漢方製薬株式会社の「大麦若葉」という青汁である。
 抹茶の風味が生きていて、飲みやすく美味しい青汁だった。ただ、いまひとつ溶けにくいのと、袋の中身がスムーズに出てこないところが欠点だ。空になったと思ったら、残っていた粉末をぶちまけた、なんてこともあった。

(評価)満点は★5つ
◇味    ……★★★★
◇溶けやすさ……★★★
◇価   格……★★★★
◇扱いやすさ……★★★★


●クロレラ青汁●

クロレラ.jpg

 これは最初の1包を飲んで、買ったことを後悔した商品だ。大麦若葉と同じ、山本漢方製薬株式会社が製造しているにもかかわらず、似ても似つかぬ性質を持つ。
 まず、水にも牛乳にも溶けづらくて困る。シェーカーを使ってもつぶつぶが残るのだから、相当頑固な粉末だ。
 そして、口に含むと、やけに青臭くて噴き出しそうな味である。しかも、大麦若葉が100ccの水か牛乳で溶くのに対して、こちらは150ccと多い。つまり、それだけ苦しみが長く続くというわけだ。
 値段は大麦若葉と同じ1000円程度だが、この味とつぶつぶを何とかしていただきたい!!

(評価)満点は★5つ
◇味    ……★
◇溶けやすさ……★
◇価   格……★★★★
◇扱いやすさ……★


●ヤクルト 私の青汁●

ヤクルト.jpg

 よく計算され、工夫されている青汁である。袋の破きやすさもさることながら、粉末がサラッとしており、切り口を下に向ければ中身がたやすく落ちてくる。
 シェーカーを数回振るだけで、粉末は跡形もなく溶けてなくなる。

 素晴らしい……!!

 さぞかし美味だろうと思いきや、水っぽくて味が薄かった。自己主張が足りないというか、やや控え目な青汁といえよう。
 価格は1500円くらいで、多少、割高感がある。

(評価)満点は★5つ
◇味    ……★★★
◇溶けやすさ……★★★★★
◇価   格……★★★
◇扱いやすさ……★★★★★


●ケール粉末●

ケール.jpg

 これも、山本漢方製薬株式会社の商品だ。パッケージが大麦若葉に似ていると思ったら、味まで似通っていた。値段もほぼ同じである。
 しかし、抹茶が印象的な大麦若葉に比べて、こちらの味は、ケールの緑が主役となっている。青汁らしいといえば、らしい。
 溶けやすさは、大麦若葉と大差ない。機嫌が悪いとつぶが残るけれども、大概、キレイに溶けて飲みやすい。

(評価)満点は★5つ
◇味    ……★★★
◇溶けやすさ……★★★
◇価   格……★★★★
◇扱いやすさ……★★★★


●これからの青汁●

 どうやら、私は最初の「大麦若葉」が一番気に入っているようだ。
 馴染みの青汁を毎日飲むのも悪くないが、さらに上の青汁を探してみたい気もする。
 瓶や缶に入っている液体タイプのものや、3000円くらいの高価なものはどうだろう?

 おすすめの青汁があれば、ご一報いただけると幸いです!!

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2009年10月24日

餃子は見た目が10割

●本日のランチメニュー●

 今日は、中学生の娘がお昼で帰ってくる。
 せっかくの土曜日なのに、午前中はクラブなのだ。
「お昼は何がいい?」と聞くと、「ラーメン」という返事が返ってきた。
 この頃、すっかり秋めいて、長袖でも肌寒いくらいだから、体が温まるラーメンは私も食べたいと思う。

 そうだ、久しぶりに餃子を作っちゃおうかな〜!

 ラーメンと餃子、本日のランチは、このベストカップルに決めた。


●経験者●

 子供の頃、母や姉と一緒に、よく餃子を作ったものだ。当時は加工食品も少なく、美味しい餃子を食べるなら手作りが一番だった。
 たしか、50枚入りの皮を買っていたのではないだろうか。丸い皮の中央に具を載せ、片側にひだを寄せてとじていく。そのとき私は小学生だった。ひだのない、のっぺりした餃子になったり、左右非対称のひだになったりと、散々苦労したおぼえがある。
 2歳上の姉は手先が器用で、ちまちまとした作業が得意だった。売り物のような餃子を次々と完成させるところを、私は横目でチラ見するしかなかった。でも、私が作ったいびつな餃子を、父は「うめえぞ」と言って笑いながら食べてくれた。

 そんなことを思い出しながら、餃子作りに取りかかる。
 今日の餃子は、カロリーの低い「野菜餃子」だ。まずは材料をみじん切りにすることからスタートした。


●作り方●

 白菜は茹でてから、ニラ、長ネギ、椎茸はそのままみじん切りにする。

野菜2.jpg

 本当は干し椎茸を使うのだが、生椎茸があったのでそちらにした。厚みがあり、みじん切りには向いていないと、あとから気づいた。やはり干し椎茸を使うべきだったようだ。

野菜1.jpg

 材料を切るだけで、実に1時間近くかかってしまった! みじん切りが簡単にできる道具が必要だ。
 次に、豚挽肉と調味料(醤油、酒、ごま油、塩)それから生姜とニンニクのすりおろしを用意する。

材料.jpg

 挽肉を混ぜ、粘りが出たら、調味料、生姜とニンニク、野菜を入れて具を作る。
 今回用意した餃子の皮は18枚入りだ。

皮.jpg

 餃子を手作りする人が少ないのか、売り場には賞味期限の迫った皮ばかりが割引価格で並んでいた。24枚入り、50枚入りもあったが、わが家は3人家族だから、そんなに食べきれない。
 テーブルに皮を並べ、具を載せていく。夫は夜にならないと帰らないので、私と娘の分、10個だけを作ることにした。

タネ.jpg

「ただいま〜♪」
 モタモタしていたら、娘が帰ってきた。「まだできてないの?!」と文句をつけられると思いきや、「ミキも作ってみたい」とお手伝いの申し出があった。

 うれしい!!
 
 手を洗い、さっそく閉じ方のレクチャーだ。
「皮のふちに水をつけて、ひだを寄せるんだよ。プリーツスカートみたいに。右からでも左からでもいいから、口をしっかりくっつけて」

包む.jpg

 見本で1個作ってみた。久しぶりだったから、あまり上手にできなかった。
「お母さん、中身がはみ出ちゃうよ」
「本当だね。ちょっと減らそうか」
 どうやら、具の量が多かったらしい。スプーンですくい取ったら、無事に口がくっついた。
「ねえ、これどう!?」

できた.jpg

 ミキは初めて作った餃子に興奮気味だ。私が最初に作ったときは、ひだができなかったから、これくらいできれば上々だろう。
 まあ、売り物にはならないだろうが……。
「うん、上手上手。この調子だよ!」
 ミキはすっかり気をよくして、苦労しながら残りの餃子を仕上げてくれた。
「できたーっ!!」

焼くだけ.jpg
 
 必要以上に力が入ると、餃子がぺちゃんこになる。
「ねえ、この餃子、やけに平べったいよ……」
 中にはワンタンのような餃子もあったが、もう手遅れだ。お腹も空いたことだし、さっさと焼いてしまおう。
 野菜が多いと、火の通りが早くてよい。生焼けの心配もいらないし、パリッと仕上がり、大いに食欲を刺激された。

完成.jpg

「うわー、美味しそう!!」

 先ほどまでの不良品餃子はどこへやら、焼いてしまえば、たちまち美人餃子の出来上がりだ。
 ニラの香りが口いっぱいに広がり、ごま油の香ばしさ、野菜のあっさり感が病みつきになる。


●具の悩み●

 夜、娘がまた餃子を作ってくれた。今度は、夫の分の8個を焼くからだ。
 しかし、皮がなくなっても、具が大量に残っている。
「お母さん、これどうするの?」
「そうねぇ、凍らせておいて、また来週使おうか?」
 今度は24枚入りの皮を買った方がよさそうだ。

 母の手伝いをしたときも、具の調整が大変だった。
 苦し紛れに、皮を2枚合わせて、間に大量の具を詰めたことがある。まるで、どら焼きのような餃子だった。
「何これ、すごく変〜!」
 あまりにも見た目が悪く、誰一人として手をつけなかった。
 たしか、母が責任を取って食べたのだっけ。

 夫が帰宅し、焼きたての美女餃子に感激した。
「えっ、ミキが作ってくれたのか? 上手だな!」
 一つ口に入れて、感激のあまり、なかなか声が出てこなかった。
「……すごく美味しい」
 目を閉じ、うっとりした表情で夫は言った。

 そうでしょ、そうでしょ。
 餃子に限らず、料理は見た目で味が左右されるからね。
 『鶴の恩返し』よろしく、焼く前は決して覗かないように……。

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2009年10月18日

レアなネクタイを持つ男

●あなたのネクタイは何本ですか●

 友人が日記に「朝、ネクタイを数えたら78本あった」と書いていた。
 すごい数だ!
 がぜん興味をそそられ、一体わが夫は何本持っているのか知りたくなった。

 夫が出かけた昼下がり、こっそりタンスを開けて数えてみる。
 1、2、3、4……。
 夫は体育の教員だったから、民間企業で営業をしている友人の足元にも及ばない。
 20、21、22。
 なんと、たったの22本だった……。
 うーん、可哀想に。今度、クリスマスにはプレゼントしてあげないとダメかな?


●バレーボール関連ネクタイ●

 夫は長らくバレーボールの仕事に関わってきた。引退した今も、NPOで活動中である。
 だから、こんなネクタイを好む傾向が見られる。

バボちゃん.jpg

 バボちゃんネクタイ……。
 いい年をしたオッサンが、この手のネクタイを自慢げにしているのはどうかと思う。
 さらに、「第5回 男子バレーボールアジア選手権大会」の記念ネクタイも持っていた。

アジア.jpg

 これは色とデザインが許容範囲である。まあよしとしよう。
 1997年なみはや国体の記念ネクタイはどうだろうか。

なみはや.jpg

 ちょっと色のバランスが悪いんでないかい?
 これはタンスの肥やしにしていただきたい。
 変り種では、「全国高体連バレーボール専門部50周年記念」が面白い。

高体連.jpg

 何で、おんなじネクタイが2本もあるんだろう??
 余ったのだろうか……。

 不思議なことに、バレーボール関連のネクタイは、どれもこれもストライプである。夫はこの柄が好みと見え、バレー以外にも、自分で5本もストライプのネクタイを購入したようだ。

ストライプ.jpg

 つまり、22本中、11本がシマシマというわけではないか。
 ストライプ率50%!!
 高ッ。


●男を上げるネクタイ●

 これは、私が夫への誕生日プレゼントとして買ったネクタイだ。

IMG_1665.JPG

 初めて異性にネクタイを選んだので、わけがわからず、素直に店員さんの言うことを聞いた。たしか、新宿の小田急百貨店だったと思う。私はペイズリーが好きなので、「これはいかがですか?」と勧められ、すぐに気に入った。
 他のものを見てもピンと来なくて、わずか5分ほどで「これください」となったから、今にして思えば男の買い物だ。
 これは「マリ・クレール」である。

IMG_1667.JPG

 こちらも店員さんに選んでもらって決めた。水彩画のような淡い色彩が、スーツの色を選ばない。紺にもグレーにも合い、夫も気に入ってくれた。
 このコンビも私の好みだ。

IMG_1670.JPG

 左が「レノマ」で、右が「ケンゾー」。生地も柔らかく、締めた感じが心地よいと言っていた。
 もらったのか、自分で買ったのか、わからないネクタイもある。

IMG_1681.JPG

 存在感がないというか、無難線というか……。
 私だったら、絶対選ばないタイプだ。


●個性派ネクタイ●

 夫は慶事に白いタイをしない。
「銀色がおしゃれでいいんだよ」と聞かされたことがある。

慶事.jpg

 うん、たしかにいい感じだ。
 余談だが、以前、実務技能検定協会主催の秘書技能検定で、「弔事の服装として正しいものを選びなさい」という問題があった。選択肢として、「黒いスーツとワイシャツ」「ブラックフォーマルと真珠のネックレス」などの他に「白と黒のストライプのネクタイ」というものが並んでいた。
 私は問題を読んで噴き出した。幕じゃないんだから、白黒のネクタイなんて選択肢をよく思いついたと感心したのだ。しかし、中には引っ掛かる生徒もいて、解答欄に3番と記入してしまった。
 あり得ない……。

 このネクタイも驚きだ。

唐草.jpg
  
 夫が選んだものらしいが、アラベスク調とでも言えばいいのだろうか? なかなか強烈な柄である。一体どんなスーツに合うのか、見てみたい。
 これも夫のチョイスだが、色違いで揃えるほどのものなのか?

菊.jpg

 菊かガーベラかは不明だが、黄色いほう1本で十分という気がする。
 私の母が土産に買ってきた「黄八丈」のネクタイもある。

IMG_1675.JPG

 母のセンスは最悪で、竜のプリント柄だの、紫が基調のドギツいデザインだのと、まるでチンピラのようなネクタイを選ぶ傾向がある。どこかに旅行するたびに、「どこにしていけばいいんだ」と困惑させるネクタイを買ってきて、夫に渡すことがあった。
「悪いけど、捨てちゃっていいかな」
 しばらくの間、律儀に取っておいた夫だが、数年前、ついに廃棄処分となった。
 しかし、この黄八丈だけは残したようで、ときどき締めることもある。母も、これさえあれば、他のネクタイも残っていると思うようだ。
 なかなかずる賢い。
posted by 砂希納言 at 00:03| Comment(2) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月10日

メイキング・オブ・音楽会

●連合音楽会●

 中学で吹奏楽部に所属している娘が、区主催の連合音楽会というイベントに参加することになった。
「お母さんも見に来てね」と言われたものの、音楽会は平日だ。どうにか仕事をやりくりして、区の文化センターに行く手はずを整えた。
 しかし、運悪く、その日は非常に強い台風18号が日本列島を縦断した日であった……。

 朝9:30開演のはずなのに、前日の連絡網で「正午に中学校集合」という電話が回ってきた。どうやら、風雨の激しい午前の部は中止にして、午後の部だけを実施することにしたらしい。文化センターはすでに予約でいっぱいだから、他の日にスライドすることもできない。苦肉の策なのだろう。
 たまたま、娘の中学は、午後の部だったからよかったけれども、午前の部だったら悲惨である。こればかりは、運としかいいようがない。


●パンの日●

 私の職場の近くに、種類が豊富でとても美味しいパン屋さんがある。週に1回、職場まで届けてくれるセットがあり、同僚6人と頼んでいる。
 ちょうど、音楽会の日がパンのお届け日となっており、私は焼きたての5個のパンを持って文化センターに向かった。駅に着くまでは、柔らかなパンの香りで気持ちが和んでいた。
 自動改札を抜けると、一転して不穏な空気が漂ってきた。JR各線が運転を再開し始めたのはよいが、数え切れないほどの人がホームにあふれているのだ。しかも、到着した電車は、すでに満員だった。
 できるだけ早く会場に行きたかったから、私はその電車に乗りたいと思った。問題はパンだ。左手でガードしようと頑張ったが、押し寄せる人波には勝てるはずもない。

 パンが〜!! つぶれるぅ〜!!

 さっきまで、いい感じに膨らんでいたレーズンパンもカレーパンも、電車を降りる頃には、お焼きのような薄さになってしまった……。
 まったく、罪作りな台風である。


●各校の演奏●

 吹奏楽は、クラシックが多いのかと思ったら、そうでもなかった。
懐かしいアニメソングの「タッチ」や、「キューティーハニー」があり、聞いたことのある「PECORI NIGHT」「ビリーブ」などもあった。もちろん、「仮面舞踏会」よりワルツ・ギャロップ、「アルヴァマー序曲」といった吹奏楽らしい曲も楽しめた。
合唱部が「校歌」を披露した学校は新鮮だった。私は音楽に詳しくないけれども、どの学校もよく練習していて、いい演奏だったと思う。中学生といえども、レベルが高いのだ。
 指揮は、顧問の先生がするようだ。ある学校ではベテランの男性であり、またある学校では若い女性であったりと、個性が目立って興味深かった。
 
 今回はなかったが、吹奏楽の大会では必ずといっていいくらい、「ルパン3世のテーマ」が演奏されることが多い。なぜ人気なのだろう? 前任校でも、その前の学校でも、「ルパン」は必修のように選曲されたのだが……。


●指揮者の正体●

 トリの学校は得だ。すべての中学の演奏が終わると、会場内の参加者が起立して、全員で合唱するのだが、このときの演奏も任される。今回は、たまたま娘の中学がトリだったから、親としてはありがたかった。
 双眼鏡で舞台を見ると、家では見られない真剣な表情で、楽器を奏でる娘がいた。隣にいる先輩や、後ろにいる友達も、真面目な顔で集中していた。
 全員合唱のときだけ、指揮者が顧問の女性の先生ではなく、小太りの男性となった。不思議なことに、どこかで見たおぼえがある。でも、誰かはわからない。
 合唱が終わったあとで、司会から紹介があった。
「指揮は○○中学校の校長先生でした」

 ああ、そうだ!! 校長だった!

 何と、娘の学校の校長が指揮をしていたのだった。道理で、見覚えがあるはずだ。
 
 その日の夕食は、音楽会の話題が中心となった。
「ねえ、校長先生が指揮をしていたけど、吹奏楽をやったことがあるのかな?」
 私の質問に、娘は冷たく答える。
「全然ないってさ」
「そうなの? 普通に指揮できてたと思うけど……」
 娘はククッと笑いだし、裏話を披露し始めた。
「本当はね、前奏が終わったら、観客席を向いて指揮しなきゃいけなかったの」
 たしか、校長は、何度か観客席を向いたが、またすぐ舞台の方に向き直ってしまったのだ。
「舞台の端にいた先生が、一生懸命手振りでサインを送ってたのに、気がつかなかったんだよ」
 顧問の先生2人が校長に、観客側を向くよう、腕を伸ばして裏返しにするゼスチャーを繰り返したのだという。ゆとりがなかったのか、はたまた自分に酔っていたのかは不明だが、校長はなかなか前を向かなかった。
「先生が2人して同じ動きをしていたから、面白くて、笑いをこらえるのが大変だった〜」
 顧問2人は、シンクロナイズドスイミングのように、同時に右手を上げ下げしたり、左手を大きく回したりして、図らずも息がピッタリの場面を披露したらしい。

 私だったら、演奏そっちのけでゲラゲラ笑ったかもしれないな……。

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2009年10月03日

月見(えなかった)団子

●月見団子●

 本日、10月3日は、中秋の名月だ。
 これは、農作物の収穫を祝って名月に供え物をするという、古来からの風習である。
 ちょうど土曜日ということもあり、中1の娘を「一緒に、上新粉からお団子を作ってみようよ」と誘っていた。
 しかし、今日になって、「友達と遊ぶことにしたから、お母さんが一人で作って」と裏切られた……。
 クソッ! 
 私は、用意していた上新粉を取り出し、一人淋しく団子作りに挑戦することにした。


●団子レシピ●

 まず、上新粉300gに水220ccを加え、混ぜる。

水を加える.jpg

 手で押し出すように生地をまとめ、ひとつにする。

生地1.jpg

 たっぷりの湯を沸かし、一口大にちぎった生地を茹でる。5〜6分経って浮いてきたら、さらに1〜2分茹でる。

鍋.jpg

 しかし、6分経っても生地は浮いてこなかった。菜箸でつついてみたら、底にくっついていただけだった……。
 茹でた生地をボウルに入れ、すりこぎでつぶすと書いてあるが、濡れた生地はスルリと逃げてしまい、なかなかつぶせない。やっとのことでつかまえてつぶしても、また次の生地に逃げられてしまう。
 私はだんだんイライラしてきた。仕事でねばり強さを発揮する分、プライベートではえらく短気なのだ。

 ええい、もう我慢できない!! ポテトマッシャーだぁ!!

 私はすりこぎを流しに放り投げ、ポテトマッシャーを出した。つぶすという行為が目的ならば、この器具が一番のはずではないか。

マッシャー.jpg

 案の定、ポテトマッシャーは絶大な威力を発揮し、次から次へと生地を平らにしていった。どうして、最初からポテトマッシャーと書かないのだろう?
 理由は間もなくわかった。つぶれた生地がマッシャーの穴にはまり込み、取れなくなったからだ。これを使えば作業は早いが、生地が少なくなってしまう。

 ミニ・マッシャーくらいなら大丈夫かも……。

 つぶれた生地を、今度は手でこねる。水をつけて、平らなところで滑らかになるまでこねるのだ。が、そう簡単に書いてほしくなかった。
「あちちちち!!」
 茹でたての生地は、まだ熱かった。まるで、熱々のご飯でおにぎりを作るようではないか。手に水をたくさんつけて、冷たい台に押しつけていたら、ようやく生地が冷めてきた。
 でも、冷たくなると、成形しづらくなりそうだ。温かいうちに手早くこねるのが正解だろう。

生地2.jpg

 生地が滑らかになったら、団子状に丸める。300gだと、団子24個分らしいが、ちょっと大きめにして、20個の団子にしてみた。

お供え.jpg


●お味のほどは●

 団子が完成したというのに、月が出ていない。まったく見えないわけではないが、雲の切れ間から、気まぐれに顔を覗かせるくらいだ。
 しかし、月を気にしているのは私くらいで、夫も娘も団子ばかりを見つめている。
「お母さん、いつ食べるの?」
「うーん、夕飯が終わってからかな?」
「早く食べたーい!!」
 餡をかけても美味しいが、やはりみたらし団子だろう。
 砂糖と醤油を煮詰めて、トロリとしたタレを作った。

みたらし.jpg

「いただきまーす!」
 一口食べて、苦労した割には普通の味と知る。もうちょっと、上新粉に加える水を増やしたほうがよかったのかもしれないし、ポテトマッシャーを使わないほうがよかったのかもしれない。
「美味しいよ、これ」
 夫と娘は喜んで平らげたが、私は素直に喜べなかった。

 買ったほうが美味しいかも……。

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2009年09月26日

お財布劇場 〜紙幣の偉人たち〜

●財布の中の人間模様●

 はたして、福沢諭吉を嫌いな人がいるだろうか。少なくとも私は大好きだ。ことに、お財布の中の諭吉は。
 しかし、一葉や英世を軽視してはならない。
 今日は皮膚科に行く日だが、お財布を見て焦った。

 やばい、諭吉しかいない……。

 予約時間は9:15だ。朝っぱらから万札を出したら、嫌な顔をされるのは必死……。
 私の基準では、1000円以上なら万札で支払ってもよいが、1000円未満では遠慮すべきだと考える。小銭を勘定してみると、100円玉が10枚ほど……。

 よし、何とかなるだろう。

「570円です」
 医院での支払いは小銭ですませた。あとは薬局の薬代だ。
「1040円になります」
 よっしゃー!! と心の中でつぶやき、私は諭吉を取り出した。
 これにて、一件落着。


●遅刻しそうな朝は●

 私の職場は最寄り駅から遠く、歩くと20分ほどかかる。一つ先の駅からバスが出ているが、混むし時間がかかっていけない。
 大雨の日はタクシーが頼りだ。以前、タクシー乗り場の行列にウンザリし、短気を起こして歩いたことがあった。職場に着いたときには、ジーンズの膝から下がびしょ濡れになり、風邪をひきそうだった。無理をするとろくなことがない。
 その日も雨が強かった。「よし、タクシーで行くぞ」と決めたものの、財布の中を確認すると、漱石がいない……。一葉も姿をくらませている。
 駅から私の職場までは、ほんのワンメーターだ。

 これは困った……。

 たしか、駅に小さなコンビニがあったことを思い出した。そこで何かを買って両替するしかない。
 改札を出てコンビニに入ると、予想以上に店舗が小さく、商品といえば飲み物と弁当類ばかりで欲しいものが見当たらかった。「どうしよう!!」と私は焦った。小走りでお菓子のゴンドラに行き、買えそうな商品を探してみると、キットカットの徳用袋が目についた。
「これだ!」と袋を鷲掴みにし、近くにあったサラダ煎餅と一緒にレジまで運んだ。金額は600円程度にしかならなかったが、タクシーで万札を出すよりはいいだろう。
 かくして私は英世をゲットし、ずぶ濡れにならずにすんだのだった。


●たこ焼き屋台にて●

 結婚してから6年間、埼京線沿線に住んでいた。私が使っていた駅では、夕方になるとたこ焼きの屋台が出て、ソースのいい匂いを漂わせていた。前を通るたびに「今度買って帰ろう」と思うのだが、仕事で遅くなったり飲み会があったりで、なかなか実現しなかった。
 その日は土曜日で仕事もなく、友達と会うために大宮まで出掛けた。独身の友達は8時9時まで遊んでいくが、私は夕食の支度があるので5時には帰る。最寄り駅で降りると、ちょうど屋台が営業を始めたところだった。私はお財布を取り出し、迷わず言った。
「ひとつください」
「400円です」
 当時、1000円札は夏目漱石だったが、運悪く財布の中にいなかった。かわりに、5000円札の新渡戸稲造がいたので、屋台のお兄さんにそれを渡した。
 しかし、渋い顔をされてしまった。
「ええっ、おつりないよ! 細かいのない??」
 私はあわてて小銭を確認した。100円玉と10円玉がいくつかあったが、400円にはならない。
「……360円しかないです……」
「あ、いいよ、それで」
 お兄さんは半端な小銭を受け取ると、焼きたてのたこ焼きを紙で包み、袋に入れてこちらに手渡した。
「まいどあり!」
 いいのかな〜? と思いつつ、お言葉に甘えて、ホカホカのたこ焼きを持ち帰った。家にいた夫と半分こして食べると、たこが大きいせいもあり、やけに美味しく感じられた。

 得した気分が調味料になったのかな?


●偉人の名前●

 現在流通している日本銀行券は、2004年11月1日より発行されたものだ。
 当時は私の職場でも、生徒たちが新しい紙幣を話題にしていた。
「先生、新しい1000円札、持ってる?」
「ううん、まだ」
「今度は誰になったんだっけ?」
「野口英世だよ」
 しかし、生徒は不思議そうな顔をして納得しない。
「ええ〜、ヒデヨ? 男なんでしょ? ヒデオの間違いじゃないの?」
「いやいや、ヒデヨっていう名前なんだよ」
「男なのに、ヒデヨなんて絶対変!!」
 私がいくら頑張って説明しても、生徒は受け入れず、多数決で「野口ヒデオ」になってしまった……。
 
 貨幣コレクターには到底及ばないが、私は昔のお金を持っている。

紙幣裏

 上が、1957年10月1日より発行の5000円札で、絵柄は聖徳太子である。これは新券なので、取っておいてよかった。
 下が、1953年12月1日より発行の100円札もある。こちらは新券ではないが、珍しいからといって父がくれたのだ。絵柄は板垣退助である。

紙幣表.jpg

 写真を撮っていたら、娘のミキが近づいてきた。
「あっ、お金だ!! なにこれ、見たことないよ」
 ミキは手を伸ばして100円札を取り、自信たっぷりに言った。
「これは、板垣ダイスケだね!!」

 ちげ〜よぅ……。


●高価な硬貨●

 父は、紙幣と一緒に硬貨もくれた。

硬貨.jpg

 上が昭和60年発行の内閣制度創始100周年記念500円硬貨、左下が昭和33年発行の100円硬貨、右下が昭和50年発行の沖縄国際海洋博覧会記念100円硬貨である。

 高校時代の友人の家に遊びに行ったら、古銭のコレクションが飾られていたことを思い出す。友人のお父さんがコレクターで、紙幣と硬貨、合わせて20枚ほどが額縁に収められていた。
 それはそれは、妖しく美しい光景だった。私は拝金主義者ではないが、お金の魔力と魅力に引き込まれ、何度見ても飽きなかった。
 貨幣は、芸術性と実用性を兼ね備えた、重要文化財並の傑作なのではないだろうか。

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2009年09月19日

この一年間の検索ワード

●一周年記念●

「いとをかし」ブログ開設より一年が経ちました!!
 週一回しか更新しないぐうたらブログにもかかわらず、しばしば足を運んでくださる皆様に感謝するばかりです! 本当にありがとうございます。
 今回は、この一年を振り返り、アクセスの多かった記事をご紹介していきたいと思います。


●検索ワードNO.1●

 なんといっても、「いとをかし」や「いとをかし 意味」を検索ワードにしてアクセスする人が一番多い。たまに「いとおかし」の方もいるのだが、おそらく「いとをかしではありませんか?」というメッセージが出ているだろう。
 このタイトルは、憧れの清少納言の『枕草子』の一節からいただいたのだが、同じ名前の喫茶店やブログがいくつかある。
 ちなみに、私のハンドルネームは「砂希納言」である。これもまた清少納言に由来しているのだけれども、実のところ「清 少納言」という区切りになるから、厳密にいえば「砂希少納言」が正しいわけだ。しかし、収まりが悪いので、少は割愛した。
 いっそのこと、「砂希大納言」にするべきだったか?
 アズキみたい……。

「笹木砂希」でアクセスしてくる人も多い。ご指名はありがたいが、「笹木」「笹木由美子」でいらっしゃった方もいた。「女子バレー 佐々木」というのも何度かあり、よくぞ私のブログにたどり着いたものだと感心する。
 笑ったのは「佐々木沙希」だ。

 全然違う字じゃ〜ん!!

 あとから、知人が私の漢字をうろ覚えで検索したのだと判明した。
 本当に、こんな名前の人がいたら面白いのに。
 もちろん、私はペンネームである。


●ウノアタック●

 次に検索率が高かったのがウノアタックである。
 2008年のクリスマスプレゼントに、娘のミキがウノアタックをもらったことから、「2人でウノアタック」(2009.1.12)という記事を書いた。
 これがヒットするする。「ウノアタック ルール」「カードシューター」「ディスオールカード」などなど、関心の高さを感じた。
 おそらく、購入する前に事前情報を仕入れようとして検索するのだろう。
 私は製造元の回し者ではないけれども、楽しさや面白さが伝わるエッセイになっていることを祈る。


●健康志向●

週末ジョギング」(2009.2.21)もヒットが多い。内容的にハウツーものではないので、読んでも得するわけではない。「私もやってみようかな」という気持ちになってもらえればうれしい。
 しかし、女性にとって、ジョギングは紫外線との戦いである。「スポーツしたいけれど、日焼けはイヤッ」という気持ちが伝わる検索ワードが飛び出した。
「ジョギング 日焼け サンバイザー」などは、おそらく同年代の女性が検索したと思われる。考えることは同じだ。
「ジョギング メガネ」も何回かあった。私はかけないで走る。汗をかいてずり落ちるからだ。コンタクトも入れないから、視界はとても悪い。
 実は、今はジョギングをしていない。もっと涼しくなってからにしよう。


●ちょっと驚き●

健康診断の舞台裏」(2009.4.26)という作品もアクセスが多い。これはネタがなくて、苦し紛れに書いたエッセイなので、「そんなに読んでもらわなくても……」と困惑気味になってしまう。
「心電図 収縮期雑音」「扁桃腺 右だけ 大きい」「扁桃腺肥大」「不整脈」など、おそらくは、わが子の診断結果を不安に感じているであろう親心が伝わってきた。
 その一方で、「女子 内科検診 上半身」といった勘違い系のワードもあった。私のブログはアダルトではないのでお間違えのないように!
 それにしても、「健康診断の紙忘れた」ってワードは、一体何なんだろう??


●実名ではありません●

ひと区切り〜娘の卒業式」(2009.3.29)では、卒業式で呼名される友達を仮名で書いた。よく、実名をあげていると勘違いされる方がいるので、冒頭に「ここに登場する人物はすべて仮名となっております」とお断りの文章を入れておいた。
 名前はすべて思いつくまま、適当に考えたのだが、やはり同じ名前の人がいるらしい。
「井上菜月」「石川彩香」という検索ワードがヒットした。
 きっと、自分あるいは知り合いの名前をキーワードにしたのだろう。通行人程度の役でよかった。
「小泉友則」というワードで検索した人もいる。私のブログで、小泉少年はPTA会長の息子役となっている。母親である会長が、卒業式の祝辞を読むのに、肝心の息子が発熱のため休んでしまうというエピソードだった。
 せっかく来てくれたのに、後味の悪い役で申し訳ない……。
 名前ひとつつけるにも、あり得ない名前にしたほうがいいのかもしれない。


●検索ワード大賞●

 ゴールデンウイークに東北自動車道で苦労した、「東北道快適ドライブ」(2009.5.10)も検索が多い。高速道路料金割引がアクセス増加を後押ししているのだろうか。
 昔、よく編んだ「セーター、いろいろ」(2008.12.26)も好評だ。夏場はさすがに読まれないが、これから涼しくなると、またアクセスが増えるだろう。

 それにしても、面白い語で検索する人がいるものだ。
 思わず笑ってしまった検索ワードをあげてみよう。

 3位 「チャームポイント 足の指」
    → やたらと手足の小指が短い人の話がヒットした。

 2位 「眼鏡をかけて人に会いたくない」 
    → 私がかけたのは、コンタクトの調整用のヘンテコ眼鏡である。

 1位 「ストッキングの上からキンカン」
    → 蚊に刺されたとき、キンカンはストッキングの上から塗れて便利なのだ。

 こんな風に、ブロガーは検索ワードの分析をしている。
 今後も、笑える検索ワードをお待ちしています♪

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2009年09月12日

問題の朝食

●実家の朝食●

 実家にいたときは、朝食の楽しみが何一つなかった。
「ご飯だよ」と母に呼ばれて食卓につくと、見覚えのある料理ばかりが目に入る。まさに、「たった今冷蔵庫から出しました」という状態の、内側に水滴のついたラップにくるまれた皿が無言で並んでいるのだ。
 おそるおそるラップを外すと、昨夜も登場した茄子のしょうが焼きがあらわれた。皮と醤油の色で茄子が黒ずみ、箸をつける気にもならない……。他の皿をのぞいてみると、焼きすぎたサケの切り身が入っていた。ラップをした時間が遅かったとみえ、水気を失った身が無様に反り返っている。
 他の皿はさらにひどく、3日間売れ残ったままの、きゅうりとわかめの酢の物だったり、乾燥して身と皮がはがれかけたカボチャの煮物だったりする。
 母の服と料理のセンスは最悪で、「どうせなら、大量に作って次の日の朝にも食べよう」と安易に考えるから、朝食は常に残り物のオンパレードとなるわけだ。
 ご飯も味噌汁も、夕飯の残りという悲惨さである。おかずには手をつけず、ご飯はふりかけを頼りに食べ、インスタント以下の、香りのない味噌汁を流し込んで学校に行った。
「おはよう!」
 途中で幼なじみの尚美と会い、おしゃべりをしながら歩いた。尚美には、聞いてはならぬことを口にするという才能があった。
「砂希ちゃん、今日の朝ごはん、何食べた?」
 私は答えに窮した。そのとき私は小学生だったが、平均的な朝食メニューくらいは知っていた。
「うーんと……。目玉焼きとご飯と味噌汁だったよ」
 とっさに嘘をついたが、尚美は容赦しない。
「えー、昨日も砂希ちゃんは目玉焼きって言ったよ。毎日同じメニューなの?」
「う、うん。ウチのお母さん、料理が下手クソだから」
「うちはね、玉子焼きと納豆と海苔とお新香だったよ。あと、リンゴも食べてきた」
 いーいなぁ〜〜!!
 私は尚美の母親を心底尊敬した。

 ときどき母自身も残り物にウンザリするのか、袋いっぱいにパンを買ってくることがあった。あんぱん、クリームパン、アップルパイ、カレーパン、メロンパンetc……。私だけでなく、姉と妹もこれを楽しみにしていたので、翌朝は取り合いである。早い者勝ちだから、私は必死で早起きした。
 食べ物への執念からか、私は一番に起きて、欲しいパンをゲットすることが多かった。
 そういう日は自分から尚美に、「今日はカレーパンとジャムホイップを食べてきた」と報告したものだ。


●新婚当時●

 結婚して家を出たとき、朝食はホテルのような洋食にしようと決めていた。野菜スープに玉子とハムをサンドしたクロワッサン、チーズ、フルーツ、ヨーグルトと温かいコーヒーで決まりだ。
 しかし、意に反して、夫は拒否反応を示した。
「オレは朝、気持ち悪くて何も食べられないんだ。朝食はいらないよ」

 ガーン!!

 私はなんて男と結婚してしまったのだろうと後悔した。自分ひとりのために、時間を割いて準備する気にはなれない。
 結局、毎日が牛乳とサンドイッチという組み合わせになった。

 しかし、旅行をすると夫が矛盾した行動をとる。
 朝食のバイキングでは、ハムにウインナー、ポテトにスクランブルエッグ、アジの開き、コーンポタージュ、サラダをテーブルに運び、ご飯のおかわりはもちろんのこと、パンやヨーグルト、フルーツまで平らげるのだ。
 おそらく、3人分くらいの量になるだろう。
すかさず、私は言葉で攻撃を仕掛けた。
「あら、朝は気持ち悪くて何も食べられないんじゃなかったの?」
 夫は一瞬間を置き、そっぽを向いたまま答えた。
「臨機応変だよ、臨機応変!」
 
 ふん、一貫性がないとも言うんでしょ!
 

●石原結實(いしはら・ゆうみ)センセイ曰く●

 30代半ばで、自分が冷え性であることを自覚した。体温が低く、手足の指先はいつも冷えているのだ。顔色も冴えないし、毎日体がだるかった。
「この本いいわよ、読んでみて」
 友人に勧められたのは、医学博士の石原結實氏が書いた『体を温め、病気を治す』という本だった。白いものは体を冷やす性質があるため、体を温める黒いものを食べなさいという内容なのだが、彼の提唱する「プチ断食」が何ともユニークで試したくなった。
 これは、「朝食を摂ると健康を害する」という理論から、朝食に固形物は避け、にんじんリンゴジュースやしょうが紅茶に置き換えるというものである。昼は蕎麦や、タバスコをたっぷりかけたピザかパスタ、夜は好きなものを食べるという内容だった。
 朝は飲み干すだけだから手間なしでよい。職場には黒砂糖をたっぷり入れたしょうが紅茶と、茹でた蕎麦を持参した。お腹が空いたら、その度にしょうが紅茶を飲めばよいのだが、満腹感は得られない。しかも、紅茶を多量に飲むことで歯の色が黒ずみ、蕎麦を茹でるのも面倒になったから、結局3カ月ほどで挫折した。
 
 そんなわけで、私はいまだに冷え性である。


●現在の朝食●

 最近、パンが美味しく感じられなくなった。口の中でパサパサしてしまい、噛むのも飲み込むのも億劫だ。歳なのだろうか?
 そんなわけで、今のお気に入りはシリアルである。
 牛乳をかけるだけで食べられる手軽さも、私にはうってつけだ。今日はスーパーでこんなに買い込んできた。

シリアル

 今日の店には、トッピンチョコがなかったので残念だ。チョコワやチョコクリスピーはあったが、あまり食べたいとは思わない。
 ドライフルーツが混ざっているものは苦手だし、オートミールも好きではない。
 しかし、『低インスリンダイエット』によると、コーンフレークは血糖値を急激に上げる食品なので、インスリンが多量に分泌され、あまったブドウ糖をどんどん脂肪に換える働きをするそうだ。
 つまり、私は太りやすい朝食を選んだということになる。
 これに対して、玄米フレークやオートミールは血糖値の上昇を抑える食品だから、ダイエット向きらしい。

 うーん、悩むなぁ……。

 玄米フレーク、ときどき、オートミールという朝食がいいのかしら。

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2009年09月05日

初めてのアルバイト

●スーパーのレジ●

 初めてアルバイトをしたのは、高校3年の2月だった。同級生が、高校入学と同時に始めていたことを考えると、かなり遅いデビューである。学校に行くだけでも面倒だったので、放課後はバイトまでする友人が信じられなかった。
 しかし、高3の2月以降は学校もなく暇になる。私と同じく、バイト未経験の幼なじみ・尚美と相談し、「ちょっと試してみようか」と近所のスーパーで、2カ月間レジの仕事をすることになった。
 昭和60年代前半、POSシステムは一部のコンビニにしかなく、レジはテンキーから金額を入力していた。社員の女性の、素早く正確な指さばきが名人芸に映った。左手でカゴの商品を手に取り、早口で価格を読み上げながら、右手はそろばんの達人並みのスピードでキーを叩くのだ。
 アルバイト初日、空いている午前中に仕事を教えてもらったさい、職人の技に私も尚美も感動してしまった。「私もああいう風に働きたいっ!」と意気込んで始めてみたものの、なかなか思うようにはいかなかった。


●青果の壁●

「野菜は品名ボタンを押せばいいだけよ。たとえば、じゃがいものボタンを押せば、198円という金額が打ち出されるようになってるの。楽でしょ」
 チーフのオバさまに操作を教わり、そのときは納得したが、実はかなり難しかった。日頃から炊事を手伝わないことが災いし、私には野菜の区別がつかなかったのだ。
 何しろ、「なにこれ? レタス? キャベツ?」というレベルだったのだから。
 隣のパートさんに、「これは何ですか?」と聞くこともしばしばで、結構恥ずかしい思いをした。尚美も同じレベルで、「小松菜とほうれん草は、どう違うんだろう?」と悩んでいた。これにチンゲン菜も加わって、さらにややこしくなった。
 午後になると青果の補充や価格変更があり、メモが回ってくる。
「玉ねぎ 158円」「人参 98円」などの連絡を書き写し、隣のレジに回すのだが、ときにはこれが苦痛だった。
 たとえば、「生しい 188円」と書いてあったときだ。生しい?? あわてて私はパートさんにすがる。
「生しいって何ですか?」
「生椎茸のことよ」
 ……なんだ、省略しなければわかったのに。
 でも、舞茸とシメジの違いはわからなかっただろう。
 尚美はもっと悲惨だった。「王林 288円」というメモを見て、たまたま近くにいた店長に質問したのだ。
「あのぅ、たまばやしって何ですか?」
 店長は質問の意味がわからず、目をパチクリさせた。
「えっと、さっきメモが回ってきたんですけど」
「それは、おうりんって読むんだよ! リンゴの仲間だから覚えておけよ!」
 リンゴの品種も難しい。王林は皮の色で見分けがついたが、紅玉、フジ、ジョナゴールドは勘で区別した。なんと、いい加減なバイトだったことか……。
 現代は、バーコードさえあれば、青果の品種がわからなくても問題なしだ。昔の苦労はわかるまい。
 
 もちろん、主婦となってからは、野菜もリンゴもほぼ完璧に見分けられる。ただし、どうやって調理するかは謎である……。


●天敵商品●

 尚美にとって、「牛タン」のパックは天敵だった。
「気持ち悪くてさ、カゴのなかに牛タンが入っていると、動揺してミスしやすくなるんだよ」
 なぜか、尚美のレジには、それを買う人が多いのだという。私のレジでは、まだお目にかかったことがない。
「へえ、私は見たことないよ。どんな形してるの?」
「細長くて変な形」
 尚美の説明では、まったく想像がつかなかった。
 私が天敵と感じる商品は、ホワイトアスパラガスの缶詰だろうか。あのにおいと繊維のスジスジがダメなのだ。幼い頃、母に無理強いされたことも加わって、唯一食べられない食品となっている。

 缶の上からだって、触るのイヤだもん。

 それなのに、毎日何人かはその缶詰を買っていく。「ギャッ」と心の中で叫びながら、私は缶詰に触れ、手早く会計済みのカゴに入れる。これは心理的な負担が大きい。
 他には、サンダルや洗剤など、袋を別にしなければならないものが面倒だった。豪快な奥様だと、「いいわよ、全部一緒で」と太っ腹な発言をし、パンや牛乳の横にトイレマジックリン、スリッパなどを入れていく。それもどうかと思うけれど……。
 ある日、精肉部門のパックに見慣れぬものが入っていた。豚ヒレブロックを細く短くしたような形で、色は生気のない灰色をし、くの字に折り曲げられ、無理やり容器に押し込められている。赤やピンクなど明るい色が多い肉だが、このパックだけ死人のような雰囲気だった。
 チラリと商品名を見ると「牛タン」と書かれている。

 これか〜!!

 私は背中を強く叩かれたような衝撃を受け、パックを落としそうになった。牛の口の中にあったものが、私の手の平に載っているかと思うと不気味である。尚美の気持ちがよーくわかった。
 さて、このお客さんは、一体どうやって料理するのやら……。


●鬼のチーフ●

 バイトの拘束時間は9時半から5時半だった。出勤時刻がギリギリだと、タイムカードに間に合ってもチーフの元おネエさまに叱られる。
「近いんだから、もっと余裕を持って来なさいよ!」
 このチーフには、仕事の厳しさを教えられ、しつけられたと思う。
 学校に呼び出されたため、○日は休ませてほしいと申し出ても「うん」とは言わない。
 戦力外バイトのはずなのに、おかしい。
「来られないって言ってるんだから、しょうがないだろ」と店長がOKを出し、ようやく休みをもらうことができた。
 レジの精算で過不足が出ると怖い顔になる。私の場合は、売り上げ記録よりも現金が過剰になることが多かった。多分、渡すお釣りが少なかったのだろう。
「お店が損するならいいけど、お客様に損させちゃいけないでしょ。気をつけて」
 近所の人が私のレジに来たこともあった。このときは、188円の商品を打ち間違えて1828円にしてしまい、大ひんしゅくだった。お昼どきや夕方の混雑でも、私と尚美のレジに並ぶ人は少なく、今にして思えば「使えないバイト」だったことは間違いない。

 3月下旬、短い期間だったけれども、初めてのアルバイトが終わった。
「ハイ、これ」
 いつもは近寄りがたいチーフが、私と尚美に小さな箱をプレゼントしてくれた。
「実は、ウチにもあなたたちと同じ歳の息子がいるの。よく頑張ったね」
 家に帰って開けてみると、レースのついた可愛いハンカチのセットが入っていた。
 勲章のように、私はそのハンカチを大事に使った。

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posted by 砂希納言 at 20:32| Comment(8) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月29日

おウチで豆腐を作ったよ

 長年、わが家では生協のパルシステムを利用している。
 先日、手作り豆腐セットなるものがカタログに載っていたので、娘と作ろうと思い注文した。
 セット内容は、250gの豆乳2袋と、5gのにがり2個である。

外袋

 義母を入れても、家族は4人しかいない。豆腐は1袋ずつ2回に分けて作ることにした。
 まず、耐熱のボウルか丼に豆乳を入れる。
「豆乳を投入」という、くだらないシャレが浮かんだ。

豆乳投入
 
 最初に作ったときは丼を使ったが、固めるときに熱が均等に行き渡らないと気づいた。
 中央がレア状になってしまうため、カレー皿のように浅くて広いものを使ったほうがよい。
 次に、スプーンなどで豆乳をかき混ぜながら、にがりを少しずつ加える。

にがり

 このとき、かき混ぜる回数は20回と作り方に書いてある。やけに具体的だと思い、苦笑した。
「19回とか、21回だとダメなのかな〜?」
 娘も笑いながら言った。
「にがりを入れ終わったら、ただちにかき混ぜるのをやめてください」という注意もあった。つまり、早すぎても遅すぎてもいけないのだ。スプーンが20回、ゆっくりと円を描いている間に、ポタポタとにがりを均等に落とさなくてはならない。
 19回かき混ぜても、にがりがまだ残っていたので、最後はドバッと入れた。22回ほどかき混ぜることになったが、大して問題はないだろう。
「お母さんはO型だから、何やっても適当なんだよ」
 ……娘のイヤミは聞き流すに限る。

レンジへ.jpg

 さて、見た目は冒頭の豆乳と大差ないが、内部では凝固反応が起きているはずだ。
 今度は、電子レンジで2分30秒加熱する。これは500Wの電子レンジの場合となる。出力数が大きければ、加熱時間は短くてすむ。
「ラップしないの?」
 娘に聞かれレシピを見たが、ラップ不要となっていた。そのままレンジに入れ、調理スタートボタンを押す。
 やがて、チーンと音がしたので丼を取り出した。しかし、全然固まっていない。
「白濁した液が出る場合は、さらに加熱してください」とあったので、さらに30秒加熱した。それでもまだ不十分だったから、もう30秒追加して、ようやく豆腐になった。

完成.jpg

 2回目、カレー皿で作ったときは、3分の加熱で上手にできた。やはり丼は不向きである。
「わ〜い、できたできた!!」
 私も娘も、手作り豆腐に感動した。あとは5分そのままにしておき、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れればよい。
 市販の豆腐は水っぽいが、この豆腐は味が濃いので、冷奴で食べるのがよさそうだ。
 豆腐そのものの味を生かすため、なるべくシンプルに、鰹節と醤油だけをトッピングしてみた。

かつお.jpg

「すごく美味し〜い!!」
 夫も娘も義母も、全員一致で文句なしのお味である。
 ちなみに、2回目を作ったときは、夫が茹でたオクラをトッピングした。これもイケる。

オクラ.jpg

「梅の花」や、「とうふ屋うかい」で豆腐懐石をいただいたことがあるけれども、それに近い高級感が楽しめる。豆乳もにがりも市販されているから、今度、これと同じように作ってみたい。
 夫がうっとりしながら感想をもらした。
「すごくクリーミーな豆腐だね。スイーツみたいだ」
「じゃあ、砂糖とココアパウダーを加えて、『ティラミスです』って出してみようか」
「あ、オレ、きっと気づかないな〜」

 たとえるならば、醤油をかけたマスカルポーネかな?
 パルシステムさん、ありがとう。

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 「うつろひ 〜笹木砂希〜」(日記)
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