学生時代、冬場はセーターを編み、夏場はマスコットを作っていた。
主婦になり、子どもも成人を過ぎたが、今でも「何か作りたい」と思っている。
「ややっ、これは面白そう」
生協のカタログに「かんたんきめこみ」なるキットを発見し、注文したのが去年の4月であった。月に1回、季節に合わせた一年分のキットが送られてくる。
しかし、しかし。
ちょうど職場を異動したばかりで、私は心に余裕がなかった。仕事が休みの土日は、平日できなかった仕事の残りや家事に追われ、新しいことに挑戦するエネルギーが不足しており、キットは手つかずで山積みになっていった。

年末の大掃除で、キットの山をあらためて確認する。
「おや? 椿と獅子舞だって。ちょうどタイムリーだから、作ってみようかな」

年明けの優雅なひとときをつかい、初きめこみにチャレンジした。
ところで、きめこみとは何か。
「板目紙に綿を入れずに布地を平らに貼りつけた押し絵」だそうだ。漢字で書くと木目込み又は極め込みとなるらしい。
キットを開封する。

板目紙ならぬ発泡スチロールの台紙に、布地は色とりどりのちりめん、押し絵は型紙がついており、至れり尽くせりのセットとなっていた。カッターや目打ち、チャコペンシル、接着剤は自分で用意する。

台紙には、両面テープを使って押し絵を貼る。

ちりめんは型紙通りに切る。

布地の色を間違えないようにして、若い番号順に、台紙の同じ番号にはめていく。それだけだ。
注意事項としては、ちりめんの向きだろうか。織り方で縦と横が決まっているので、間違えないように裁断する。
絵柄に沿ってカッターで切り目をつけ、さらに目打ちで切り目を広げて、布地の端を押し込める作業を延々と繰り返す。コツをつかむまでは、余計な力をつかってしまい、腕が痛くなった。

ひたすら地味な作業なので、じきに飽きる。一日で終わらせようとせず、二日に分けて半分ずつ進めることにした。
押し込み方が甘いと、隣接する布地の作業につられて、完了したはずの絵柄が浮いてくる。また、縫いしろが結構余ってしまい、カットし直すこともあり、難儀しながら進んで行った。
ようやく、きめこみ部の作業が終わったときは、すがすがしい気持ちになる。

さて、ここから顔に取りかかる。
「えーと、白目の上に接着剤で黒目を貼り、さらに眉毛をつけるってか?」
鼻は目の位置が決まってからだ。
ポジショニングを始めると、懐かしいものを思い出した。
「そうか、福笑いに似ているんだ。よくやったっけ」
こんな感じになったことをおぼえている。

イケメンの獅子舞にするため、眉毛の角度、両目の間隔、鼻の配置を調整する。最後にボールペンで、歯をチャチャッと描いて完成だ。
「できた!」

どうです?
プロから見ると「まだまだ」のレベルだろうが、ビールを開けてしまうほど、嬉しくて嬉しくて仕方ない。
ときはすでに1月4日。問題は、これを飾れる期間が非常に短いことだ。
すでに手元には「福寿草と節分」が届いている。

この勢いで作っちゃおうかな。
※ 他にも、こんなブログやってます。ぜひぜひ、ご覧になってください♪
「これはしたり〜笹木砂希〜」(エッセイ)
「うつろひ 〜笹木砂希〜」(日記)