●はじめに●
高1の娘と『タイタニック 3D』を観に行った。
『タイタニック』は、1997年に公開されたときも劇場に足を運び、感動を心に焼き付けている。
だが、1996年生まれの娘は当時1歳。どんな映画か知る由もない。
「お母さん、『タイタニック』ってどんな映画?」
「ジャックという貧乏な青年と、ローズというお金持ちのお嬢様が、タイタニック号で出会い、恋に落ちる話よ」
「でも、タイタニックは沈没するんでしょ」
「そう。きっと3Dだと迫力があると思うよ」
「へー、楽しみだね」
1998年のアカデミー賞では、監督賞、作品賞をはじめとして、実に11部門を受賞している。興行収入の記録も作り、『アバター』に抜かれるまで首位をキープしていた大ヒット映画だ。
帰ってきてくれて、本当にうれしい。
●あらすじ●
ユナイテッド・シネマのIMAX3Dは、スクリーンやサウンドに工夫を凝らし、より臨場感の味わえる劇場らしい。料金は2200円と高めだし、高校生も一般料金になってしまうが、見ごたえがあって大変よかった。
1997年に戻った気持ちで、スクリーンに向かい合う。
ジャック役は、言わずと知れた、レオナルド・ディカプリオだ。レオ様と呼ばれた当時は、人気絶頂でCMなどにも引っ張りだこであった。私の友人などは、映画にまったく興味がなかったが、「ディカプリオだか、ディプカリオだか知らないけど、いい男ね」などと評価していた。貫禄のついた今と違い、肌がきれいで、若さあふれる青年役が似合っている。
ローズ役のケイト・ウィンスレットは、ため息が出るほど美しい。実業家の御曹司に熱望されるのもわかるくらい、説得力のある美貌である。しかも、美しいだけでなく、救命ボートの数が足りないことを即座に見抜く聡明さや、過酷な運命に立ち向かう強さをも併せ持っている。
この二人が魅かれあい、お互いを大事な存在と認識していく前半は、きらびやかな船内、心地よい音楽、気品のある衣装に魅了される。華やかさに酔ってしまうのだ。
やがて、船が氷山に接触すると、一気に酔いがさめる。
圧倒的な力で海水が迫る後半は、我先に逃げようとする醜さや、自分の都合しか考えられない弱さが描かれ、いかに人間がちっぽけな存在かを思い知らされる。沈没の過程がリアルすぎて、自分も海に投げ出されそうで怖くなる。
3時間以上という長い上映時間だから、途中でトイレに行きたくなるのではと心配していた。
しかし、それは杞憂に終わった。
スピーディーで、時間を感じさせないストーリー展開には脱帽する。ジャックとローズをはじめとする、乗客の安否に心を奪われ、尿意を感じる暇さえなかった。気がついたら、終わっていたという感じだ。だが、肉体的な疲労は3時間分だから、劇場内が明るくなっても、すぐには立ち上がれなかったりする。周りの観客も、同じようなものだった。
「すごく泣けたし、迫力があってすごかった。今まで観た映画の中で、一番よかったよ!」
娘が、興奮気味に語る。勧めた私も、大満足である。
●プログラム●
「プログラムが欲しい」
「2Dのなら、お母さんが持ってるけど」
「でも、記念に3Dのを買いたい」
娘の強い希望で、プログラムを買ってみる。もし、同じだったら怒るところである。
しかし、ちゃんと3D用になっていた。
裏はこうなっている。
ちなみに、1997年の2Dはこれだ。
こちらも、裏返してみる。
両者の比較が興味深い。
まず、上映時間である。3Dは3時間16分と書いてあるが、2Dは3時間14分となっている。2分の差は何だろう。まさか、テープが伸びた、なんてことはないと思うが……。
内容もかなり違う。2Dでは、映画ができるまでのエピソードや、実際の乗客、タイタニック号の軌跡などに重点を置いていた。ミュージシャンの細野晴臣氏の祖父も、ただ一人の日本人として、この船に乗っていたという。無事、生還できたからこそ、YMOのテクノサウンドが楽しめたわけだ。
3Dでは、3D変換の意義や技法について、紹介されている。変換作業は簡単なのかと思ったら、実に60週間、つまり1年以上かかったそうだ。その甲斐あってか、写真はどれも鮮明で色鮮やかになっている。
「買ってよかった」と娘は大喜びだ。
ついでに、主題歌であるセリーヌ・ディオンの「My heart will go on」を、ipodに入れていた。
私の頭からも、この歌が離れなくて困ってしまう。
しばらくは、タイタニックモードで過ごそう。
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「これはしたり〜笹木砂希〜」(エッセイ)
「うつろひ 〜笹木砂希〜」(日記)

