2017年03月31日

大物ぞろい「フジヤマミュージアム」

 富士急ハイランドに行ったので、ハイランドリゾートホテル&スパに泊まった。
 宿泊者には、フジヤマミュージアムの入場券がプレゼントされる。ちょうど前日に雪が降り、足場が悪くて散歩する雰囲気ではない。こういうときは、ホテル周辺でブラブラして帰りの高速バスを待つのがいい。遅い朝食をすませ、たっぷり温泉に浸かってから美術館に向かった。
「あのう、撮影はできますか」
「はい、フラッシュなしでしたら構いません」
 ブロガーにとって、撮影可の美術館はありがたい。どんな絵があるのか、何の予習もせずに入ったのだが、カメラに収めたい絵が何枚もあり、うれしい誤算だった。富士急行株式会社の財力を目の当たりにした気分だ。
 草間 彌生 「七色の富士(コバルトブルー)」
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歌川 広重 「冨士三十六景 甲斐犬目峠」
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「富士」ではなく、「冨士」となっているところが気になった。「富士」が正しく、「冨士」は俗字ということだが、北口本宮冨士浅間神社のホームページには、もっと神秘的な説が載っていた。

1.「御山の上に人は立てない」説
 ウ冠の点を人に見立てて、本来禁足地であり尊い場所であるため、人が下から見上げて崇める山であることを表した。

2.「神は見えない」説
1とは逆に、点を神に見立てて、尊いご存在は目に見えないことを表した。

3.「山頂は神域」説
 ワ冠から下を8合目以下に見立てて、点の示す山域は、神の土地であることを 表した。

 どれを選ぶかは、好みの問題であろう。私は2が気に入った。
 ちなみに、愛知県大洲市柚木には、標高319.8mの冨士山(とすみやま)と呼ばれる山があるそうだ。
 ネットでは、「富士山」であればフジサンを、「冨士山」であればトスミヤマを指す、という説明もあったが、この美術館では、すべてフジサンを指していると思われる。

 葛飾 北斎 「冨獄三十六景 山下白雨」
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 読み方がわからず、「やましたしろあめ」と入力した。あとから「さんかはくう」と知り、何ひとつ合っていないことにガッカリする。

 笹島 喜平 「飛雲富士」
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 ゲオルグ・ハレンスレーベン 「リサとガスパール パリのカフェ」
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 リサとガスパールは可愛い。もう一枚あった。

 ゲオルグ・ハレンスレーベン 「FUJIYAMAに乗るリサとガスパール」
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 絹谷幸二・長嶋茂雄 「新世紀生命富士」
 2人が分担し、長嶋さんがどの程度描いたのかは明記されていなかった。うーむ。
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 石坂 浩二 「朝霧からの富士−早春−」
 金田一耕助のイメージだったので、絵も上手いとは驚いた。
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 八代 亜紀 「富士暮色」
 これはとてもよかった。歌手よりも、画家になりたいとは思わなかったのだろうか。
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 正午という半端な時間だったせいか、客は私たちだけ。押し合いへし合いしながら見る、都会の殺伐とした美術館とは違っていた。
 展示作品は、定期的に入れ替えているそうだ。
 また、富士急ハイランドには来るので、館内をのぞいてみよう。

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2017年03月08日

マッカーサーのいた部屋

 おまえさん、ダグラス・マッカーサーを知っているか。
 連合国軍総司令部の総帥だ。
 そうそう、GHQってえヤツだよ。
 昭和の人間ならともかく、平成生まれは「それ誰?」っちゅう反応かもな。
 まあ、聞いといても損はないだろよ。
 奴さんは、敗戦後の昭和20年8月、日本に上陸した。
 9月には、第一生命館の社長室にやってきた。
 ああそう、日比谷のあの大きな建物だよ。
 接収って言うんだっけな。
 奴さんが、ここに来るのは仕事のためだけさ。
 普段は、赤坂のアメリカ大使館に住んでいた。
 判を押したように、決まって10時半に車でこの部屋に向かう。
 午後には昼飯を食うため大使館に戻り、ちょびっと昼寝をした後、またこの部屋に来ていた。
 つまり、一日二往復したってわけだ。
 奴さんに、アフターファイブなんて時間はない。
 目がかすんで、時計の針が見づらくなるまで働いたって話だぜ。
 晩飯はどうしたんだろうな。
 しかも、一週間休みなしで、7日間みっちり仕事だってよ。
 月月火水木金金。
 クリスマスも誕生日も関係なかったらしい。
 部下もつき合わされるんだから、たまったもんじゃないな。
 ははは、ブラックだぜ、超ブラック!
 ほれ、これがマッカーサーだ。

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 軍人ってのはカッコいいな。
 奴さんはヨットが好きだったらしいぜ。
 ここに絵が飾ってあるだろ。

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 この床を見てみろよ。

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 寄木細工なんだ。聞いたことあるか。
 壁はくるみの木でできている。
 メイド・イン・USAのくるみさ。
 奴さんは、この机で仕事をした。

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 イスの色がすごいな。年代物ってわかるだろ。
 奴さんのイスはもっとすごい。

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 昔は、この部屋が公開されていて、イスに座ることができたんだ。
 いろんなヤツが座ったおかげで、すっかりこのざまさ。
 机を見てみろよ。
 引き出しがないだろ。
 奴さんは、べらぼうに几帳面な男でな、何でもチャチャッと決めてたらしい。
 即断即決? そうとも言うな。
 優柔不断なヤツに聞かせてやりたいよ。
 この時計も気に入ってたらしい。

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 ん? 奴さんは、いつまでこの部屋にいたのかって?
 昭和27年9月までだ。
 6年以上いたんだな。
 この建物の中で、GHQは日本国憲法の草案を作った。
 もう65年も経ったのか。
 俺も年をとるわけだ。
 おいおい、そんな丁寧に頭を下げるなよ。
 おまえさんも気に入ったか?
 そうか、そりゃよかった。
 また来いよ。

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2017年01月31日

トイ・プードル、コーギー

 エッセイ仲間の一人が、年末からマンチカンを飼い始めた。
 彼女は筋金入りの猫派である。メールを送っても返事が来ないのは、キャットファーストになっているからだろう。
 もっぱら、私は犬派なので、猫の可愛いらしさがわからない。
 ありがたいことに、隣のご家庭も犬派だった。まだ娘が保育園児だったとき、沖縄みやげを持ってピンポンしたことがある。
「こんにちは〜! 旅行のおみやげ持ってきました」
「あら、ありがとう」
 奥様が、緩いウエーブのかかった肩までの髪を揺らし、階段を下りてくる。右手には、小さなトイ・プードルを抱っこしていた。
「ウウ〜、キャンキャンッ」
「ピーちゃん、静かにね」
 しかし、ピーちゃんと呼ばれるワン公は、一向に静かにならなかった。奥様を取られると思っているのか、小柄な体で精いっぱいの声を張り上げ吠え続けた。
「ああ、こんにちは」
 そのうち、ご主人までやってきた。ピーちゃんはますますヤキモチを焼き、吠える合間に歯をむき出して、威嚇してくる。なんというわかりやすさ。パパとママが、自分以外にやさしく接するのが気に入らないのだ。
「あら、宅配便かしら」
 奥様が顔を曇らせる。この辺りは袋小路になっているため、業務用のトラックはバックで進入してくるのが普通だ。ピーッピーッという音が聞こえてくると、ピーちゃんはさらに騒ぎ出した。
「この子はね、バックするときの音が嫌いなのよ」
 トイ・プードルにとっては、不審者2人組と耳障りな音のダブルパンチだったらしい。吠え疲れ、帰る頃にはゼイゼイしていた。

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 その後は、宅配便のトラックが来るたび耳をすましてみる。ピーちゃんの「キャンキャンッ」という悲鳴が、必ずといっていいほど、あとに続くからだ。「ふふふ」と笑いがこみ上げてくる。
 お向かいの家では、コーギーを飼っている。まだ子どものようだが、家人にあまり構ってもらえない。退屈しのぎに、うちの玄関を見張っているらしい。一歩家から出ると、「来た来た」とばかりに、境界線の柵に近づいて「ウォウ〜」と呼びかけてくる。

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「あ、モモちゃん、おはよう」
「ウォッ、ウォッ」
 辺りをグルグル回って飛び跳ね、全身で喜びを表現するのは犬の特権か。何とかしてこちらに来たくて、柵を飛び越えようと後ろに下がる。助走をつければ高く跳べると知っているからだ。しかし、1mの柵は犬にとっては鉄格子。決して越えられないと悟り、鼻先だけを出して悲しげに「クンクーン」と鳴く。
 柵越しに頭をなでたり、声をかけてやるだけでモモちゃんは嬉しいようだ。パッと柵から離れて走り回り、舌を出して楽しそうに笑っている。すぐに戻ってきて、また鼻先を出す。その繰り返しである。
 決して、しつけの行き届いた犬ではない。お向かいの幼い末っ子が、「痛い! モモに噛まれた」などと叫ぶこともあった。柵越しに触れ合う程度がちょうどいいのかもしれない。
 ピーちゃんは、高齢のため目が見えなくなり、間もなくいなくなった。
 モモちゃんちも、いつの間にやら引っ越して、もぬけの殻になっている。
 うちでは動物を飼わない。別れがつらいと、何匹もの犬を看取った義母が嫌がるからだ。
 お隣で、ピーちゃんのあとの犬を飼ってくれいと念じてみた。
 ワタクシ、ビーグルが好きなのよね……。

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2016年12月30日

迎賓館で撮影会

 赤坂迎賓館に行ってきた。
 前回は整理券がもらえず、前庭だけの見学だったが、今回はWebで主庭・本館の見学ができる。カメラを充電し、オシャレをして家を出た。
「あれ、参観証はいつチェックするのかな……」
 入場料は1000円。チケットのチェックはするが、いつになっても参観証を拝見しますとは言われない。
 それもそのはず。この日は来客数が少なくて、人数制限なしで誰でも入れたらしい。
「くうう〜、悔しい! 必死で申し込みをしたのに」
 娘が、閻魔大王のような顔になり、怖かった。どうも、大学の授業中にコソコソとスマホを操作したようだ。
「でもさ、10000円前後のバスツアーに申し込んだ人は、もっと悔しいと思うよ」
「それもそうね」
 気を取り直して入館する。
 内部は撮影できない。入口の、「ポケモンGOは禁止です」という掲示にニヤリとした。
 館内は、白と金が基調となっており、とても上品だ。リーフレットから、雰囲気を味わっていただこう。
「彩鸞の間」

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「花鳥の間」

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「中央階段」

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「羽衣の間」

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「朝日の間」

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 どの部屋も、豪華で美しかった。ネズミになって、ここに住みたいと思ったくらいだ。いや、ネズミは目立つから、蜘蛛でもいい。ゴキブリは絶対にイヤだけど、ダニでも構わないからいさせてもらいたい。
 見学所要時間は1時間と書いてあったが、じっくり見なければ30分ほどで終了する。豊かな気持ちのまま、主庭で写真撮影を始めた。
 左側からみた本館。

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 いつから、パソコンで写真の補正ができるようになったのだろう。曲がって撮影しても、回転させて水平に直せる。これは便利だ。
 これは何という植物なのか。色とりどりでキレイだが、キャベツにしか見えなかった。

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 本館に続く階段には障害物が。ないと勝手に上がってくるのかもしれない。

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 疲れて座り込む人がいるってこと?

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 やや右から撮ると、建物はまた違った表情を見せる。

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 マイナスイオンを放つ噴水。

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 水のしぶきが炭酸みたいで軽やかだ。舞踏会をしているみたい。
 おお、本館も噴水も両方いただけるスポットがあった。

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「お母さん、そこどいて。今、パノラマで撮っているから」
 娘がアイフォンを駆使して、本館と噴水を並べて撮っている。できた写真がこれ。

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「うっそ〜、こんなにワイドに入るものなの?」
「余裕、余裕」
 アイフォン恐るべし。私のミラーレスにもパノラマモードはあるが、説明書を持ってこなかったことが悔やまれる。
 主庭から前庭へ移動する。前庭から見た迎賓館は、両手を大きく広げた姿をしており、実に優雅だ。

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 ここでも、カメラワークに苦労する。右か左に寄れば、端が切れずに写せるのだが、正面に来たらまず無理。

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 思い切り後ろに下がっても、左右のどちらかが欠けてしまう。キイイ〜!

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 またもや、娘はアイフォンをかざして涼しい顔をしていた。
「ねえ、ちゃんと撮れた?」
「うん。ほら見て」

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「……すごッ」
 アイフォンの偉大さを思い知らされた。何と素晴らしいのか!
「お母さんもアイフォンに変えようかな……」
「ラインができると便利だから、こっちも助かるんだけど」
 あ、ラインね。
 あれは既読がついて面倒だから、やっぱりやめておこう。
 でも、カメラ機能は捨てがたい。まあ、そのうちに。
 今回は、和風別館の予約が取れなかったので、年末にしつこくチャレンジしていた。その甲斐あって、2月には行かれることになっている。
 うーん、アイフォン……。どうしよう。
 てか、まず説明書を見て、ミラーレスのパノラマを試してみろよ、と自分に言い聞かせた。

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2016年11月26日

夜の科博「ラスコー展」

 11月18日金曜日。
 夜の科博に忍び寄る。

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 大きなシロナガスクジラも、ライトアップされて妖しい魅力を放っていた。

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 目指すは「ラスコー展」。
 金曜限定ペア得ナイト券なら200円、じゃなかった2000円で入れるから、前売券は買っていない。
 見どころは3つ。
 1つ目は「洞窟壁画の最高傑作を間近で体感」。
 ラスコー壁画は、今から約2万年前にクロマニョン人が描いたものだそうだ。当時は氷期で今よりも気温が低く、草原の中をマンモス、オオツノジカ、ホラアナライオンなど、その後絶滅してしまう運命の大型動物たちが歩き回っていたという。
「お母さん、オオツノジカの隣の動物を見て」
 大学2年の娘が指をさして話しかける。
「ん?」
「クサイって書いてあるのかと思った」
 正しくは「ケサイ」だが、よく似ている……。

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「あはははは」
「はっはっは」
 周りは仕事帰りのOLやサラリーマンばかり。こんなバカ話をしているのは私たちだけだろう。
 壁画が発見されたのは1940年。ほんの76年前である。マルセル君という少年の飼い犬が穴に落ち、彼は犬を助けようとして、偶然、洞窟と壁画を見つけた。ドジなアホ犬であっても、クロマニョン人の大きな遺産を、世に知らしめるきっかけを作ったのだから偉い。
 人気が爆発したのは1940年10月以降。1948年には階段、照明、床などが整備され、1958年には空調設備が取り付けられたこともあり、1963年までの間に100万人以上が壁画を見に訪れたという。
 ところが、1950年以降、洞窟内には緑、白、黒のシミが発生し、危機的状況を迎えた。原因は洞窟を訪れる客である。人が呼吸することで、洞窟内のバクテリア、藻類、菌類が増殖し、炭酸塩が分解・沈殿して、壁画が破壊されるリスクが高まってしまった。
 やむなく、1963年4月17日以降、ラスコー洞窟は公開を取りやめ閉鎖する。私が生まれる前に閉鎖されていたとは思わず、ひどくガッカリした。
 おそらく、同じ想いの人はたくさんいるだろう。そこで、ラスコー洞窟の近くには、レプリカが製作されたらしい。今回の展示では、3次元レーザースキャン技術などを駆使して、さらに精巧な実物大のレプリカを完成させたというから楽しみだ。
「褐色のバイソン・ヤギの列・ウマの列」

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「泳ぐシカ」

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「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」

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「背中合わせのバイソン」

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「井戸の場面」

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 洞窟を抜けると、オオツノジカのレプリカがドーンと仁王立ちしていた。左右に大きく広がる角の重さは、45kgにもなったという。

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 見どころの2つ目は「芸術のはじまりを知る」。
 ネアンデルタール人までの遺跡には、芸術的要素がゼロだったそうだ。だが、クロマニョン人は違う。仕留めたトナカイの角などに、動物たちの絵を刻んだり、その道具としての彫刻刀も見つかっている。また、洞窟には黄・赤・琥珀色などバリエーションに富んだ色の絵の具(顔料)が残されていた。
 残念なことに、このエリアは撮影禁止であった。
 写真は、チラシに掲載されたものをご覧になっていただきたい。

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 見どころの3つ目は「クロマニョン人の正体を解き明かす」。
 展示の冒頭に、クロマニョン人の母子の模型がある。アクセサリーを身につけ、ボディペインティングが行われていたそうだ。

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 こちらは第5章にある夫婦? の模型である。

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 女性は貝殻のビーズをつけた頭飾りを身につけ、寒さから身を守るために動物の毛皮を積極的に利用していた。骨で縫い針を作り、高度な裁縫技術を生み出すことで、機能的な衣服を着たと見られている。
 狩猟具も多彩で、石だけでなく角も利用して様々なタイプの槍先を作り出した。しかし、ここも撮影禁止……。
 クロマニョン人の外見は、現代人と変わらないらしい。ホモ・サピエンスはアフリカで進化し、5万年前から世界中へ大拡散した。その中で、ヨーロッパにやってきた集団がクロマニョン人と呼ばれている。
 男性は身長176cm・体重71kgで、女性は身長164cm・体重60kgと推定されており、ネアンデルタール人の男性166cm・78kg、女性が161cm・68kgと比較すると、スラリとした体型であった。
 現代ヨーロッパ人は、クロマニョン人との遺伝的なつながりがあると確認されているが、西アジアからの大規模な集団や東方からの騎馬民族とも混血することによって、形づくられたと考えられている。
 ふむふむ。
 勤務後で、脳が学習を拒否する割には、そこそこ理解できた。
 レプリカではない、ほんまもんの写真も展示されていた。

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 いいな〜。私もカメラマンになればよかった。今さら無理だけど……。
 最後におみやげを買う。
 バウムクーヘン。

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 壁画チックな絵柄がついていて楽しい。

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 しかし、トイレットペーパーに見えないこともないが……。まあよい。
 ビーフジャーキー。

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 スーパーやコンビニの商品と大差ないと思うのだが、なぜか娘が「うまそうだ」と食べたがり購入する。
 あー、収穫、収穫。
 知識と食料をゲットし、暗闇に浮かび上がる科博をあとにする。

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2016年10月31日

シェアして楽しむ「俺のフレンチ」

 10月も今日で終わりだ。
 今月は「誕生日」という大きなイベントがあった。友人の幸枝がお祝いディナーを予約してくれて、2人でいそいそと出かけた。
 場所は新橋。「俺のフレンチ」という店である。
 評判を耳にしたことはあるが、実際に入ったことはない。どんな感じなのかとワクワクしながらドアを開けた。
「いらっしゃいませっ」
 スタッフには若い人が多く元気だ。店内は狭いので、体の大きな人は厳しいかもしれないが、私も幸枝もBMIは低い。ピアノの近くの席にかけ、メニューに見入った。
「当店の料理はボリュームが多めです。2人だったら4〜5皿でお腹いっぱいになります」などと書かれた文字が気にかかる。
「えーとね、おススメはこれとこれとこれと……」
 幸枝は全然気にしていない。結局、6皿も頼んでしまったが、大丈夫なのかと不安になった。
 まずは乾杯から。
 スパークリングワインを頼んだら、「なみなみ」の量を注いでくれるので、これまたビックリする。

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「一口飲んでから乾杯でお願いします」
「はいっ」
 触れたらこぼれそうだ。まずは「ゴックン」と飲んで体積を減らしてから、グラスを持ち上げた。
「生ウニのエスプーマ オマール海老とキャビアのジュレです」
 まずは一品目。たしかに大きくてボリュームがある……。

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 ウニとキャビアの使用量が半端ないところが魅力だ。お皿の彩も美しく、センスのよさを感じる。
 二品目。「オマール海老のロースト」。 

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 半身かと思いきや、1匹丸ごと登場するので「ええっ!」と叫んでしまった。
「すごい量だね……」
「一皿でよかったね……」
 でも食べられてしまうのだ。美味しいものは入ってしまうこの不思議。
 三品目。「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ」。

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 うわあ、これもシェアすればよかった! いくら美味しくても、さすがにちょっと無理。ギャル曽根には及ばないけれど、私よりも大きな胃袋を持つ幸枝に手伝ってもらった。
「ううーん、く、苦しい」
 しかし、まだあるのだ。ピアノ演奏とともに、バースデープレートが運ばれてきた。
「ハッピーバースデー ディア 砂希さん♪」
「おめでとう〜!」

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 スタッフからはプレートを、他のお客さんからは拍手をいただき、にっこり笑顔になる。
 これは絶対食べなくては!
 気合いを入れれば何とかなる。ブラウニーもプリンも無事胃袋に収まった。
 お祝いにいただいたお花は2週間以上持ち、私の目を楽しませてくれた。

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 フレンチは、美味しいものをちょっとずつという既成概念が、ガラガラと音を立てて崩れていく。
 どの料理も一流店に引けをとらない仕上がりだったし、スタッフの温かいサービスで居心地よく過ごせた。この店はいい。
 気の置けない友達や家族とシェアしながら、次回はリゾットやデザートまで進みたいものだ。 
 また行きま〜す!

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2016年10月02日

サバティーニ ディ フィレンツェでお夕食

 夕食係の夫が珍しく出かけることになった。
 大学2年の娘は4限まで授業だし、私は5時まで仕事がある。どこかで落ち合って夕食をすませようと考えた。
「何かおいしいものが食べたいな」
 娘が何を想像したかはわからないが、私には行きたい場所があった。
「そうだ、サバティーニは? 来年の3月で店じまいしちゃうのよ」
 銀座ソニービルの解体工事にともない、イタリアンレストランのサバティーニ ディ フィレンツェも閉店するはずである。まだ一度も行ったことがないので、移転前に足を運ばなければと思っていたところであった。
「なんでもいいよ」
 金曜の夜だったが予約が取れたので、食欲の塊と化して出かけていった。
 いろいろなコースがあり迷った。やはり、こういうときは旬のものがいいだろう。ポルチーニ茸などをたっぷり使ったコースがよさそうな気がした。
 まずはシャンパン。

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 この日、私はとても喉が渇いていた。忙しくて、13時以降水すら飲めずに夕食を迎えるはめになったからだ。
「うめ〜」
 ……ちょっと、オヤジ臭くなったことは反省点であろう。
 テーブルのお花に嫌がられてしまうかしら。

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 スモークしたキングサーモンとアヴォカドのタルタルサワークリームソース イクラとキャビア添え。

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 この写真がなかなかアップロードできず不思議に思ったら、「ファイル名が長すぎます」とのメッセージが出てきて笑った。お料理名をそのままファイル名にしたのが間違いだったらしい。
 ポルチーニ茸の香り溢れる濃厚な味わいクリームスープ。

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 いかにも秋らしい味覚であった。ポルチーニ茸が不足していて、来週はこのコースが提供できないかもしれないと言われたが、間に合ってよかった。
 海老、帆立貝、ブロッコリーとサルデーニャ産カラスミで和えた自家製手打ちパスタ。

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 フレッシュポルチーニ茸のオーブン焼き ほのかなタイムとニンニクの香り。

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 本マグロの香草パン粉焼き 濃縮バルサミコのソース。

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 口直しもある。
 カシスネクターとフランチャコルタのレモンシャーベット キールロワイヤル仕立て。

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 そしてメイン。
 和牛フィレ肉のソテー 新鮮なフランス産キノコ、秋トリュフを添えて。

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 デザートはワゴンから2品選べる。
 私はパリブレストとティラミスにした。

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 甘いものは久々だったので、糖分が体に染み入るような味わいだった。
 途中でイタリアビールを2杯飲み、機嫌よく家に帰ったのだが、異変は夜中に起きた。
 熟睡していたはずなのに、体調不良で目が覚めてしまった。
「うーん、何だか胃がムカムカする……」
 疲れた体に高カロリーのごちそうを詰め込み、アルコールで流し込んだせいか、消化不良を起こしたようだ。まもなく下痢と吐き気に見舞われた。
 美味しいものを食べるときは、体調も万全でないとあとがツラいと悟った出来事である。
 
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2016年08月29日

ひのきざか 鉄板焼

 ルノワール展を見るため六本木に行った。
 5月にも行った展覧会だが、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」がオルセーに帰る前に、もう一度見たくなったのだ。
 目当ては芸術鑑賞だけではない。舌や胃袋も満足させなくては。
 そんなわけで、まずはザ・リッツ・カールトン東京にある「ひのきざか 鉄板焼」に向かった。
 六本木にはグランドハイアット東京もあり、こちらにも「鉄板焼 けやき坂」という店が入っている。最初は「ひのき? けやき? ああもう、どっちがどっちだったか、わかんない」などと混乱したが、ようやく慣れた。好物の肉が食べられる店として、しっかりインプットしておこう。
 鉄板焼にはビールが合う。サッポロ ヱビスを注文した。

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 「翡翠」ランチのお料理が運ばれてくる。
 まずは、「絹皮なすの冷たいポタージュ オマールコンソメジュレ」。

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 茄子をポタージュにする発想はなかったが、なんの違和感もないところがプロだ。
 でも、茄子の皮を糸状にしてトッピングするのはちょっと……。私の味覚は、ついていかれなかった。
 次に、「帆立のムースを詰めた舌平目の蒸し焼き 香草パン粉 パプリカソース」。

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 あっさりと、淡白な蒸し焼きである。それだけに、パプリカソースが映えるのだ。のど越しもよくて、夏バテに効きそうだ。もっとも、食べることが大好きな私は、夏バテなんぞしたことないが。
 それから、「鉄板焼きシーザーサラダ」。

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 ドレッシングがトッピングとマッチして、パリパリといただけた。
 お待ちかねの「黒毛和牛フィレステーキ80g」。

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 この肉は半量のみ。このあと追加でよそってもらった。ちなみに、サーロインにすると100gである。
 ほどよい脂と、和牛ならではのやわらかさで「来てよかった〜」とうれしくなった。舌が喜び、胃腸も万歳三唱をしている気がした。
 お食事は「特製牛肉入りガーリックフライドライス」を選んだ。白ご飯もあったが、ニンニクは美味しい。

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 食い意地が張っているので、この倍くらい食べたいところだが、デザートもあるし、ぐっとこらえる。
 最後は「抹茶わらび餅と白桃」。

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 プルプルのわらび餅は甘すぎず、口の中で身ぶるいして崩れる。可愛いなぁ〜。
 ごちそうさまでした。
 ところで、このあとのルノワール展がメチャ混みで参った。先手必勝の5月と違い、「終わっちゃう、終わっちゃう」と慌てて駆け込む人が多いのだろう。どの絵の前も人だかりで、優雅な気分が一気に吹き飛んでしまった。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットだけ見られれば、あとはいいや」
 すっかり投げやりになり、ほとんどの絵を素通りして、お目当ての場所に直行した。
 展覧会は、一度だけ、全神経を傾けて見るものらしい。
 美味しいものは、何度でも味わいたいと思うけどね。

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2016年07月30日

思い出いっぱい「LaLa原画展」

「池袋西武でLaLa展やるって。見に行こうよ」
 声をかけてくれたのは大学2年の娘である。そんなイベントがあるとは露知らず、うっかり見過ごすところであった。教えてくれてありがたい。
「清水玲子の絵はいいよね」
 何年か前、娘に『輝夜姫』を読ませたら、すっかりハマってしまったことがある。いまどきの漫画家に比べて、絵がキレイでストーリーも凝っており、「クオリティが高い」んだそうな。
 日程を調整して、いそいそと池袋まで出かけた。

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 入口にたどり着いたとたん、私の心は高校時代にタイムスリップした。真っ先に目に入ったのは、成田美名の絵だ。夢中になるほど好きではなかったけれど、たまらなく懐かしい。
 入口付近に、私よりも幾分年下と思われる女性2人組がいた。
「あの頃は○○さんが人気で」
「そうそう! アニメ化されたし!」
 彼女たちもタイムスリップしているのか、声量まで高校時代に戻っている。かなり騒々しいので、大人の分別を取り戻してほしいところだ。さっさと抜かして歩き、雑音とサヨナラした。
 LaLaは今年で40周年を迎えるらしい。私が熱心に読んでいたのは、創刊10年目あたりか。前半はストライクの漫画家が多かったが、知らない漫画家も多かった。
「あ、藤原ヒロだ」
 私が知らなくても、娘が知っていたりする。世代交代しても、雑誌が人気ならそれでいい。
「清水玲子だ!」
 2人がファンの漫画家には、じっくり時間をかけて鑑賞する。
 さすがに原画は、印刷物より格段に美しい。今はパソコンを使うこともできるが、創刊当時はすべて手作業だったはず。清水先生の丁寧で正確な描画を目のあたりにして、口が半開きのままになった。
「この絵、見たことない」
「『月の子』のベンジャミンだよ。これも持ってるから、今度貸してあげる」
「わーい」
 娘に別の漫画を貸す約束をして次に進んだ。
 鑑賞していた40分間は、高校1年生のクラスを思い出していた。毎月LaLaを買っていたのは紀子。読み終わったら学校に持ってきて、回し読みをしたのだっけ。授業中でも待ち切れず、バレないように続きを読んだ。いいところで終わった連載は、次号が待ち遠しくて気が狂いそうになり、結局自分で買うことにした。
 美形のキャラの冒険や恋愛は、現実にはあり得ないことだとわかっていても、少女たちの未来に夢を与えてくれる。私の人生にも、この先、多少はドラマチックなことが起きるかもしれない、という類に。
 決してバラ色ではなかったが、空色やレモン色などの淡いイメージで人生を描いていた気がする。
 出口付近にも清水玲子の原画があった。ここを通り過ぎると売店となり、現実に引き戻される。タイムスリップは終了だ。
 実際の私の人生は何色になるのやら。淡い色でないことは確かで、濃い人生を送ってきた。レンガ色あたりが妥当ではないかと思っている。
 さて、売店では、公式ビジュアルブックと

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 クッキーを買ってきた。

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 中は、こんな感じになっている。

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 お菓子がなくなっても、薬などの小物を入れて使いたい。
 ビジュアルブックでは、再会できてうれしい漫画家が何人もいた。
 山岸凉子。

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 以前、『日出処の天子』を娘に読ませたが、「絵が嫌い」と拒否されて悲しかった。
 木原敏江。

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『摩利と新吾』は名作だ。何度泣かされたかわからない。他にも琴線に触れる作品が多く、電車の中では読むと下を向き続ける破目になる。
 大島弓子。

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 浮世離れした作風が、現実の悩みや苦しみを吹き飛ばしてくれた。楽天的に生きてこられたのは、チビ猫のおかげかもしれない。
 ひかわきょうこ。

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 妹が『彼方から』を揃えていたので、全巻借りて読んだ。『荒野の天使ども』も読んだことがあるが、登場する男性が強くて正義感にあふれており、「こういう人が彼氏ならいいな」と夢を膨らませた。
 樹なつみ。

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 初期の頃からのファンである。『蛍たちは笑う』という作品が好きで、繰り返し読んでいたら、続編がいくつも飛び出して、もっと好きになった。どの作品にも、読者の心をつかむ言葉が随所に散りばめられており、新刊が出るたびに「この作品に出会えてよかった」と思える数少ない漫画家である。
 清水玲子。

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 キャラも背景も小道具も、描くものすべてが美しい。色彩感覚も素晴らしく、漫画を超えた芸術品の域に達している。作品を読んでいると、現実逃避したくなるのが難点か。
 青池保子に萩尾望都、かわみなみもいたけれど、切りがないので割愛……。
 仕事に追われる今は、楽しませてもらった作品を読み返す気になれない。
 定年退職後の楽しみにとっておこう。

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2016年06月05日

バウム吉祥寺

 子どもの頃からバウムクーヘンが好き。
 その日は、午後から杉並区に出かけることになっていたので、帰りは井の頭線から吉祥寺に出るつもりだった。せっかく吉祥寺を経由するので、何かおいしいものはないかと検索してみる。
「バウム吉祥寺」
 私がこのワードを見逃すはずはない。店舗は駅から少々離れた場所にあるが、好物のバウムクーヘンをゲットするためにはノープロブレム。三菱東京UFJ銀行の脇をすり抜け、まーるいお菓子を想像しながら小走りに歩いた。
 視界に入るのは2号店から。こちらは種類が少ないので、さらに奥の本店を目指す。
「いらっしゃいませ〜」
 若い女性スタッフが感じよく迎えてくれた。
 目当てはバウムクーヘンを使ったショートケーキだが、内側の様子がわからない。サンプルで切り口を確認し、店員さんに質問しながら買い物を終えた。若いころは、店員さんと話をすること自体が面倒だったのに、変われば変わるものだ。
「おみやげ買ってきたよ」
 箱を開けて、夕食後のデザートに早変わり。
 夫が選んだのは、バウムの上や周りにフルーツ・生クリームがたっぷり載った一品であった。

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「甘すぎなくてふんわりしていて、これはいいよ」
「ふーん」
 チーズケーキの好きな娘は、バウムクーヘンをくり抜いた土台の中に、ベイクドチーズが詰まった品を選んだ。

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「おいしい。一口あげるよ」
「わあい♪」
 このチーズはかなり濃厚。かといって、しつこくない。娘はあっという間に平らげた。
 一方、私が選んだものは、バウムの上にプチシューを並べて、クリームとカラメルで固めた「サントノーレ」。カラメルが歯にくっつくし、バウムにはイマイチ合わない。これは失敗作なのではと落胆した。

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 見た目はパーフェクトな美しさなのに、惜しいことだ。
「悔しいなぁ。これは、オリジナルバウムクーヘンで仇をとらなくては」
 実は、職場に持っていって、ティータイムに仲間と食べる用のバウムも買ってある。

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 さっそく、翌日いただいた。
「やわらかくて、しっとりしていて、すごく美味しいですね」
 周囲からの評判も上々だ。ここのバウムは甘みを控えているのに、物足りないとか食べた気がしないなどとは感じない。やさしい歯ごたえと、食欲をそそる香ばしい匂いが隠し味なのかもしれない。
 パルコには、あの治一郎も入っている。
 次回は、両方買っちゃったりして……。

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