2024年02月24日

『秘密 THE TOP SECRET』

 高校時代から清水玲子さんの作品を愛読している。
 チェルノブイリの原発事故と人魚を絡めたファンタジー『月の子』や、ドナーとして生まれた者たちの波乱万丈の人生を描く『輝夜姫』など、恋や愛だけでなく、社会問題を取り入れたストーリーに大いに魅了された。
 子育てと仕事の両立で忙しかった時期も過ぎ、久しぶりに清水さんの『秘密』を全巻揃えてみた。年末から年始にかけて時間を確保し、12巻全部を読むことができてうれしい。
「キレイ……」
 清水さんの漫画の何がよいかと問われれば、迷わず「絵」と答えるだろう。繊細でありながら安定感のあるタッチで描かれる人物は、サラサラの髪と吸い込まれるような瞳に肉感的な唇をしていて、男性も女性もみな美しい。ついでに衣装や背景、建物なども素敵だ。
 『秘密』の主役は薪 剛(まき つよし)という名の33歳・男性である。

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 誕生日は2027年1月28日となっているから、あと3年後らしい。飛び級により17歳で京都大学の博士課程を修了し、翌年には東京大学を首席で入学する。22歳で警察大学校に入学、29歳で警視正となった超エリートなのに、この美貌を兼ね備えているとはどういうことか。

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 芸能人かモデルのように整っており、うっとり見とれてしまうくらい魅力がある。
「ああ、いいなぁ、こんな顔に生まれたかった」と何度も何度も思ってしまう。
 知も美も才能も独り占め。こんなに不公平なことはないと憤りを感じる方もいるだろうが、家族運は薄く、気の許せる友達もいない孤独な星の下に生まれた点は不幸だ。

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 彼が所属している部署は、通称「第九」と呼ばれる科学警察研究所 法医第九研究室である。ここで行われる「MRI捜査」がタイトルに大きく関係している。この捜査は、死後一定時間内に取り出された「脳」をMRIスキャナーにかけ、一定の電気刺激を与えて脳を120%働かせ、死亡した犯人あるいは被害者の生前に見た目の記憶総てをスクリーンに再現し(現在最大5年前まで)その映像を基に被害者を殺した犯人・方法・場所等を捜査員が解明していく画期的な方法である。
 ただし、脳の持ち主のプライバシーは守られない。1巻のCASE1では、暗殺されたリード大統領の脳をスキャナーにかけた結果、好きになってはいけない相手に熱い視線を注いでいたことが判明してしまった。
 ひええ〜い!
 犯罪を取り扱う内容のため、正視に耐えない場面も登場する。死体や内臓が描かれていたり、亡霊がさ迷っていたりで、夜更けの暗い時間帯に読むことはお勧めしない。かといって、朝の爽やかな時間帯に読むのもどうかと思う。登場人物が悩み苦しむ場面では、読者も重い気分になるため、最後までページをめくれないということもありそうだ。
 それでも私は最後まで読み、ラストに安堵した。途中でやめると、薪をはじめとしてそれぞれのキャラクターが不幸なままで一時停止してしまうので、ヘビーだけれど、ぜひ12巻までたどり着いてほしい。
 美しくなくても、アタマ悪くても、毎日の生活に幸せを感じるならばよい人生なんじゃない?
 あらためて、人生の楽しみを考えてしまう作品であった。

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2024年01月08日

映画「PERFECT DAYS」のここが好き

 今、渋谷で働いている。
 映画「PERFECT DAYS」は役所広司さんがカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した作品だし、建築家やクリエイターがデザインした、渋谷のオシャレなトイレが舞台なので、ぜひ観たいと思っていた。
 でも、トイレの清掃員が主役? 地味じゃない?
 そんな疑問もある。一体どんな内容になるのか、興味を持って劇場に向かった。

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 観客は中高年が多い。若い層にはウケないテーマなのだろうか。
 清掃員は平山という名の男で、50代ぐらいだろうか。渋谷には住んでいない。スカイツリーの見える木造アパートに暮らしていて、自転車で浅草まで行かれる距離だ。
 朝はまだ暗いうちから目覚ましなしに起床し、髭を剃って作業着に着替え、ワンボックスカーで仕事に行く。おっと、出かける前のセレモニーとして、住宅前の自販機で缶コーヒーを買うことも、日常の大事なルーティンになっていたっけ。
 渋谷に着くと早速作業を始める。手を抜かず、利用者の邪魔をしないように気を遣い、頼りない相棒の尻拭いをしながら黙々と働く。仕事は苦ではない。むしろ楽しみのひとつのように、自分が満足いくまでピカピカに磨き上げる。
 お昼になると平山は公園に行く。ベンチに座り、牛乳パックを開けて、サンドイッチをつまむだけのささやかなランチをとる。スイーツはない。腰かけたベンチから空を見上げ、口端に笑みを浮かべながら、頭上の木のゆらめきを目で追っていく。風で葉が煽られ、木漏れ日がうつろう場面は、木が語り掛けているかのようだ。
 彼がポケットから取り出したのはフィルムカメラ。木を、葉を、撮影するのが日課となっている。フィルムを使い切ったら現像に出す。
「アレッ、これって昭和の時代だったっけ?」
 そんな錯覚を起こすが、平山の相棒や相棒の友人はスマホを持っている。やはり令和が舞台なのだ。カセットテープを高額で買い取る店もあり、レトロな文化が見直されていることに新鮮さを感じた。
 仕事が終わると、平山は家に帰る。銭湯で汗と汚れを落とし、夕食は浅草の定食屋でとる。無口な男ではあるが、店員さんや常連さんとの交流はあり、居心地よさそうだ。食事を終えて家に戻ると、布団の中で本を読む。音楽は好きだがテレビはなく、ネットサーフィンできる環境もなく、静かに夜が更けていく。
「光熱費がかからなくていいよね」
 いや、光熱費だけではない。人付き合いや自己表現、自己啓発等に手間暇かけて、ことあるごとにストレスを感じる現代人の根本を変える生活が、平山の毎日なのではないだろうか。
 一見、不便に見えるけれど、解放感あふれる暮らしが平山のPERFECT DAYなのかもしれない。
 ちなみに、パンフレットの表紙には、いくつもの「PERFECT DAY」が並んでいる。少しかすれた文字や重なって見えない文字もあるし、間隔も一定ではない。これは、その日その日によって、変化のある毎日を表していて、すべてをまとめて複数形のDAYSとしているのであろう。上手い!

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 石川さゆりさん、三浦友和さん、研ナオコさんといった大物も登場し、スクリーンに豪華な彩が添えられた。不思議なもので、彼らがスクリーンに映されると、見るとはなしに視線が吸い寄せられてしまう。特に三浦友和さんとの影踏みはよかった。
 映画が終わり、エンドロールが流れているときも、観客は誰も席を立たなかった。現代人がなくした何かに、それぞれが思いを馳せていたからだろうか。
 本当によい映画だった。見てよかった。
 不満なのは、興行成績だ。こんなに素敵な作品なのに、9位とか10位などにランクインされ、多くの人に見てもらっていない。
 まだご覧になっていない方、どの作品を観ようか考え中の方にお勧めしたい。
 そうだ、渋谷で一緒に働いている同僚には、いの一番に伝えなきゃ。

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2023年12月29日

2023年の食べ納め

 今年も残すところ、あと2日。
 仕事も年末休みに入り、掃除の合間に買い物に出かける。目指すは恵比寿だ。
「お昼はどこで食べよう。温かくて美味しいものがいいな〜」
 調べてみたら、駅から徒歩4分ほどの場所に行列のできるラーメン店があるらしい。
「ウホホッ」
 思わず、ゴリラみたいな笑い声が漏れる。調べてみたら、開店は11時で、チャーシューがなくなり次第閉店となるらしい。
「てことは、開店ちょい前に行って並べばいいんじゃない?」
 西口から歩き、目当ての「人類みな麺類 東京本店」にたどり着いた。

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 時計を見ると、10:50。一番かと思ったら先客のお兄さんがいた。
 エジプト調の置物が謎だが、目印になって便利なのかもしれない。

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 写真を撮っていたら、お兄さんが「あ、どきましょうか」などと協力してくれて助かった。ほんの何分か一緒に並んだだけで、ラーメン仲間になったのであろう。
 そんなこんなで10分はあっという間に過ぎ、店内からスタッフのお姉さんが出てきた。手には店名入りの暖簾が握られている。
「ううっ、暖簾が出てから写真を撮ればよかった」
 少々悔しかったけれど、席に案内されれば、反射的に食べるモードにシフトする。これ以上ないくらい、真剣な目でメニューを見て、どれにするかを考えた。
「お決まりですか」
「あの〜、らーめん原点っていうのには、玉子がついているんですか」
「ついていませんが、チャーシューの厚さが半分のものにすると、つけられますよ」
「へー」
 私は玉子が好きだ。この日は特に執着していて、何が何でも玉子を載せたかった。HPを見ると、この店のチャーシューは分厚さが半端ないらしい。だったら、その厚さを満喫するために、トッピングから玉子を選べばよかろう。
「ラーメン原点に玉子のトッピングでお願いします」
 注文が入ると、スタッフが声を合わせて「いよ〜おッ」などとハモるので、笑いそうになった。お揃いのTシャツも、トロピカルなイラストで雰囲気がよい。店内にはミスチルのライブ映像が流れ、いわゆる中華料理屋とは違った業態に見える。
 サイドメニューには、大阪の箕面ビールがあったので、ヴァイツェンを頼んだ。

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 外は寒いが、暖房の利いた室内で飲むビールはイケる。
「お待たせしました」

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 来た来た!
 エプロンをいただけるところに配慮が感じられた。私は麺類を食べるのが下手なもので……。
 写真の通りのラーメンだが、チャーシューが本当に分厚い。

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 角煮に近いんじゃないかとビックリするほど、デーンと仰向けに寝そべり、こちらを見ていた。
「どれどれ」
 箸でつついてみたら、スーッとほぐれて、予想の5倍ぐらい軟らかい。例えるならば、体の大きな人がヨガをやっているようなチャーシューであった。
「うま〜」
 スープをひと口飲んでみる。関東のスープは「真っ黒」などと評されるようだが、大阪発のこのスープは色が薄い。でも味がしっかりついている。太めの麺と絡んで、まろやかな醤油ベースを堪能し、至福のひとときを味わう。
「うーん」
 出てくるのは、言葉ではなく唸り声。本当に美味しい。
 食べている最中にも、次から次へと客が入ってきた。注文をするたびに「いよ〜おッ」が聞こえ賑やかだ。非日常の景色に、年末が押し寄せてきたと気づいた。こうして今年も暮れていく。
 最後の麺を平らげ、席を立った。
 会計のあとは「ありがとうございました」とお姉さんが見送ってくれる。
 今年、電車に乗るのは今日が最後であろう。
 美味しいもので締めくくれた一年に感謝したい。

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2023年11月05日

猫にレイディマクベス

 娘は天海祐希のファンだ。生協のカタログに「レイディマクベス」のチケットが載っていたので、欲しいか聞いてみた。
「欲しい、欲しい!」
「じゃあ注文するよ。抽選だけど」
「当たるといいな」
 そして、運よく入手することができた。
 実のところ、私はさほど演劇に興味ないのだが、機会があれば行きたいとは思っている。内容については何も調べておらず、てっきりミュージカルだと思い込んでいた。違うとわかったのは公演の一週間前……。まあ、都心で遊ぶのが目的だから、こだわりポイントではないけれど。
 当日、12:30の開場前にランチをする。

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 居眠りせぬようアルコールは避け、グレープフルーツジュースにした。
 食べ終わったら会場に移動する。

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 大きなホールでなかったためか、プログラムを買うため列に並ぶこともなく、チケットを見せてから5分後には着席した。

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 ちょっと拍子抜けしたほどスムーズだった。
 それから10分後に幕が上がったのだが、長いセリフの応酬を聞いているうちに、だんだん瞼が重くなってくる。ウトウト。
 しかし、ここでグレープフルーツジュースが力を発揮し、私を眠気から救ってくれた。天海祐希はパワフルさを出すためどうやって練習しているのだろうとか、かつてはトレンドドラマの主役であった鈴木保奈美は今でも輝いているな、などと余計なことを考えながら舞台を見る。仮面ライダーアギトに出ていた要潤は、いろいろな役ができることもわかったし。
 途中で休憩が入り、衝撃的なラストまで見届けたものの、素直に「楽しめた!」とは言えない作品だった。平日の疲れがたまっていて、演劇にはまったく素人のオバさんには難しいのだろう。豚に真珠、馬の耳に念仏という例えが浮かんできた。好みで、猫に小判程度にしておきたい。
 さて、終わったあとはエレベーターで1階に降りる。ここで見た富士山の絵がキレイだった。

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「お茶していく?」
「しよう、しよう」
 たまたま、近くのビルに何かがありそうだった。演劇作品のよしあしはわからないが、飲み食いに関しての私の嗅覚は麻薬探知犬並みである。
「こっちに行くとよさそうな気がする」
「ホント?」
 娘を連れてビルの中に入り、テナントを確認する。「堀口珈琲」と書かれたところで、視線がとまった。
「ここ、ここがいいと思う」
「じゃあ、行ってみよう」
 1階の小ぢんまりとしたお店である。カプチーノを頼んだら、コクがあり、香り豊かな一杯に出会えた。

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「おいし〜」

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 現金なもので、この満足感が休日のレジャーを「楽しかった」と思わせるのだからすごい。
 宝塚のチケットが取れたらいいと願う今日この頃。

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2023年08月16日

with コロナの女子会

 姉は趣味で絵を描いている。
 ちょうどお盆の時期に、応募作が展示されるというので、見に行くことにした。
「賞ももらえたのよ、うれしいわぁ」
「おめでとう〜!」
 連絡を取り合い、妹と姪、私と娘、加えて姉の女5人で集まることにした。
 妹には年末に会ったが、姪に会うのは何年ぶりだろう。
「すっかりギャルになっていたりしてね!」
 娘はそんなことを言っていたが、あり得ないと思い相手にしなかったので、不満そうな顔をしていた。何を期待しているのやら……。
「おはよう」
「久しぶりね、おはよう」
 当日、顔を合わすと、高校時代と変わっていない姪がいてホッとした。
 気になったのはマスクだ。湿度が高く、熱中症のリスクがあるのに、妹も姪も5類引き下げ前と同じようにつけている。姉に至っては、二重のマスクだったのでビックリした。
 一方、私と娘はノーマスク。特に学校関係者は「大人が外さないと子どもも外さないから、なるべくつけないようにしましょう」と考える節がある。私の職場でも、コロナよりも熱中症を警戒し、職員の半数以上は外しているのが現状だ。
 そんなアンバランスな集団となったが、まずは、姉の力作を堪能する。

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 どの作品も総じてレベルが高く、「プロもいるのかな?」と思うほどの出来栄えだ。水彩、油彩、版画等、表現方法も自由なようで、多様な熱気に驚かされた。打ち込めるものがある人は幸せだと思う。
「じゃあ、駅に戻ろうか」
 芸術鑑賞のあとはランチが待っている。
 店の予約が取れるか心配だったのだが、11時という早い時間帯に空きがあった。今年は台風7号のおかげで荒天のお盆休みということもあり、上野駅構内のレカンで正解だった。

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 成人した姪は、コロナで会えなかったうちに社会人となり、しっかり働いている。
「お弁当を作っていくの?」
「ううん、社食。事務所のみんなと食べてるよ」
「便利ねぇ」
 妹もパート先が変わっていた。
「今の会社も家から近いし、悪くないよ」
「やっぱ、近いところが一番よねぇ」
 姉には絵の話題を振ってみる。
「あの絵はね、11月から描き始めて、3月に応募したのよ」
「仕事もあるのに大変だわね」
「年末年始で結構進んだかな。次は山梨を描きたいと思っているの」
 飲んで食べるときは、姉たちもマスクを外す。懐かしい顔が登場し結構うれしい。はしゃいでいたら、メインディッシュが運ばれてきた。

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「やわらかくて美味しいね!」
「レカンにしてよかった」
 デザートにも満足である。

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 楽しかった。このメンバーにそれぞれの夫や息子が加わってもよいけれど、女子会ならではのリズムやノリは、参加した者でないとわからないだろう。
「また集まろうよ」
「そうだね、忘年会?」
「その前でもいいんじゃない」
「また連絡するね」
 席を立つ前に、姉たち3人はマスクをする。コロナ罹患者はまだまだ多いそうだから、用心するに越したことはないのだろう。
 忘年会のシーズンには、する必要がない状況であってほしい。

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2023年06月24日

パンケーキモーニング

 日本人の朝ごはんって、何が多いんだろう。
 TKG(卵かけご飯)じゃないとダメという意見を聞いたことがある。
 カレーライス、という意見もあるが、個人的にはパンケーキを支持したい。
 過去には横浜やお台場のbillsに行き、リコッタパンケーキに舌鼓を打ったものだ。近場では代官山のIVY PLACEのパンケーキモーニングも有名と聞き、ためしに行ってみた。

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 平日は8時から、土日は7時から営業しているらしい。加えて、予約もできるというのでありがたい。
 私がいただいたのは、パンケーキ、ソーセージベーコンに加えて、目玉焼き又はスクランブルエッグを選べるコンポプレートである。
 平日だったせいか、予約なしで10時頃に行ってもすんなりと店内に入れた。土日だったらそうはいかないだろう。客層は地元の方とおぼしき外国人が多い。観光客もそれなりに集まってくるので、多少の待ち時間は覚悟したほうがよさそうだ。

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 パンケーキはモチモチしていてシロップがたっぷり。とても美味しかったが、注意すべきはソーセージである。まあまあ大きいので結構なボリュームとなり、お腹にドカンとくる。男性だったら何ともないかもしれない。しかし、女性にはキツい。
「うわあ、スムージーを頼むんじゃなかった」

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 同行した娘は重くなった胃袋を揺すって、ドスドスと歩いていた。
 私はオレンジジュースにしたのだが、それでも苦しくなってお昼はパスし、おやつも食べずに夕食を迎えた。ランチもおやつも入るという方は、卓越した消化能力をお持ちなのではないだろうか。まったくもって羨ましい。
「く、苦しい……」
 パンパンに膨らんだお腹を抱えて途方に暮れる。
 パンケーキは大好きだけど、しばらくは玄米フレークの朝ごはんでいいかなぁ。

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2023年04月09日

特別・格別な食事

 2月に神奈川県の大山(おおやま)に登った。
「はーはー、頂上はまだかな?」

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 ケーブルカーを下りて2時間半ほどで山頂に着き、下山してから名物のとうふ料理屋さん「小川家」に寄る。
 日常的に、空腹を感じる前に食事になることが多いのだが、さすがにこの日はお腹が空いていた。胡麻豆腐、揚げ出し豆腐、湯葉、炊き上げ、グラタン、炊き込みご飯など、出てきた料理を美味しく平らげ、満足満足。

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 デザートの豆乳プリンもデリシャスであった。

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 外食もいいが、山頂でいただくおにぎりも格別な味がする。次があったら、チャレンジしてみよう。

 もうひとつ、滅多に食べられない食事にありつく機会があった。
 某中学校を訪問した際、お昼どきだからと給食をいただいた。

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 これで335円というから驚きだ。
 メニューはクリームシチュー、ジャンバラヤ、じゃこサラダであった。歯応えのあるじゃこサラダは、ドレッシングが絶妙でイケたし、ジャンバラヤは薄味なのにエスニック感が印象的で、ほんの何分かで食べつくした。
 お腹を満たすだけでなく、自分が中学生だったウン十年前にタイムスリップした感覚があった。本当に懐かしく、あの頃を思い出す。勉強は好きじゃないけど、給食は食べたいから学校に来るという友達もいたっけ。
 こちらの給食は学校内で作っているという。毎日、こんなに美味しい給食を食べられる生徒たちは、幸せな環境にあると知ってほしいものだ。
 食事は大事。
 食材からいただいた命で、私たちも元気をもらっている。

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2023年02月11日

BISTRO FAVORI 代官山

 そうだ、ファボリに行こう! となった動機はフレンチトーストだ。
 HPを見ていたら、お店の名物のようだったので、一気に興味がわいてきた。
 お店の外観が高級そうで、敷居が高く感じるけれど、店内には「普段着感」があって、予想外の居心地のよさだった。

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「入口の近くでお寒いですから、ブランケットをどうぞ」と声をかけてもらったおかげかもしれない。足元が暖かくなり、体全体がリラックスできたと感じる。
 まずはグリーンサラダ。

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 野菜たっぷりでありがたい。
 ドレッシングを選んだ気がするが、何だったっけ? すっかり忘れている。
 安納芋のポタージュ。

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 ほどよいとろみと甘み、舌触りのよさで、幸せな気分に浸る。
 有頭エビのライスボウル。

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 黒毛和牛のロティ 赤ワインソース。

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 サバの香草焼きにすることもできるが、こちらで正解という気がする。弾力性のあるビーフにコクのあるソースが絡み、安定したお味に満足した。
 そして、いよいよFAVORIフレンチトーストがやってくる。
 代官山チーズケーキという選択肢もあったが、フレンチトーストに比べると、大人と子どもほどの差を感じる。ここはひとつ、どっしりとした横綱級のフレンチトーストで締めくくるべきだろう。

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 たしか、お皿を運んでくれたお姉さんが「10時間漬け込んだフレンチトーストです」と説明した気がする。卵液がパンの隅々まで行き渡り、実にしっとりとして美味。素晴らしい!

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 アフタヌーンティーもあるらしい。紅茶のおともにもよいだろう。
 テイクアウトもしているとは恐れ入った。いろいろなルートで、この大作をいただく機会が提供されている。
 食後、席を立ってわかったのは、見た目ほど重くないということだ。
 きっと、フワフワのパンを漬け込んでいるのではないか。
 安心して、2回目、3回目に挑戦しようではないか。

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2023年01月04日

きめこみで作る「椿と獅子舞」

 手芸が好きだ。
 学生時代、冬場はセーターを編み、夏場はマスコットを作っていた。
 主婦になり、子どもも成人を過ぎたが、今でも「何か作りたい」と思っている。
「ややっ、これは面白そう」
 生協のカタログに「かんたんきめこみ」なるキットを発見し、注文したのが去年の4月であった。月に1回、季節に合わせた一年分のキットが送られてくる。
 しかし、しかし。
 ちょうど職場を異動したばかりで、私は心に余裕がなかった。仕事が休みの土日は、平日できなかった仕事の残りや家事に追われ、新しいことに挑戦するエネルギーが不足しており、キットは手つかずで山積みになっていった。

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 年末の大掃除で、キットの山をあらためて確認する。
「おや? 椿と獅子舞だって。ちょうどタイムリーだから、作ってみようかな」

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 年明けの優雅なひとときをつかい、初きめこみにチャレンジした。
 ところで、きめこみとは何か。
「板目紙に綿を入れずに布地を平らに貼りつけた押し絵」だそうだ。漢字で書くと木目込み又は極め込みとなるらしい。
 キットを開封する。

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 板目紙ならぬ発泡スチロールの台紙に、布地は色とりどりのちりめん、押し絵は型紙がついており、至れり尽くせりのセットとなっていた。カッターや目打ち、チャコペンシル、接着剤は自分で用意する。

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 台紙には、両面テープを使って押し絵を貼る。

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 ちりめんは型紙通りに切る。

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 布地の色を間違えないようにして、若い番号順に、台紙の同じ番号にはめていく。それだけだ。
 注意事項としては、ちりめんの向きだろうか。織り方で縦と横が決まっているので、間違えないように裁断する。
 絵柄に沿ってカッターで切り目をつけ、さらに目打ちで切り目を広げて、布地の端を押し込める作業を延々と繰り返す。コツをつかむまでは、余計な力をつかってしまい、腕が痛くなった。

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 ひたすら地味な作業なので、じきに飽きる。一日で終わらせようとせず、二日に分けて半分ずつ進めることにした。
 押し込み方が甘いと、隣接する布地の作業につられて、完了したはずの絵柄が浮いてくる。また、縫いしろが結構余ってしまい、カットし直すこともあり、難儀しながら進んで行った。
 ようやく、きめこみ部の作業が終わったときは、すがすがしい気持ちになる。

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 さて、ここから顔に取りかかる。
「えーと、白目の上に接着剤で黒目を貼り、さらに眉毛をつけるってか?」
 鼻は目の位置が決まってからだ。
 ポジショニングを始めると、懐かしいものを思い出した。
「そうか、福笑いに似ているんだ。よくやったっけ」
 こんな感じになったことをおぼえている。

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 イケメンの獅子舞にするため、眉毛の角度、両目の間隔、鼻の配置を調整する。最後にボールペンで、歯をチャチャッと描いて完成だ。
「できた!」

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 どうです?
 プロから見ると「まだまだ」のレベルだろうが、ビールを開けてしまうほど、嬉しくて嬉しくて仕方ない。
 ときはすでに1月4日。問題は、これを飾れる期間が非常に短いことだ。
 すでに手元には「福寿草と節分」が届いている。

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 この勢いで作っちゃおうかな。

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2022年12月18日

特別な日のマダム・トキ代官山 

 代官山駅から山手通りを松濤方面に歩いていたら、クラシックで品のある建物の前を通った。
「レストラン マダム・トキか。へえ、オシャレ」
 そのうち行ってみようと決め、先日、やっと予約をすることができた。
 グリム童話に出てきそうな門をくぐり、中へ入る。

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 室内にも大正期の横浜のような香りが漂っていた。
 席にはキャンドルが灯り、薔薇が出迎えてくれる。

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 この日はメニューCにした。
 アミューズブッシュ。

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 季節のプティオードヴル。

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 鯖のマリネ。

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 リンゴと組み合わせているのが斬新だった。非常に食べやすく、爽やかな鯖に驚く。
 ここで隣の席に若いカップルがやってきた。つき合い始めて1カ月記念、なんて感じの会話が交わされている。ウエイターに料理を注文し、「苦手な食材はございますか」と聞かれたとき、女性の方が「鯖はちょっと」と答えていたので気の毒になった。
 フォアグラのポワレ。

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 うーむ、これは絶品である。フォアグラの焼き加減はお見事としか言いようがない。
 鱈のポワレとその白子のムニエル。

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 こちらは白子が素晴らしい。新鮮で弾力性があり「来てよかった」と言いたくなるお味なのだ。
 オマールエビ。

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 実はオマールエビが大好きなワタシ。メニューBにはこれがなかったので、Cを選んだ決定力になっている。
 和牛ヒレ肉。

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 メインはもちろん、温かいパンもすべて口当たりがよくて、久しぶりに満足できるコースが堪能できた。このレストランで正解だ。
 フロマージュ。

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 ハチミツの甘味がチーズの塩味を引き立てる。
 最後はワゴンデセール。全部で10種類あるケーキ類から、好きなものを好きなだけいただける。
「えーと、じゃあ奥の3種類以外の全部をお願いします」
「了解いたしました」
 なんて頼むと、こんな感じで盛り付けていただける。

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 種類が多いと、小さめのカットとなるので、食べ過ぎを心配する必要はない。
 ちなみに連れは3種類にしたので、少々大きめに切られている。

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 お皿を下げる際、ウエイターから「足りましたか?」などと聞かれていたので笑ってしまった。
 こちらの店のよいところは、料理の待ち時間が短い点だろう。食べ終わると、まもなく次のお皿が運ばれてきて、無駄な時間がほとんどない。
 もっとも、私がデザートを7種類も頼んだせいで、最後は手間暇かかった気がする。きっと10種類すべてを食べたい人もいるに違いないけれど。
 7種類の中ではプリンがイチオシだ。硬さといい、カラメルとのバランスといい、これは血統書付き正統派プリンに間違いない。
 私が舌鼓を打っている間に、店内には若いカップルがたくさんやってきた。どのペアもオシャレを楽しみ、相手への愛情を惜しみなく言動に表している。この中から夫婦に進展し、子孫が生まれていくのかもしれない。
 店を出る頃には、なんだかとても幸せな気持ちになれた。
 カップルたちの放つハートマークが、私の席にも飛び込んできたかもしれない。

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 「これはしたり〜笹木砂希〜」(エッセイ)
 「うつろひ 〜笹木砂希〜」(日記)
posted by 砂希納言 at 16:59| Comment(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする