2017年01月31日

トイ・プードル、コーギー

 エッセイ仲間の一人が、年末からマンチカンを飼い始めた。
 彼女は筋金入りの猫派である。メールを送っても返事が来ないのは、キャットファーストになっているからだろう。
 もっぱら、私は犬派なので、猫の可愛いらしさがわからない。
 ありがたいことに、隣のご家庭も犬派だった。まだ娘が保育園児だったとき、沖縄みやげを持ってピンポンしたことがある。
「こんにちは〜! 旅行のおみやげ持ってきました」
「あら、ありがとう」
 奥様が、緩いウエーブのかかった肩までの髪を揺らし、階段を下りてくる。右手には、小さなトイ・プードルを抱っこしていた。
「ウウ〜、キャンキャンッ」
「ピーちゃん、静かにね」
 しかし、ピーちゃんと呼ばれるワン公は、一向に静かにならなかった。奥様を取られると思っているのか、小柄な体で精いっぱいの声を張り上げ吠え続けた。
「ああ、こんにちは」
 そのうち、ご主人までやってきた。ピーちゃんはますますヤキモチを焼き、吠える合間に歯をむき出して、威嚇してくる。なんというわかりやすさ。パパとママが、自分以外にやさしく接するのが気に入らないのだ。
「あら、宅配便かしら」
 奥様が顔を曇らせる。この辺りは袋小路になっているため、業務用のトラックはバックで進入してくるのが普通だ。ピーッピーッという音が聞こえてくると、ピーちゃんはさらに騒ぎ出した。
「この子はね、バックするときの音が嫌いなのよ」
 トイ・プードルにとっては、不審者2人組と耳障りな音のダブルパンチだったらしい。吠え疲れ、帰る頃にはゼイゼイしていた。

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 その後は、宅配便のトラックが来るたび耳をすましてみる。ピーちゃんの「キャンキャンッ」という悲鳴が、必ずといっていいほど、あとに続くからだ。「ふふふ」と笑いがこみ上げてくる。
 お向かいの家では、コーギーを飼っている。まだ子どものようだが、家人にあまり構ってもらえない。退屈しのぎに、うちの玄関を見張っているらしい。一歩家から出ると、「来た来た」とばかりに、境界線の柵に近づいて「ウォウ〜」と呼びかけてくる。

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「あ、モモちゃん、おはよう」
「ウォッ、ウォッ」
 辺りをグルグル回って飛び跳ね、全身で喜びを表現するのは犬の特権か。何とかしてこちらに来たくて、柵を飛び越えようと後ろに下がる。助走をつければ高く跳べると知っているからだ。しかし、1mの柵は犬にとっては鉄格子。決して越えられないと悟り、鼻先だけを出して悲しげに「クンクーン」と鳴く。
 柵越しに頭をなでたり、声をかけてやるだけでモモちゃんは嬉しいようだ。パッと柵から離れて走り回り、舌を出して楽しそうに笑っている。すぐに戻ってきて、また鼻先を出す。その繰り返しである。
 決して、しつけの行き届いた犬ではない。お向かいの幼い末っ子が、「痛い! モモに噛まれた」などと叫ぶこともあった。柵越しに触れ合う程度がちょうどいいのかもしれない。
 ピーちゃんは、高齢のため目が見えなくなり、間もなくいなくなった。
 モモちゃんちも、いつの間にやら引っ越して、もぬけの殻になっている。
 うちでは動物を飼わない。別れがつらいと、何匹もの犬を看取った義母が嫌がるからだ。
 お隣で、ピーちゃんのあとの犬を飼ってくれいと念じてみた。
 ワタクシ、ビーグルが好きなのよね……。

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2016年12月30日

迎賓館で撮影会

 赤坂迎賓館に行ってきた。
 前回は整理券がもらえず、前庭だけの見学だったが、今回はWebで主庭・本館の見学ができる。カメラを充電し、オシャレをして家を出た。
「あれ、参観証はいつチェックするのかな……」
 入場料は1000円。チケットのチェックはするが、いつになっても参観証を拝見しますとは言われない。
 それもそのはず。この日は来客数が少なくて、人数制限なしで誰でも入れたらしい。
「くうう〜、悔しい! 必死で申し込みをしたのに」
 娘が、閻魔大王のような顔になり、怖かった。どうも、大学の授業中にコソコソとスマホを操作したようだ。
「でもさ、10000円前後のバスツアーに申し込んだ人は、もっと悔しいと思うよ」
「それもそうね」
 気を取り直して入館する。
 内部は撮影できない。入口の、「ポケモンGOは禁止です」という掲示にニヤリとした。
 館内は、白と金が基調となっており、とても上品だ。リーフレットから、雰囲気を味わっていただこう。
「彩鸞の間」

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「花鳥の間」

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「中央階段」

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「羽衣の間」

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「朝日の間」

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 どの部屋も、豪華で美しかった。ネズミになって、ここに住みたいと思ったくらいだ。いや、ネズミは目立つから、蜘蛛でもいい。ゴキブリは絶対にイヤだけど、ダニでも構わないからいさせてもらいたい。
 見学所要時間は1時間と書いてあったが、じっくり見なければ30分ほどで終了する。豊かな気持ちのまま、主庭で写真撮影を始めた。
 左側からみた本館。

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 いつから、パソコンで写真の補正ができるようになったのだろう。曲がって撮影しても、回転させて水平に直せる。これは便利だ。
 これは何という植物なのか。色とりどりでキレイだが、キャベツにしか見えなかった。

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 本館に続く階段には障害物が。ないと勝手に上がってくるのかもしれない。

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 疲れて座り込む人がいるってこと?

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 やや右から撮ると、建物はまた違った表情を見せる。

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 マイナスイオンを放つ噴水。

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 水のしぶきが炭酸みたいで軽やかだ。舞踏会をしているみたい。
 おお、本館も噴水も両方いただけるスポットがあった。

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「お母さん、そこどいて。今、パノラマで撮っているから」
 娘がアイフォンを駆使して、本館と噴水を並べて撮っている。できた写真がこれ。

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「うっそ〜、こんなにワイドに入るものなの?」
「余裕、余裕」
 アイフォン恐るべし。私のミラーレスにもパノラマモードはあるが、説明書を持ってこなかったことが悔やまれる。
 主庭から前庭へ移動する。前庭から見た迎賓館は、両手を大きく広げた姿をしており、実に優雅だ。

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 ここでも、カメラワークに苦労する。右か左に寄れば、端が切れずに写せるのだが、正面に来たらまず無理。

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 思い切り後ろに下がっても、左右のどちらかが欠けてしまう。キイイ〜!

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 またもや、娘はアイフォンをかざして涼しい顔をしていた。
「ねえ、ちゃんと撮れた?」
「うん。ほら見て」

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「……すごッ」
 アイフォンの偉大さを思い知らされた。何と素晴らしいのか!
「お母さんもアイフォンに変えようかな……」
「ラインができると便利だから、こっちも助かるんだけど」
 あ、ラインね。
 あれは既読がついて面倒だから、やっぱりやめておこう。
 でも、カメラ機能は捨てがたい。まあ、そのうちに。
 今回は、和風別館の予約が取れなかったので、年末にしつこくチャレンジしていた。その甲斐あって、2月には行かれることになっている。
 うーん、アイフォン……。どうしよう。
 てか、まず説明書を見て、ミラーレスのパノラマを試してみろよ、と自分に言い聞かせた。

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2016年11月26日

夜の科博「ラスコー展」

 11月18日金曜日。
 夜の科博に忍び寄る。

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 大きなシロナガスクジラも、ライトアップされて妖しい魅力を放っていた。

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 目指すは「ラスコー展」。
 金曜限定ペア得ナイト券なら200円、じゃなかった2000円で入れるから、前売券は買っていない。
 見どころは3つ。
 1つ目は「洞窟壁画の最高傑作を間近で体感」。
 ラスコー壁画は、今から約2万年前にクロマニョン人が描いたものだそうだ。当時は氷期で今よりも気温が低く、草原の中をマンモス、オオツノジカ、ホラアナライオンなど、その後絶滅してしまう運命の大型動物たちが歩き回っていたという。
「お母さん、オオツノジカの隣の動物を見て」
 大学2年の娘が指をさして話しかける。
「ん?」
「クサイって書いてあるのかと思った」
 正しくは「ケサイ」だが、よく似ている……。

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「あはははは」
「はっはっは」
 周りは仕事帰りのOLやサラリーマンばかり。こんなバカ話をしているのは私たちだけだろう。
 壁画が発見されたのは1940年。ほんの76年前である。マルセル君という少年の飼い犬が穴に落ち、彼は犬を助けようとして、偶然、洞窟と壁画を見つけた。ドジなアホ犬であっても、クロマニョン人の大きな遺産を、世に知らしめるきっかけを作ったのだから偉い。
 人気が爆発したのは1940年10月以降。1948年には階段、照明、床などが整備され、1958年には空調設備が取り付けられたこともあり、1963年までの間に100万人以上が壁画を見に訪れたという。
 ところが、1950年以降、洞窟内には緑、白、黒のシミが発生し、危機的状況を迎えた。原因は洞窟を訪れる客である。人が呼吸することで、洞窟内のバクテリア、藻類、菌類が増殖し、炭酸塩が分解・沈殿して、壁画が破壊されるリスクが高まってしまった。
 やむなく、1963年4月17日以降、ラスコー洞窟は公開を取りやめ閉鎖する。私が生まれる前に閉鎖されていたとは思わず、ひどくガッカリした。
 おそらく、同じ想いの人はたくさんいるだろう。そこで、ラスコー洞窟の近くには、レプリカが製作されたらしい。今回の展示では、3次元レーザースキャン技術などを駆使して、さらに精巧な実物大のレプリカを完成させたというから楽しみだ。
「褐色のバイソン・ヤギの列・ウマの列」

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「泳ぐシカ」

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「黒い牝ウシ・ウマの列・謎の記号」

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「背中合わせのバイソン」

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「井戸の場面」

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 洞窟を抜けると、オオツノジカのレプリカがドーンと仁王立ちしていた。左右に大きく広がる角の重さは、45kgにもなったという。

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 見どころの2つ目は「芸術のはじまりを知る」。
 ネアンデルタール人までの遺跡には、芸術的要素がゼロだったそうだ。だが、クロマニョン人は違う。仕留めたトナカイの角などに、動物たちの絵を刻んだり、その道具としての彫刻刀も見つかっている。また、洞窟には黄・赤・琥珀色などバリエーションに富んだ色の絵の具(顔料)が残されていた。
 残念なことに、このエリアは撮影禁止であった。
 写真は、チラシに掲載されたものをご覧になっていただきたい。

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 見どころの3つ目は「クロマニョン人の正体を解き明かす」。
 展示の冒頭に、クロマニョン人の母子の模型がある。アクセサリーを身につけ、ボディペインティングが行われていたそうだ。

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 こちらは第5章にある夫婦? の模型である。

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 女性は貝殻のビーズをつけた頭飾りを身につけ、寒さから身を守るために動物の毛皮を積極的に利用していた。骨で縫い針を作り、高度な裁縫技術を生み出すことで、機能的な衣服を着たと見られている。
 狩猟具も多彩で、石だけでなく角も利用して様々なタイプの槍先を作り出した。しかし、ここも撮影禁止……。
 クロマニョン人の外見は、現代人と変わらないらしい。ホモ・サピエンスはアフリカで進化し、5万年前から世界中へ大拡散した。その中で、ヨーロッパにやってきた集団がクロマニョン人と呼ばれている。
 男性は身長176cm・体重71kgで、女性は身長164cm・体重60kgと推定されており、ネアンデルタール人の男性166cm・78kg、女性が161cm・68kgと比較すると、スラリとした体型であった。
 現代ヨーロッパ人は、クロマニョン人との遺伝的なつながりがあると確認されているが、西アジアからの大規模な集団や東方からの騎馬民族とも混血することによって、形づくられたと考えられている。
 ふむふむ。
 勤務後で、脳が学習を拒否する割には、そこそこ理解できた。
 レプリカではない、ほんまもんの写真も展示されていた。

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 いいな〜。私もカメラマンになればよかった。今さら無理だけど……。
 最後におみやげを買う。
 バウムクーヘン。

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 壁画チックな絵柄がついていて楽しい。

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 しかし、トイレットペーパーに見えないこともないが……。まあよい。
 ビーフジャーキー。

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 スーパーやコンビニの商品と大差ないと思うのだが、なぜか娘が「うまそうだ」と食べたがり購入する。
 あー、収穫、収穫。
 知識と食料をゲットし、暗闇に浮かび上がる科博をあとにする。

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2016年10月31日

シェアして楽しむ「俺のフレンチ」

 10月も今日で終わりだ。
 今月は「誕生日」という大きなイベントがあった。友人の幸枝がお祝いディナーを予約してくれて、2人でいそいそと出かけた。
 場所は新橋。「俺のフレンチ」という店である。
 評判を耳にしたことはあるが、実際に入ったことはない。どんな感じなのかとワクワクしながらドアを開けた。
「いらっしゃいませっ」
 スタッフには若い人が多く元気だ。店内は狭いので、体の大きな人は厳しいかもしれないが、私も幸枝もBMIは低い。ピアノの近くの席にかけ、メニューに見入った。
「当店の料理はボリュームが多めです。2人だったら4〜5皿でお腹いっぱいになります」などと書かれた文字が気にかかる。
「えーとね、おススメはこれとこれとこれと……」
 幸枝は全然気にしていない。結局、6皿も頼んでしまったが、大丈夫なのかと不安になった。
 まずは乾杯から。
 スパークリングワインを頼んだら、「なみなみ」の量を注いでくれるので、これまたビックリする。

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「一口飲んでから乾杯でお願いします」
「はいっ」
 触れたらこぼれそうだ。まずは「ゴックン」と飲んで体積を減らしてから、グラスを持ち上げた。
「生ウニのエスプーマ オマール海老とキャビアのジュレです」
 まずは一品目。たしかに大きくてボリュームがある……。

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 ウニとキャビアの使用量が半端ないところが魅力だ。お皿の彩も美しく、センスのよさを感じる。
 二品目。「オマール海老のロースト」。 

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 半身かと思いきや、1匹丸ごと登場するので「ええっ!」と叫んでしまった。
「すごい量だね……」
「一皿でよかったね……」
 でも食べられてしまうのだ。美味しいものは入ってしまうこの不思議。
 三品目。「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ」。

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 うわあ、これもシェアすればよかった! いくら美味しくても、さすがにちょっと無理。ギャル曽根には及ばないけれど、私よりも大きな胃袋を持つ幸枝に手伝ってもらった。
「ううーん、く、苦しい」
 しかし、まだあるのだ。ピアノ演奏とともに、バースデープレートが運ばれてきた。
「ハッピーバースデー ディア 砂希さん♪」
「おめでとう〜!」

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 スタッフからはプレートを、他のお客さんからは拍手をいただき、にっこり笑顔になる。
 これは絶対食べなくては!
 気合いを入れれば何とかなる。ブラウニーもプリンも無事胃袋に収まった。
 お祝いにいただいたお花は2週間以上持ち、私の目を楽しませてくれた。

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 フレンチは、美味しいものをちょっとずつという既成概念が、ガラガラと音を立てて崩れていく。
 どの料理も一流店に引けをとらない仕上がりだったし、スタッフの温かいサービスで居心地よく過ごせた。この店はいい。
 気の置けない友達や家族とシェアしながら、次回はリゾットやデザートまで進みたいものだ。 
 また行きま〜す!

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2016年10月02日

サバティーニ ディ フィレンツェでお夕食

 夕食係の夫が珍しく出かけることになった。
 大学2年の娘は4限まで授業だし、私は5時まで仕事がある。どこかで落ち合って夕食をすませようと考えた。
「何かおいしいものが食べたいな」
 娘が何を想像したかはわからないが、私には行きたい場所があった。
「そうだ、サバティーニは? 来年の3月で店じまいしちゃうのよ」
 銀座ソニービルの解体工事にともない、イタリアンレストランのサバティーニ ディ フィレンツェも閉店するはずである。まだ一度も行ったことがないので、移転前に足を運ばなければと思っていたところであった。
「なんでもいいよ」
 金曜の夜だったが予約が取れたので、食欲の塊と化して出かけていった。
 いろいろなコースがあり迷った。やはり、こういうときは旬のものがいいだろう。ポルチーニ茸などをたっぷり使ったコースがよさそうな気がした。
 まずはシャンパン。

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 この日、私はとても喉が渇いていた。忙しくて、13時以降水すら飲めずに夕食を迎えるはめになったからだ。
「うめ〜」
 ……ちょっと、オヤジ臭くなったことは反省点であろう。
 テーブルのお花に嫌がられてしまうかしら。

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 スモークしたキングサーモンとアヴォカドのタルタルサワークリームソース イクラとキャビア添え。

s-スモークしたキングサーモンとアヴォカドのタルタルサワークリームソース.jpg
 
 この写真がなかなかアップロードできず不思議に思ったら、「ファイル名が長すぎます」とのメッセージが出てきて笑った。お料理名をそのままファイル名にしたのが間違いだったらしい。
 ポルチーニ茸の香り溢れる濃厚な味わいクリームスープ。

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 いかにも秋らしい味覚であった。ポルチーニ茸が不足していて、来週はこのコースが提供できないかもしれないと言われたが、間に合ってよかった。
 海老、帆立貝、ブロッコリーとサルデーニャ産カラスミで和えた自家製手打ちパスタ。

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 フレッシュポルチーニ茸のオーブン焼き ほのかなタイムとニンニクの香り。

s-フレッシュポルチーニ茸のオーブン焼き ほのかなタイムとニンニクの香り.jpg

 本マグロの香草パン粉焼き 濃縮バルサミコのソース。

s-本マグロの香草パン粉焼き 濃縮バルサミコのソース.jpg

 口直しもある。
 カシスネクターとフランチャコルタのレモンシャーベット キールロワイヤル仕立て。

s-カシスネクターとフランチャコルタのレモンシャーベット キールロワイヤル仕立て.jpg

 そしてメイン。
 和牛フィレ肉のソテー 新鮮なフランス産キノコ、秋トリュフを添えて。

s-シェフ特選 和牛フィレ肉のソテー 新鮮なフランス産キノコ、秋トリュフを添えて.jpg

 デザートはワゴンから2品選べる。
 私はパリブレストとティラミスにした。

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 甘いものは久々だったので、糖分が体に染み入るような味わいだった。
 途中でイタリアビールを2杯飲み、機嫌よく家に帰ったのだが、異変は夜中に起きた。
 熟睡していたはずなのに、体調不良で目が覚めてしまった。
「うーん、何だか胃がムカムカする……」
 疲れた体に高カロリーのごちそうを詰め込み、アルコールで流し込んだせいか、消化不良を起こしたようだ。まもなく下痢と吐き気に見舞われた。
 美味しいものを食べるときは、体調も万全でないとあとがツラいと悟った出来事である。
 
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2016年08月29日

ひのきざか 鉄板焼

 ルノワール展を見るため六本木に行った。
 5月にも行った展覧会だが、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」がオルセーに帰る前に、もう一度見たくなったのだ。
 目当ては芸術鑑賞だけではない。舌や胃袋も満足させなくては。
 そんなわけで、まずはザ・リッツ・カールトン東京にある「ひのきざか 鉄板焼」に向かった。
 六本木にはグランドハイアット東京もあり、こちらにも「鉄板焼 けやき坂」という店が入っている。最初は「ひのき? けやき? ああもう、どっちがどっちだったか、わかんない」などと混乱したが、ようやく慣れた。好物の肉が食べられる店として、しっかりインプットしておこう。
 鉄板焼にはビールが合う。サッポロ ヱビスを注文した。

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 「翡翠」ランチのお料理が運ばれてくる。
 まずは、「絹皮なすの冷たいポタージュ オマールコンソメジュレ」。

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 茄子をポタージュにする発想はなかったが、なんの違和感もないところがプロだ。
 でも、茄子の皮を糸状にしてトッピングするのはちょっと……。私の味覚は、ついていかれなかった。
 次に、「帆立のムースを詰めた舌平目の蒸し焼き 香草パン粉 パプリカソース」。

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 あっさりと、淡白な蒸し焼きである。それだけに、パプリカソースが映えるのだ。のど越しもよくて、夏バテに効きそうだ。もっとも、食べることが大好きな私は、夏バテなんぞしたことないが。
 それから、「鉄板焼きシーザーサラダ」。

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 ドレッシングがトッピングとマッチして、パリパリといただけた。
 お待ちかねの「黒毛和牛フィレステーキ80g」。

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 この肉は半量のみ。このあと追加でよそってもらった。ちなみに、サーロインにすると100gである。
 ほどよい脂と、和牛ならではのやわらかさで「来てよかった〜」とうれしくなった。舌が喜び、胃腸も万歳三唱をしている気がした。
 お食事は「特製牛肉入りガーリックフライドライス」を選んだ。白ご飯もあったが、ニンニクは美味しい。

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 食い意地が張っているので、この倍くらい食べたいところだが、デザートもあるし、ぐっとこらえる。
 最後は「抹茶わらび餅と白桃」。

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 プルプルのわらび餅は甘すぎず、口の中で身ぶるいして崩れる。可愛いなぁ〜。
 ごちそうさまでした。
 ところで、このあとのルノワール展がメチャ混みで参った。先手必勝の5月と違い、「終わっちゃう、終わっちゃう」と慌てて駆け込む人が多いのだろう。どの絵の前も人だかりで、優雅な気分が一気に吹き飛んでしまった。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットだけ見られれば、あとはいいや」
 すっかり投げやりになり、ほとんどの絵を素通りして、お目当ての場所に直行した。
 展覧会は、一度だけ、全神経を傾けて見るものらしい。
 美味しいものは、何度でも味わいたいと思うけどね。

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2016年07月30日

思い出いっぱい「LaLa原画展」

「池袋西武でLaLa展やるって。見に行こうよ」
 声をかけてくれたのは大学2年の娘である。そんなイベントがあるとは露知らず、うっかり見過ごすところであった。教えてくれてありがたい。
「清水玲子の絵はいいよね」
 何年か前、娘に『輝夜姫』を読ませたら、すっかりハマってしまったことがある。いまどきの漫画家に比べて、絵がキレイでストーリーも凝っており、「クオリティが高い」んだそうな。
 日程を調整して、いそいそと池袋まで出かけた。

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 入口にたどり着いたとたん、私の心は高校時代にタイムスリップした。真っ先に目に入ったのは、成田美名の絵だ。夢中になるほど好きではなかったけれど、たまらなく懐かしい。
 入口付近に、私よりも幾分年下と思われる女性2人組がいた。
「あの頃は○○さんが人気で」
「そうそう! アニメ化されたし!」
 彼女たちもタイムスリップしているのか、声量まで高校時代に戻っている。かなり騒々しいので、大人の分別を取り戻してほしいところだ。さっさと抜かして歩き、雑音とサヨナラした。
 LaLaは今年で40周年を迎えるらしい。私が熱心に読んでいたのは、創刊10年目あたりか。前半はストライクの漫画家が多かったが、知らない漫画家も多かった。
「あ、藤原ヒロだ」
 私が知らなくても、娘が知っていたりする。世代交代しても、雑誌が人気ならそれでいい。
「清水玲子だ!」
 2人がファンの漫画家には、じっくり時間をかけて鑑賞する。
 さすがに原画は、印刷物より格段に美しい。今はパソコンを使うこともできるが、創刊当時はすべて手作業だったはず。清水先生の丁寧で正確な描画を目のあたりにして、口が半開きのままになった。
「この絵、見たことない」
「『月の子』のベンジャミンだよ。これも持ってるから、今度貸してあげる」
「わーい」
 娘に別の漫画を貸す約束をして次に進んだ。
 鑑賞していた40分間は、高校1年生のクラスを思い出していた。毎月LaLaを買っていたのは紀子。読み終わったら学校に持ってきて、回し読みをしたのだっけ。授業中でも待ち切れず、バレないように続きを読んだ。いいところで終わった連載は、次号が待ち遠しくて気が狂いそうになり、結局自分で買うことにした。
 美形のキャラの冒険や恋愛は、現実にはあり得ないことだとわかっていても、少女たちの未来に夢を与えてくれる。私の人生にも、この先、多少はドラマチックなことが起きるかもしれない、という類に。
 決してバラ色ではなかったが、空色やレモン色などの淡いイメージで人生を描いていた気がする。
 出口付近にも清水玲子の原画があった。ここを通り過ぎると売店となり、現実に引き戻される。タイムスリップは終了だ。
 実際の私の人生は何色になるのやら。淡い色でないことは確かで、濃い人生を送ってきた。レンガ色あたりが妥当ではないかと思っている。
 さて、売店では、公式ビジュアルブックと

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 クッキーを買ってきた。

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 中は、こんな感じになっている。

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 お菓子がなくなっても、薬などの小物を入れて使いたい。
 ビジュアルブックでは、再会できてうれしい漫画家が何人もいた。
 山岸凉子。

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 以前、『日出処の天子』を娘に読ませたが、「絵が嫌い」と拒否されて悲しかった。
 木原敏江。

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『摩利と新吾』は名作だ。何度泣かされたかわからない。他にも琴線に触れる作品が多く、電車の中では読むと下を向き続ける破目になる。
 大島弓子。

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 浮世離れした作風が、現実の悩みや苦しみを吹き飛ばしてくれた。楽天的に生きてこられたのは、チビ猫のおかげかもしれない。
 ひかわきょうこ。

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 妹が『彼方から』を揃えていたので、全巻借りて読んだ。『荒野の天使ども』も読んだことがあるが、登場する男性が強くて正義感にあふれており、「こういう人が彼氏ならいいな」と夢を膨らませた。
 樹なつみ。

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 初期の頃からのファンである。『蛍たちは笑う』という作品が好きで、繰り返し読んでいたら、続編がいくつも飛び出して、もっと好きになった。どの作品にも、読者の心をつかむ言葉が随所に散りばめられており、新刊が出るたびに「この作品に出会えてよかった」と思える数少ない漫画家である。
 清水玲子。

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 キャラも背景も小道具も、描くものすべてが美しい。色彩感覚も素晴らしく、漫画を超えた芸術品の域に達している。作品を読んでいると、現実逃避したくなるのが難点か。
 青池保子に萩尾望都、かわみなみもいたけれど、切りがないので割愛……。
 仕事に追われる今は、楽しませてもらった作品を読み返す気になれない。
 定年退職後の楽しみにとっておこう。

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2016年06月05日

バウム吉祥寺

 子どもの頃からバウムクーヘンが好き。
 その日は、午後から杉並区に出かけることになっていたので、帰りは井の頭線から吉祥寺に出るつもりだった。せっかく吉祥寺を経由するので、何かおいしいものはないかと検索してみる。
「バウム吉祥寺」
 私がこのワードを見逃すはずはない。店舗は駅から少々離れた場所にあるが、好物のバウムクーヘンをゲットするためにはノープロブレム。三菱東京UFJ銀行の脇をすり抜け、まーるいお菓子を想像しながら小走りに歩いた。
 視界に入るのは2号店から。こちらは種類が少ないので、さらに奥の本店を目指す。
「いらっしゃいませ〜」
 若い女性スタッフが感じよく迎えてくれた。
 目当てはバウムクーヘンを使ったショートケーキだが、内側の様子がわからない。サンプルで切り口を確認し、店員さんに質問しながら買い物を終えた。若いころは、店員さんと話をすること自体が面倒だったのに、変われば変わるものだ。
「おみやげ買ってきたよ」
 箱を開けて、夕食後のデザートに早変わり。
 夫が選んだのは、バウムの上や周りにフルーツ・生クリームがたっぷり載った一品であった。

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「甘すぎなくてふんわりしていて、これはいいよ」
「ふーん」
 チーズケーキの好きな娘は、バウムクーヘンをくり抜いた土台の中に、ベイクドチーズが詰まった品を選んだ。

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「おいしい。一口あげるよ」
「わあい♪」
 このチーズはかなり濃厚。かといって、しつこくない。娘はあっという間に平らげた。
 一方、私が選んだものは、バウムの上にプチシューを並べて、クリームとカラメルで固めた「サントノーレ」。カラメルが歯にくっつくし、バウムにはイマイチ合わない。これは失敗作なのではと落胆した。

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 見た目はパーフェクトな美しさなのに、惜しいことだ。
「悔しいなぁ。これは、オリジナルバウムクーヘンで仇をとらなくては」
 実は、職場に持っていって、ティータイムに仲間と食べる用のバウムも買ってある。

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 さっそく、翌日いただいた。
「やわらかくて、しっとりしていて、すごく美味しいですね」
 周囲からの評判も上々だ。ここのバウムは甘みを控えているのに、物足りないとか食べた気がしないなどとは感じない。やさしい歯ごたえと、食欲をそそる香ばしい匂いが隠し味なのかもしれない。
 パルコには、あの治一郎も入っている。
 次回は、両方買っちゃったりして……。

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2016年05月24日

210分待った「若冲展」

 若冲展が大人気だ。

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 最終日の本日は意外に行列が短いようだが、先週、私が並んだ日は「待ち時間 210分」だった。こんなに待つのは初めての経験である。でも、それだけの価値はあったと思う。

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「釈迦三尊像が圧巻でしたよ。今年の展覧会の中ではピカイチです」
 同じ職場の紳士から聞いた感想を思い出し、人垣のすき間から「どれどれ」とのぞき込んだ。だが、さほどときめかない。
「おおっ!」
 しかし、動植綵絵(どうしょくさいえ)には大いに心を揺さぶられた。冒頭の鳳凰図もよかったが、私はこの動植綵絵30幅すべての実物が見られた時点で、「210分なんのその」と満足した。
 一筆箋の裏に、絵の一部分が載っていたので、さらに20分待ってレジで購入する。
 水中にも美しい世界が広がっているところに、意表を突かれた。

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 海の中の生物も、色鮮やかに描かれている。

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 雪景色にはため息が出た。

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 光を反射して、宝石のように輝くひとコマから、若冲は冬が好きだったのではと推測する。

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 雀の群れは、いつの時代も愛らしい。

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 蝶と花の距離が空間を表していて、これは非常にいい構図だと感心する。

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 娘のお気に入り。
 白鳳の目が「エジプトみたい」でツボにはまったそうな。
 そこ?

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 私のお気に入り。
 たくさんの鶏が生き生きと描かれており、「鶏愛」が感じられる。
 もっとも、観客の中からは「焼き鳥食べたくなってきた」という声も聞かれたので、感想は人それぞれ……。

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 私が通っていた小学校では、こんな鶏を飼っていた。

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 気性が荒くて、子どもを見れば追いかけてきたので怖かった。
 他にもいい絵ばかりが揃っている。

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 どの絵にも四重、五重の人垣ができており、遠目には上半分しか見えないので、近づいて隠れた半分を確認してから次へと進む。ここだけは時間をかけてじっくり鑑賞した。

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 うれしいことに、動植綵絵全30幅が載っているダブルクリアファイルが売られていた。
 中には絵のタイトルも書かれており、とても気に入っている。

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 素敵な展覧会だったなぁ……。
 今でも夢見心地。

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2016年04月10日

「The T」で頭を柔らかく

 「The T」という木製のパズルゲームがある。
 わざわざ買おうとは思わないけれど、宿泊先に置いてあったので、ちょこっと遊んでみた。
 ルールは簡単だ。このような形の4つの木片を組み合わせて、シルエット通りに並べるだけ。

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 やってみると、意外に思う通りに進まないことがわかる。特に、このピースがいけない。

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 逆に、この問題児の配置が決まれば、あとはスムーズに完成する。頭を柔らかくして、根本的な発想を変えることが必要だ。
 まずは「T」。

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 変な形のピースを斜めに使うところがミソだ。
 次に「家」。

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 「家」に似たシルエットもあるが、こちらは「小屋」というべきか。

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 「平行四辺形」。

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 「階段」。

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 カタカナの「ト」。いや、漢字の「卜(うら)」か?

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 「飛行機」。

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「重ねたスリッパ」。

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 「兜」。

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 「2種類の羊羹」。

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 とっかかりさえつかめれば、全種制覇は時間の問題だ。
 すべての写真を撮り、私は天狗になっていた。
 ところが、しばらくして、ケーキ屋さんのウインドウで衝撃的な商品に出会ってしまった。

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 何と、これは四角いシュークリームなのである。シュークリームは丸い、当たり前という先入観をひっくり返す、スタイリッシュなデザインにノックアウトされた。
 味もなかなか。カスタードクリームがすき間なく入っており、がっつり食べた満足感がある。
 自分では、思考に柔軟性のある方だと思っていたが、まだまだ、まだまだ。

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2016年03月31日

トゥールダルジャンのアスパラガス

 ホワイトアスパラガスの缶詰は、小学校時代からの敵である。
 そもそも、母がこれを料理に多用したことから、私の不幸が始まった。サラダにも肉のつけ合わせにも、白くてネッチョリしていて、歯に挟まるほどスジスジの食材が入っている。
 どうやら、私の母は、この変な臭いのする白い野菜が好きらしかった。
「おはよう。朝ごはんは何?」
「玉子焼き。昨日の残りのサラダも食べちゃってね」
 特に、一日たって水の出たアスパラサラダは、独特の匂いが他の野菜にも移って最悪だった。
「オエ〜ップ」
「砂希、好き嫌いは許さないよ。食べ終わるまで学校に行っちゃダメ」
「えー、そんな」
 イヤイヤ腐ったような臭いの野菜を食べ、絶望的な気分で登校したことをおぼえている。

 オバさんになった今は、缶詰でないホワイトアスパラが、美味しいものだと知っている。
 でも、病的に白くてヒョロッとした姿を見ると、どうしても警戒してしまうのだ。
 年度末、珍しく姉が食事に誘ってきた。
「ねえ、トゥールダルジャンに行かない?」
「いいねぇ」
「フランス産アスパラガスメニューっていうのがよさそうだわ」
「アスパラ……」
 条件反射で体が硬直した。あのサラダとは別物だとわかっていても、生理的嫌悪感はなくならないものらしい。
 でも、春らしいメニューだから、タイムリーという気がする。「いいよ」と言って予約をした。
「いらっしゃいませ」
 ここの従業員は、なぜか全員男性だ。丁寧にお辞儀をして出迎えてくれる。
 ビールは置いていない。シャンパンで、平成27年度の勤労ぶりに乾杯した。

 オマール海老のカルパッチョ レモンコンフィ風味のホワイトアスパラガスと空豆のバヴァロア

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 オマール海老の歯ごたえが好きだ。アスパラの淡白さとコラボして、新しいことが始まるワクワク感を感じさせる。

 フォアグラポワレとホワイトアスパラガス エクルヴィスのラグーとソリレス添え

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 口の中でとろけるフォアグラには、ちょっと甘めのソースが定番だ。これとアスパラがマッチするとは思わなかった。他の食材もフォアグラを囲んで集まり、にぎやかに談笑しているようである。

 メバルとコキヤージュのナージュ アスパラガスとオニオンのハーブ風味

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 ナージュというのはスープ仕立ての料理をいうらしい。メバルの皮はえび煎餅のようにパリパリで香ばしく、緑と白のツートンアスパラがシックで美しい。

 ホワイトアスパラガスのヴルーテとグリーンピースのロワイヤル

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 アスパラはスレンダーな姿を見せない。しかし、液状と化していても、口の中にはフワッとした「アスパラ感」が広がるのだ。

 幼鴨のクルート仕立てとホワイトアスパラガスにのせた彩り野菜

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 鴨が好物だ。オーソドックスにスモークするのもいいが、この食べ方も悪くない。スクエアなお皿に、緑の横線が入るだけで、シャープな印象を与えるのが新しかった。

 グランマルニエ香るオーガニックチョコレートのクリームとカカオのシャーベット

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 やっとデザート。水玉模様のソースが華やかで、花見のシーズンにピッタリだ。しかも、カカオのシャーベットの口あたりが抜群だった。
これにはアスパラガスがない。……当たり前か。
 コーヒーと小菓子でコースは終了する。

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 美味しかった。
 私のアスパラ感が見事に上書きされ、食後は缶詰の味が思い出せない。トラウマもなくなり、ホワイトアスパラに対する警戒心が吹き飛んだ。
 姉は、私以上にゴキゲンだった。
「そういえば、年末に化粧品をいっぱいもらったじゃない? あれでずいぶん出費が抑えられたから、ここは私が出すわよ」
「ええっ」
 化粧品を変えたせいで、使わなくなった洗顔石鹸などをいくつか姉に渡しただけなのに、意外に喜ばれていたようだ。お言葉に甘えて、ゴチになった。
 明日からは平成28年度がスタートする。
 しっかり頑張って働こうっと。

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2016年02月14日

2016 今年のバレンタイン

 毎年バレンタインデーには、夫にチョコレートをあげている。
 決め手は、味より見た目である。中身より、ルックスが大事なのだ。
 今年は2個買ってみた。
 まずは、バラのブーケをかたどったチョコレート。

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 花は個別に選び、箱に入れてもらう。
 このタイプだと7個くらいまでと、店員に言われた。チョコレートは10種類くらいあり迷う。全部食べてみたい気もしたが、夫にあげるものだと思い出して我慢する。
「えーと、抹茶とローズ、ミルク、ブルーベリー、マンゴー……」
 あと何を買ったっけ? 忘れた〜。
 なるべく、色とりどりになるよう気を配る。たとえば、ローズとラズベリーは色が似ているので、どちらかにすればよい。
 義理チョコ、友チョコに一輪ずつ配っても、喜ばれるのではないだろうか。
 それから、花札のチョコレート。

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 3種類入り、5種類入りのミニセットもあった。
 だが、うちでは、夫にあげたはずのチョコを、私と娘が横取りするので、たくさん入っていたほうが便利だ。
 それに、花札にはちょっとした思い入れがある。
 小学生のとき、父から花札を教わったことがある。大晦日で、姉や妹も一緒だった。
「これは松で、これは菖蒲。桜に梅に……」
 札の解説を聞いたあと、「花合わせ」という遊びに興じた。
「これは猪鹿蝶っていうんだぞ」
「これは赤短、こっちは青短」
 私は「月見桜で一杯」の組み合わせが好きだった。決して呑兵衛ではないが……。
 夢中で遊び、気がついたら朝の6時になっていて、家族みんなで夜更かしを笑ったものだ。
 さて、この花札チョコは「華歌留多」という名前だが、全部で36枚のチョコレートが入っている。
 12枚は絵柄のあるホワイトチョコで、その下には24枚の絵柄のないセミスィートチョコが隠してあるのだ。まずは、絵柄なしのセミスィートからいただいて、ホワイトチョコは最後にしておきたい。
 食べる組み合わせも大事である。
 猪鹿蝶、月見桜で一杯、えーとあとはあとは、どういう順番で食べようかなぁ。

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2016年01月31日

酒亭菊姫

 親友の幸枝と飲みに行った。

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「菊姫」は加賀の酒である。かなり評判が高いので、贈り物によいのではと興味を持った。

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 新橋にあるこの店では、すべての菊姫を飲むことができる。持ち帰ることはできないので、欲しければネットで申し込めばいい。
「日本酒しかないのかしら」
 ビール好きの幸枝が、少々不安そうな顔でメニューをのぞきこむ。ところがどっこい、ちゃんとスーパードライが用意されているのだ。
「生2つお願いしまーす」
 乾杯をすませると、料理の注文に進む。コース料理もあるが、単品で頼んだ方が好きなものが食べられる。
「お造りに合鴨ロース、白子ポン酢、ブリ大根ください」
「はーい」
 従業員は男性も女性もフレンドリー。初めての客でも常連でも、分け隔てなく接してくれる。
 お通しが実に美しかった。

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 しかし、意外な落とし穴が潜んでいた。喜んで食べ始めた幸枝が、小さな悲鳴を上げたのだ。
「この鴨、たっぷり辛子がついてた。ひー」
 辛いものが得意でない私が、そそくさと辛子を落としたのは言うまでもない。後出しのほうが得である。
 ビールのあとは、お目当ての日本酒だ。1合は約180ml。これでは酔っぱらってしまうので、お酒に弱い私は60mlの飲み比べにした。お酒によって金額が変わってくるが、どれを選んでも構わないところがうれしい。
「金劒(きんけん)と特選純米、菊理媛(くくりひめ)でお願いします」
 お酒のチョイスは味ではない。ラベルである。

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「菊姫」らしいデザインがいいのだ。
「左から順に飲むのがいいと思います」
 年配の店員さんが、グレードの低いものから飲むよう勧めた。でも、3つとも全部イケる。
「本マグロと甘エビです」

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 とろけるようなお造りに感動する。食材は加賀産にこだわらず、築地で仕入れることもあるらしい。
「出来のいいものは、築地に出荷されますからね。こちらにはかなわないですよ」
 そういうものなんだろうか……。
「合鴨ロースです」
「キャアッ♪」
 私は鴨が大好きだ。歓声を上げて、すぐさま箸を伸ばした。やわらかくて、しっとりした食感がたまらない。
「あ、写真……」
 本当は7枚あったのだが、がっついて食べた分がなくなり、6枚に減っている。

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 白子ポン酢は幸枝のリクエスト。

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「あああ、これ最高! ホント美味しい」
 半分もらったら、その通りだった。白子は料理したことないけれど、チャレンジしてみようかしら……。
「ブリ大根です」
 これも絶品。夢中で食べてしまい、写真どころではなかった。
 実のところ、ワカサギ唐揚げやサラダも食べたかったが、幸枝は小食だ。食べるよりも飲む方が大事らしい。ならば私もとお酒を注文した。たしか、限定酒の「鶴乃里」だったような気がする。
 こちらもいい味。日本酒のよしあしはわからないが、口あたりがよく美味しく感じれば、それはいい酒に違いない。
「デザートに大吟醸アイスを食べようよ」
「いいね、いいね!」

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 やはり、食後に甘いものは必要だ。
「ごちそうさまでした〜」
 お酒もお料理も、本当に美味しかった。
 結果として、どの菊姫も甲乙つけがたく、贈答用に何を選ぶか決められなかった。私は何をしに来たのだろう……。
 やはり、ラベルで決めるしかないかしら。

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2015年12月30日

2015年のソフトクリーム

 今年はやけに「ソフトクリームが食べたいっ!」と思う年であった。
 遊びに行ってパクパク、仕事のあとにパクパク、ランチのあとにパクパクと、一体いくつ食べたかわからない。
 中でも、印象に残った11個を紹介したい。
 まずは、レアなところで高尾山の「桑ジェラート」。

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 もっと青臭いのかと身構えたが、葉の風味が爽やかに漂ってきた。味は悪くないが見た目がよくない。これがチョコだったら、食べる気が失せるような形状だ。売り子のお兄さん、もっと練習して売り上げ伸ばして!
 ちなみに、高尾山では「ハスカップソフト」も食べた。
 こちらも珍しいソフトクリームなので、見た瞬間飛びついた。売り子のお姉さんは、ものの3秒で商品を渡してくれたが、巻き加減が素晴らしい。ほぼ完璧だと見とれていたら、上手い具合に光が差し込んで、神秘的な写真が撮れた。あのお姉さんは神だったのかもしれない……。

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 もうひとつ、レアな日光・龍頭茶屋の「ゆばソフト」。

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 見た目はイマイチなのが残念だが、ちゃんと湯葉の味わいが感じられる。しかも、バニラになじんでいて、もう一ついけそうだった。クリームの水分を増やして、なめらかにすれば美人に変身するのではないか?
 同じ日光では、田母沢御用邸のソフトクリームも印象的だった。

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 牧場のバニラクリームのような深い味わいで、量がたっぷりなところがうれしい。さすがは皇室御用達である。今年食べた中では一番だった気がする。
 次は身近なところで、マクドナルドの「サンデーチョコレート」。

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 この日は飲み会だったので、最寄駅に着いたときは「何か甘いものが欲しい」状態だった。駅前にはマクドナルドがある。「ソフトツイスト」も食べたことはあるが、チョコレートのかかったサンデーがよかったのだ。日光や高尾など、遠くに行かなくても、近場でいつもの味が楽しめるマックは貴重だ。
 ミニストップの「モンブランソフト」も負けちゃいない。

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 わが家の近くにミニストップはないので、わざわざ職場の近くの店舗に寄ってみた。すでに3人の客がモンブランソフトを待っていて、かなりの人気らしい。5分後には私も手にすることができた。モンブランクリームもさることながら、コーンの存在感が大きかったと思う。
 群馬サファリパークにも行った。チョコレートとバニラのミックスソフトが、シマウマを連想させる。

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 チョコレートの味も濃く、これはこれでよかったのだが、一番人気はチョコとバナナの「タイガーソフト」だったらしい。早まったか?
 野田市のキッコーマンもの知りしょうゆ館では、「しょうゆソフト」という、これまたレアなソフトクリームをいただいた。

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 何と美しい仕上がりであろう。だが、しょうゆ味が思いのほか薄くて、少々肩透かし感があった。糖分とのバランスを考えて、控えめになったのかもしれない。私は濃い味が好きなのだが。
 練馬区立美術館に行ったさい、併設の福祉センターでお茶を飲み、ソフトクリームを食べた。

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 ここも美味しかったし、皿が涼しげでキレイだった。舌だけでなく、目でも楽しみたい。
 東武百貨店で北海道物産展を開催したときは、3種類ものソフトクリームをいただくことができた。
 まずは、養老牛 山本牧場の「WILD MILK ソフトクリーム」。

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 ピンと立ったツノがこってり感を表している。濃厚さに満足である。
 それから、とみたメロンハウスの「こだわりメロンソフト」。

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 ここは舌触りがクリーミーで、とろける美味しさが味わえる。メロンとバニラの相性のよさを、あらためて思い知らされた。
 プティ・メルヴィーユの「くりりんカボチャソフト」は独創的なところがウケたのか、長蛇の列ができていた。

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 乾燥してスナック状になったカボチャがオシャレ。しかも、カボチャの甘味やしっとり感が生きていて美味しい。
 会場内には「白桃ソフト」もあったのだが、さすがに一度に4個は無理だった……。人出が多くて店も見つからないし、お腹を壊しては元も子もないので諦めて帰る。ちょっと後ろ髪を引かれた。
 最後に、ソフトクリームではないが、娘の誕生会でデコレーションケーキを切り分けていたら、ケーキが倒立するハプニングが……。

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「あはは、何これ〜」
 集まった親族は大笑い。
 甘いものには、人を笑顔にさせる力がある。
 ソフトクリームさんたち、一年間お世話になりました。
 来年もよろしくお願いいたします。

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2015年11月29日

ニキ・ド・サンファル展

 大学時代の友人が、フェイスブックに「ニキ・ド・サンファル展に行ってきました」とアップしていた。
 あ、この色彩、見たことある。
 どこで目にしたのか覚えていないけれど、妙に惹かれて、私も会場まで足を運ぶことにした。
 
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 しょっぱなから、銃声に度肝を抜かれた。
 ニキは、射撃絵画というスタイルで、注目を集めた時期があったからだ。実演中のモノクロ映像が、繰り返し繰り返し流れている。映像に映っている観客も、耳をふさぐ仕草をしている。これはセンセーショナルだ。
 射撃絵画のひとつがこれ。(リーフレットより)

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 石膏で固めたティラノサウルス・レックスの周りに、絵具を入れた感や袋を貼り付け、銃で撃つことによって、色をつけるのだ。銃へのアンチテーゼと受け止めた。
 それにしても、実弾を使わなくたって……。水鉄砲に、絵具を入れて撃つのではダメなのかしら。
 リーフレットを広げると、原色を使いこなしたニキの感性が迫ってくる。

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 好き嫌いはあるだろうが、私はこういう賑やかな色の配置を好む。
 見ていると楽しくて、ポストカードを何枚も買ってしまった。

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 でも、これは無駄づかいではなく投資である。
 ニキのセンスは尋常ではない。まさに天才! 私の色彩感覚が少しでも豊かになるように、ときどき引っ張り出しては拝みたい。
 会場で撮影できるのは、ファッショナブルな「ブッダ」と

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「翼を広げたフクロウの椅子」である。

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 一部でも撮影可の作品があると、得した気分になれてうれしい。
 素敵だったのは「ナナ」シリーズである。ナナとは、フランス語で「娘」を意味するという。丸くてグラマラス、女性ならではの肉体美が表現されており、鶏ガラ体型の私には眩しく映る。

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 ナナは、女性解放運動を先取りしているらしい。たしかに、気持ちが楽になってくるような作品である。
 ニキの、女性への抑圧に抵抗し、自由に自分らしく、のびのびと生きていいのだというメッセージを受け取った気がした。今年見た中では、かなり満足度の高い展覧会である。
 もし、友人がいなかったら、ニキ展には行かなかったと思う。
 ご縁に感謝するばかりだ。

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2015年10月17日

異国情緒「旧岩崎邸庭園」

 春日通りをはさんで、湯島天神と向かい合うように旧岩崎邸庭園はある。
 ここは、三菱財閥の3代目、岩崎久弥の住まいだったようだ。

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 設計はかのジョサイア・コンドルによって行われ、ルネサンスやイスラム風のモティーフが取り入れられたジャコビアン様式である。シュロの木が実に印象的で、明治時代にこんなハイカラな建物があったことに驚く。

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「足が痛〜い」
 この日、一緒に来た娘は新しいブーツを履いていた。足に馴染まず、本郷3丁目から歩いてきたので、靴擦れはできていないものの、小指が圧迫されて痛かったようだ。
 幸い、館内の見学では下足を脱ぐ。ブーツから解放され、彼女は「ほほほ」と喜んでいた。
 残念ながら、内部は撮影禁止である。きらびやかなシャンデリア、赤い絨毯、存在感のある暖炉など、異国情緒たっぷりな当時の面影は、足を運んでご覧になっていただいたほうがよいだろう。
 非常にロマンティックなお屋敷なので、デートスポットに最適である。でも、この日は家族連れも多く、ちびっ子たちが見たこともない部屋の広さに目を丸くしていた。
 岩崎邸は、洋館と和館に分かれている。洋館は、岩崎家の集まりや外国人、賓客などを招いたパーティーに利用されたらしく、生活臭が残っていない。
 和館が岩崎家の居住空間で、完成当時は建坪550坪というから仰天する。でも、今は広大だった庭園とともに縮小され、緑色の部分しか残っていない。(リーフレットより)

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 それでも、見て回れば小一時間はかかるのだから、岩崎家には底なしの財力があったと感じる。
「ふう、思ったより広いや。疲れたね」
 娘に声をかけると、彼女はもっと疲労を感じていたらしい。
「うん、どこかで休みたいね」
 そんな会話を交わしていると、実に都合よく喫茶室が登場し、これまた驚いた。
「いらっしゃいませ〜」
 少々暑い日だったので、娘は抹茶アフォガートを頼み

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 ホットコーヒーを愛する私は、チーズケーキセットを注文した。

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 館内は撮影禁止だが、ここでは「撮ってもいいですよ」と言ってもらえてありがたい。
 ここまできたら、出口はすぐそこ。ひと休みしたあと、再び履物を取り出す。
「ひいい、またブーツかぁ」
 娘はヨロヨロしながら、庭園を歩き始めた。
 
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 ちょうど、入口の裏側に出たわけだが、洋館のもう一つの顔がまた美しい。

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 友人曰く、「映画のセットのようだね」であったが、まさに同感。
 洋館から地下通路でつながった場所に、撞球室(ビリヤード場)が鎮座していた。

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 洋館の側面も、素敵な表情をしている。

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 見る場所によって、違った景色が楽しめるお屋敷であった。
「あ、赤とんぼ」
 広い庭には、赤とんぼの群れが、スーイ、スーイと飛んでいた。やはり、ここは日本だったのだ。
 帰りはまた、建物正面に戻る。

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 最後まで、シュロの木が目立っていた。

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2015年09月26日

30分限定 日光田母沢御用邸

 特急に乗って日光に行った。東武日光駅からバスで移動すれば安上がりだが、いかんせん本数がない。年寄りもいることだし、少々奮発してタクシーを頼むことにした。
「華厳の滝に竜頭の滝、湯滝のあと、光徳温泉で下車ですか。それだと3時間コースですよ」
 タクシー会社と事前にコースの打ち合わせをしたとき、見たいスポットだけでは30分ほど時間が余るとわかった。かといって、東照宮などビッグな場所では時間が全然足りない。30分くらいで見られる場所はないかと相談したら、ここを勧められた。
「田母沢御用邸はいかがでしょう。ちょうど行程の途中にあるんですよ」
「あら、行ったことないです。じゃあ、そこで」
 しかし、ここはそんなに短時間で見られる場所ではなかった。まず、入口から建物までの距離が長い。
 それもそのはず、旅行誌を見ると、日光田母沢御用邸記念公園と書かれている。そうか、公園だったのかと納得した。
 ようやく建物に着いた。

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「ほえーっ、立派な建物だねぇ」
 同行した娘と姪が驚きの声を上げる。
「そりゃ、御用邸だもん。大正天皇のご静養のため作られたって書いてあるよ」
 中では写真を自由に撮ることができる。窓からの風景もなかなかだ。

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 珍しい展示物が並んでいて、楽しみながら写真を撮った。

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 和室にシャンデリアという組み合わせがユニークだ。

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 ここはビリヤード場らしい。

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 そういえば、上野の旧岩崎邸にも撞球室があった。当時の流行りだったのかもしれない。
 謁見所。

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 意外にシンプルである。

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 トイレも、畳まで敷かれており、用を足すのが悪い気がする。
 もちろん、来客用ではないが……。

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 ここで窓が気になった。以前に旧古河邸を訪れたとき、古いガラスは粒子が粗いと教わったことがある。この部屋の窓も、すべて年代物に見えた。
「はい、こちらは大正時代のものです」
 あちこちに配置されている係員が教えてくれた。
「隣は明治時代です」
「へー」

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 さらに古いガラスを見て、保存状態のよさに皇室の力を感じた。
「こちらは、もっと古くて江戸時代です」
「えっ」
 江戸時代にガラスがあったのかと仰天したら、そうではなくて、壁に描かれた梅の絵であった。

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 いったい、この絵は何歳になるのだろう……。
 時代はわからないが、他にも素敵な絵の数々が見られる。

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 別の部屋に行くと、また別の係員が説明をしてくれる。
「畳をご覧ください。ちゃんと柄合わせをしているんですよ」

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 実家の畳とはえらい違いだ。
 御用邸は風通しがよかった。部屋も広々としているし、ここで暮らしたら、寛大な気持ちで過ごせそうな気がする。

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 桜のシーズンになると、樹齢400年のしだれ桜が華やかに咲き誇るという。まるで時計が止まったかのようなたたずまいに、伝統文化の香りがした。

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「あー、時間オーバーだ。そろそろ行かなくちゃ」
「え、もう?」
 とても30分では見切れない。何しろ、部屋数が106室ある巨大な建物なのである。最低でも1時間はかかるとわかった。残念ながら庭園は見ずに、あわただしく靴をはいた。
 そのままタクシーに乗り込むはずだったが……。
「あっ、ソフトクリーム」
 娘と姪が離れの建物を指さしている。空いていて、ゆっくり食べられそうだ。
「じゃあ、食べちゃおうか」

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 これがとても美味しかった。牧場で食べるものと同じくらい、クリーミーでまろやか。滝付近の混雑した中でいただくより、ずっと落ち着く。
 急いでいることはどうでもよくなった。
「じゃあ、行きましょうか」
 全員が満足して退園する。
 きっと、このソフトクリームは皇室御用達の味だったのだ。
 次回ここに来るときは、時間にゆとりを持とうと反省した。

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2015年08月09日

ファースト世代のための「機動戦士ガンダム展」

 森アーツセンターギャラリーで開催中の「機動戦士ガンダム展」に行ってきた。
 
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 チケットは2枚。

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 大学生の娘はファースト世代ではないが、幼い頃からお台場や東静岡に連れ回され、ガンダムの追っかけに参加している。DVDも見て、それなりに楽しんでいるから、今回も快くつきあってくれた。

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 待ち時間は15分ほどだったろうか。森アーツセンターは、チケットを呈示してからが長い。
 周りを見ると、思った通り、ファースト世代のオジさんオバさんばかりだ。子連れで来ている客もいるが、うちと同様、DVDで予習をしているらしい。小学生くらいの男の子が、待っている間に父親とおぼしき男性に、モビルスーツの話題を振っていた。なかなか高度である。
 第1章は、オープニングシアター「大気圏突入」だ。
 観客席が、ホワイトベースのメインブリッジとなっており、大気圏突入時にシャアが仕掛けた戦いを体験できる。ミライとセイラの位置関係や、「アムロ行きまーす」の一連の動きなど、ホワイトベースの全体像がつかめて興味深い。
 最前列には座席があるが、ここに座ると背後のブライトが見えない。私は、中央部の手すり付近が見やすいと思った。
 終了後は、スタッフが声を張り上げる。
「前にお進みくださーい。戻ってご覧になることはできません!」
 第2章は「メイキング・オブ・ガンダム」。
 じっくり向き合いたいのは、安彦良和氏と大河原邦男氏の原画であろう。
 キャラクター・デザインの安彦良和氏は、油絵のようなタッチで描いた人物に、生命を吹き込む魔術師である。メカニック・デザイナーの大河原邦男氏は、精緻でスタイリッシュなメカを、自由自在に量産する天才である。キャラクターとメカの融合が、ガンダムの魅力のひとつになっていることは間違いない。
「シャア、かっこいい」

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       (映画パンフレットより)

 作品はたくさんあるが、とりわけ、シャア・アズナブルのところには人が集まりやすい。私も娘もシャアのファンだから、一緒になって群がった。
 第3章は「ガンダムは終わらない」。
 ここでは写真が撮れる場所があるので、カメラは必需品である。
 まずは、純プラチナ製(左)、純金製(右)のガンダムをカメラに収める。

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 高そう〜♪
 原画では、断然ジオングだ。

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 ガンダム、ザク、グフ、シャア専用ザク、シャア専用ズゴック、シャア専用ゲルググ、ドムなどもあったが、躍動感の感じられるこの絵が気に入った。
「エルメスとガンダム」のガンプラも素敵だった。ガンダムは、シャアのゲルググに向かってビームサーベルを突きだしたが、ララァの乗ったエルメスがすべり込んできて、こちらに刺さってしまう。

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 まだ実家にいた頃、この場面を見ていてハラハラしていると、母が横から水を差してきた。
「ララァ? ララァの神よ、のララァ?」
 ……アラーだっちゅうの。
 失礼、話が横道に逸れてしまった。
 傷ついたガンダムも、リアルに再現できており、戦いの激しさを物語っている。

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 すべてを見たあとは、おみやげ売り場に向かう。
 まずは食べ物。

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 ビームサーベルポッキーは、中がこんな感じになっている。

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 1本が大きいため、結構お腹にたまる。
 それから、シャアザクのマグカップを買おうとした。
「いいな〜、ミキもシャアのマグカップが欲しいよ!」
 娘も同じものが欲しかったらしい。芸がないけれど、気持ちは理解できるので、同じものを2つ……。

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 中央のペットボトルには水が入っている。これが意外と掘り出し物だった。
 体の線がリアルに再現されており、シャアの肉体美を目のあたりにすることができるのだ。

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 どうです、この厚い胸板。無駄な肉はひとつもなく、すぼまった腰からはプリッと膨らんだお尻に、美しいラインが続いていく。

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 思わずさすりそうになり、「変態か!」と自分を制御した。

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      (映画パンフレットより)

 煩悩の塊を持って会計に向かうと、ここでも予想外の発言が待ち受けていた。
「会計はお一人様1回限りです。また、戻ってのご購入はできません」
 ひょえ〜!
 グッズの売れ行きよりも、会場の混乱を避けることが優先らしい。買い忘れがあったら、また来てねということなのだろうか。
 タイトルは「ファースト世代のためのガンダム展」としたが、サブタイトルには「もう元には戻れない……」とつけ加えてもいいような気がする。
 全体的に満足のいく展示で、合格点をつけたい。
 9月27日までですよ〜!

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2015年07月19日

上野精養軒「天皇の料理番」コラボメニュー

 佐藤健主演の映画「るろうに剣心」は見たことがあるが、テレビドラマ「天皇の料理番」は見ていない。プロ意識の高い彼を応援しているので、上野精養軒 グリルフクシマのコラボメニューに興味を持った。
 4月13日から8月31日まで限定の、「天皇の食卓を彩った饗応」というコースである。
「お食事の前に、お飲み物はいかがですか」
「じゃあ、グラスのシャンパンをお願いします」
 その日は、東京国立博物館で目の保養をしたこともあり、乾杯したい気分であった。(「クレオパトラとエジプトの王妃展」はこちらから)

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「メロン ポルト酒風味」

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 メロンの風味を生かしつつ、まったく違った味の前菜に仕上がっている。この落差が見事であった。
「舌平目のグージョネット南仏風」

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 グージョネットとは、白身の魚を細く切り、小麦粉やパン粉をつけたあと、手でよるようにして揚げたものを指す。あっさりしていて軽く、食べやすかった。
「ザリガニのポタージュスープ」

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 えっ、ザリガニ? と眉をひそめることなかれ。
 伊勢海老のポタージュですよ、と言われたら信じてしまうくらい、味が似ている。コクとうまみが凝縮されて、実にいい味に仕上がっていた。
「お飲み物はいかがですか」
 シャンパングラスが空きそうになったところで、すかさずウエイトレスが注文を聞きに来る。たしか、夏限定のスパークリングワインがあったことを思い出し、頼んでみると……。

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 あらら、涼しげなブルーではないか。
「こちら、少々辛口になっております」
 はい、お料理との相性もグッドでした。
「真鯛の洋酒蒸し 青豆のバターソース」

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 これが絶品だったのだ。真鯛の上にはトリュフとオマール海老も載っており、青豆のバターソースに絡めていただいたら、「今まで食べた魚料理は何だったんだ」と思うくらい革命的な味がした。まったく別の食材が、チームを組んで協力し合っている融合感。まさに、天皇陛下のお料理に相応しく、ひたすら感動である。
「和牛シャトーブリアンの網焼き」

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 焼き加減はミディアムにしてもらったが、ウェルダンでもよかったかもしれない。かなり軟らかく、高齢者や子どもでも難なくいただける肉料理だ。つけ合わせのホワイトアスパラガスが、いい感じに焙られており、香ばしい。
「デザート」

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 ミニパフェという表現がぴったりかもしれない。フルーツや生クリームの下にはコーンフレークが隠れていて、サクサクとリズミカルにいただいた。
 コースの締めくくりに「デミタスコーヒー」を飲み、至福のひとときが終わる。
 結構なボリュームなのだが、所要時間は90分でおつりがくる。料理と料理の間隔が短く、「まだかな」とイライラさせない気づかいがありがたい。
 また、コースターのおまけがあった。

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 使うことはないかもしれないが、記念にとっておこう。
 ごちそうさまでした。

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2015年07月04日

最後のディナー? 村上開新堂

 年に何度か豪華なディナーをいただくことがあった。
 メンバーと疎遠になったこともあり、最近ではさっぱりだったが、久しぶりにお誘いを受けたので出かけることにした。
「村上開新堂に行ってみる? あそこは紹介制だから、一見さんお断りなのよ」
「へえ〜、行ってみたいです」
 何度か行ったという涼子さんがアポを取り、半蔵門へ。しかし、運悪く当日は大雨。出かけるのがイヤになったが、約束した以上、行かねばなるまい。駅から近い場所にあるのが唯一の救いである。
「いらっしゃいませ。お席にご案内します」
 1階からエレベーターに乗り、2階で下りる。1階で見送ってくれた店員さんが2階で出迎えるところを見ると、階段を小走りに上ってきたのだろうか。階段を走る姿を想像したら、少々気の毒になった。一緒に乗ればいいのに、と思うのだが。
 店内は小ぢんまりしている。
 シャンパンで乾杯したあと、さっそくコース料理に入る。

 温かいパイの前菜(チーズ、ビーフ、トマト風味)

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 徳島県産ハモの焙り焼 胡瓜と青紫蘇のガスパチョ

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 ここで店員さんから注意を受ける。写真を撮るときは、シャッター音を切ってほしいということだった。
 設定を確認してみたが、シャッター音は切れない仕組みになっているようだ。
「くううう〜」
 ……残念ながら、写真はあきらめた。

 若アユのから揚げとパテ ズッキーニと香味野菜のサラダ添
「アユが泳ぐ姿をイメージして盛り付けました」
 説明通り、小さなアユがスイスイ泳いでいるようだが、お見せできなくて残念。
 コース料理は、まだまだ続く。

 ズッキーニのスープ
 冷たいヴィシソワーズもあったが、クリーミーなのにさっぱりしていていい味だった。

 ビュルゴー家のシャラン鴨ロースト 季節の野菜添
 鴨はベーコンのように長くカットされ、軟らかく仕上がっている。トリュフの入ったブラウンのソースとよく合い、「これにしてよかった」と親指を立てたくなった。
 お料理はここまでで、次はデザートだ。

 開新堂ゼリー
 赤、青、茶、黄、白、緑……。色とりどりのゼリーが、大皿に載って運ばれてきた。鶏卵ほどの大きさで、キチッと整列すると迫力がある。皿の振動に合わせて体をくねらせ、オシャレなダンサーが勢ぞろいして躍っているようだ。
「ここからお二つお選びください」
「じゃあ、私は抹茶とワインにします」
 涼子さんは緑と赤のカラフルな組み合わせにしたが、私はチョコレートとミルクというこってり系のコンビにした。ミルクには桃の果肉が入っていると聞き、狙っていたのだ。チョコレートはややビターで、コクがあった。
「おいしい」
 お料理もよかったけれど、私はゼリーが一番気に入った。他の店には真似できない、トラディショナルな香りが漂ってくる。
 デザートはもう一品。
 ビワのコンポートとコーヒーで締めくくる。
 初めて行った店だが、お料理が出てくる間隔が絶妙である。早すぎず遅すぎず、ちょうどいいタイミングで運ばれてくるから、21時ころには店を出られた。
 しかし、仕事のあとのディナーは、そろそろ面倒になってきた。若いころは、むしろ楽しみだったのに、年齢とともに「早く帰りたい」となったのだろう。もしかしたら、今日が最後のディナーになるかもしれない。
 次に来るとしたら、ランチがいい。昼の部は紹介制ではないから、気楽に楽しめそうだ。
 えーと、シャッター音の出ないデジカメなんてあったかしら……。

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