2016年10月31日

シェアして楽しむ「俺のフレンチ」

 10月も今日で終わりだ。
 今月は「誕生日」という大きなイベントがあった。友人の幸枝がお祝いディナーを予約してくれて、2人でいそいそと出かけた。
 場所は新橋。「俺のフレンチ」という店である。
 評判を耳にしたことはあるが、実際に入ったことはない。どんな感じなのかとワクワクしながらドアを開けた。
「いらっしゃいませっ」
 スタッフには若い人が多く元気だ。店内は狭いので、体の大きな人は厳しいかもしれないが、私も幸枝もBMIは低い。ピアノの近くの席にかけ、メニューに見入った。
「当店の料理はボリュームが多めです。2人だったら4〜5皿でお腹いっぱいになります」などと書かれた文字が気にかかる。
「えーとね、おススメはこれとこれとこれと……」
 幸枝は全然気にしていない。結局、6皿も頼んでしまったが、大丈夫なのかと不安になった。
 まずは乾杯から。
 スパークリングワインを頼んだら、「なみなみ」の量を注いでくれるので、これまたビックリする。

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「一口飲んでから乾杯でお願いします」
「はいっ」
 触れたらこぼれそうだ。まずは「ゴックン」と飲んで体積を減らしてから、グラスを持ち上げた。
「生ウニのエスプーマ オマール海老とキャビアのジュレです」
 まずは一品目。たしかに大きくてボリュームがある……。

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 ウニとキャビアの使用量が半端ないところが魅力だ。お皿の彩も美しく、センスのよさを感じる。
 二品目。「オマール海老のロースト」。 

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 半身かと思いきや、1匹丸ごと登場するので「ええっ!」と叫んでしまった。
「すごい量だね……」
「一皿でよかったね……」
 でも食べられてしまうのだ。美味しいものは入ってしまうこの不思議。
 三品目。「牛フィレ肉とフォアグラのロッシーニ」。

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 うわあ、これもシェアすればよかった! いくら美味しくても、さすがにちょっと無理。ギャル曽根には及ばないけれど、私よりも大きな胃袋を持つ幸枝に手伝ってもらった。
「ううーん、く、苦しい」
 しかし、まだあるのだ。ピアノ演奏とともに、バースデープレートが運ばれてきた。
「ハッピーバースデー ディア 砂希さん♪」
「おめでとう〜!」

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 スタッフからはプレートを、他のお客さんからは拍手をいただき、にっこり笑顔になる。
 これは絶対食べなくては!
 気合いを入れれば何とかなる。ブラウニーもプリンも無事胃袋に収まった。
 お祝いにいただいたお花は2週間以上持ち、私の目を楽しませてくれた。

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 フレンチは、美味しいものをちょっとずつという既成概念が、ガラガラと音を立てて崩れていく。
 どの料理も一流店に引けをとらない仕上がりだったし、スタッフの温かいサービスで居心地よく過ごせた。この店はいい。
 気の置けない友達や家族とシェアしながら、次回はリゾットやデザートまで進みたいものだ。 
 また行きま〜す!

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2016年10月02日

サバティーニ ディ フィレンツェでお夕食

 夕食係の夫が珍しく出かけることになった。
 大学2年の娘は4限まで授業だし、私は5時まで仕事がある。どこかで落ち合って夕食をすませようと考えた。
「何かおいしいものが食べたいな」
 娘が何を想像したかはわからないが、私には行きたい場所があった。
「そうだ、サバティーニは? 来年の3月で店じまいしちゃうのよ」
 銀座ソニービルの解体工事にともない、イタリアンレストランのサバティーニ ディ フィレンツェも閉店するはずである。まだ一度も行ったことがないので、移転前に足を運ばなければと思っていたところであった。
「なんでもいいよ」
 金曜の夜だったが予約が取れたので、食欲の塊と化して出かけていった。
 いろいろなコースがあり迷った。やはり、こういうときは旬のものがいいだろう。ポルチーニ茸などをたっぷり使ったコースがよさそうな気がした。
 まずはシャンパン。

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 この日、私はとても喉が渇いていた。忙しくて、13時以降水すら飲めずに夕食を迎えるはめになったからだ。
「うめ〜」
 ……ちょっと、オヤジ臭くなったことは反省点であろう。
 テーブルのお花に嫌がられてしまうかしら。

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 スモークしたキングサーモンとアヴォカドのタルタルサワークリームソース イクラとキャビア添え。

s-スモークしたキングサーモンとアヴォカドのタルタルサワークリームソース.jpg
 
 この写真がなかなかアップロードできず不思議に思ったら、「ファイル名が長すぎます」とのメッセージが出てきて笑った。お料理名をそのままファイル名にしたのが間違いだったらしい。
 ポルチーニ茸の香り溢れる濃厚な味わいクリームスープ。

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 いかにも秋らしい味覚であった。ポルチーニ茸が不足していて、来週はこのコースが提供できないかもしれないと言われたが、間に合ってよかった。
 海老、帆立貝、ブロッコリーとサルデーニャ産カラスミで和えた自家製手打ちパスタ。

s-海老、帆立貝、ブロッコリーとサルデーニャ産カラスミで和えた自家製手打ちパスタ.jpg

 フレッシュポルチーニ茸のオーブン焼き ほのかなタイムとニンニクの香り。

s-フレッシュポルチーニ茸のオーブン焼き ほのかなタイムとニンニクの香り.jpg

 本マグロの香草パン粉焼き 濃縮バルサミコのソース。

s-本マグロの香草パン粉焼き 濃縮バルサミコのソース.jpg

 口直しもある。
 カシスネクターとフランチャコルタのレモンシャーベット キールロワイヤル仕立て。

s-カシスネクターとフランチャコルタのレモンシャーベット キールロワイヤル仕立て.jpg

 そしてメイン。
 和牛フィレ肉のソテー 新鮮なフランス産キノコ、秋トリュフを添えて。

s-シェフ特選 和牛フィレ肉のソテー 新鮮なフランス産キノコ、秋トリュフを添えて.jpg

 デザートはワゴンから2品選べる。
 私はパリブレストとティラミスにした。

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 甘いものは久々だったので、糖分が体に染み入るような味わいだった。
 途中でイタリアビールを2杯飲み、機嫌よく家に帰ったのだが、異変は夜中に起きた。
 熟睡していたはずなのに、体調不良で目が覚めてしまった。
「うーん、何だか胃がムカムカする……」
 疲れた体に高カロリーのごちそうを詰め込み、アルコールで流し込んだせいか、消化不良を起こしたようだ。まもなく下痢と吐き気に見舞われた。
 美味しいものを食べるときは、体調も万全でないとあとがツラいと悟った出来事である。
 
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2016年08月29日

ひのきざか 鉄板焼

 ルノワール展を見るため六本木に行った。
 5月にも行った展覧会だが、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」がオルセーに帰る前に、もう一度見たくなったのだ。
 目当ては芸術鑑賞だけではない。舌や胃袋も満足させなくては。
 そんなわけで、まずはザ・リッツ・カールトン東京にある「ひのきざか 鉄板焼」に向かった。
 六本木にはグランドハイアット東京もあり、こちらにも「鉄板焼 けやき坂」という店が入っている。最初は「ひのき? けやき? ああもう、どっちがどっちだったか、わかんない」などと混乱したが、ようやく慣れた。好物の肉が食べられる店として、しっかりインプットしておこう。
 鉄板焼にはビールが合う。サッポロ ヱビスを注文した。

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 「翡翠」ランチのお料理が運ばれてくる。
 まずは、「絹皮なすの冷たいポタージュ オマールコンソメジュレ」。

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 茄子をポタージュにする発想はなかったが、なんの違和感もないところがプロだ。
 でも、茄子の皮を糸状にしてトッピングするのはちょっと……。私の味覚は、ついていかれなかった。
 次に、「帆立のムースを詰めた舌平目の蒸し焼き 香草パン粉 パプリカソース」。

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 あっさりと、淡白な蒸し焼きである。それだけに、パプリカソースが映えるのだ。のど越しもよくて、夏バテに効きそうだ。もっとも、食べることが大好きな私は、夏バテなんぞしたことないが。
 それから、「鉄板焼きシーザーサラダ」。

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 ドレッシングがトッピングとマッチして、パリパリといただけた。
 お待ちかねの「黒毛和牛フィレステーキ80g」。

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 この肉は半量のみ。このあと追加でよそってもらった。ちなみに、サーロインにすると100gである。
 ほどよい脂と、和牛ならではのやわらかさで「来てよかった〜」とうれしくなった。舌が喜び、胃腸も万歳三唱をしている気がした。
 お食事は「特製牛肉入りガーリックフライドライス」を選んだ。白ご飯もあったが、ニンニクは美味しい。

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 食い意地が張っているので、この倍くらい食べたいところだが、デザートもあるし、ぐっとこらえる。
 最後は「抹茶わらび餅と白桃」。

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 プルプルのわらび餅は甘すぎず、口の中で身ぶるいして崩れる。可愛いなぁ〜。
 ごちそうさまでした。
 ところで、このあとのルノワール展がメチャ混みで参った。先手必勝の5月と違い、「終わっちゃう、終わっちゃう」と慌てて駆け込む人が多いのだろう。どの絵の前も人だかりで、優雅な気分が一気に吹き飛んでしまった。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットだけ見られれば、あとはいいや」
 すっかり投げやりになり、ほとんどの絵を素通りして、お目当ての場所に直行した。
 展覧会は、一度だけ、全神経を傾けて見るものらしい。
 美味しいものは、何度でも味わいたいと思うけどね。

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2016年07月30日

思い出いっぱい「LaLa原画展」

「池袋西武でLaLa展やるって。見に行こうよ」
 声をかけてくれたのは大学2年の娘である。そんなイベントがあるとは露知らず、うっかり見過ごすところであった。教えてくれてありがたい。
「清水玲子の絵はいいよね」
 何年か前、娘に『輝夜姫』を読ませたら、すっかりハマってしまったことがある。いまどきの漫画家に比べて、絵がキレイでストーリーも凝っており、「クオリティが高い」んだそうな。
 日程を調整して、いそいそと池袋まで出かけた。

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 入口にたどり着いたとたん、私の心は高校時代にタイムスリップした。真っ先に目に入ったのは、成田美名の絵だ。夢中になるほど好きではなかったけれど、たまらなく懐かしい。
 入口付近に、私よりも幾分年下と思われる女性2人組がいた。
「あの頃は○○さんが人気で」
「そうそう! アニメ化されたし!」
 彼女たちもタイムスリップしているのか、声量まで高校時代に戻っている。かなり騒々しいので、大人の分別を取り戻してほしいところだ。さっさと抜かして歩き、雑音とサヨナラした。
 LaLaは今年で40周年を迎えるらしい。私が熱心に読んでいたのは、創刊10年目あたりか。前半はストライクの漫画家が多かったが、知らない漫画家も多かった。
「あ、藤原ヒロだ」
 私が知らなくても、娘が知っていたりする。世代交代しても、雑誌が人気ならそれでいい。
「清水玲子だ!」
 2人がファンの漫画家には、じっくり時間をかけて鑑賞する。
 さすがに原画は、印刷物より格段に美しい。今はパソコンを使うこともできるが、創刊当時はすべて手作業だったはず。清水先生の丁寧で正確な描画を目のあたりにして、口が半開きのままになった。
「この絵、見たことない」
「『月の子』のベンジャミンだよ。これも持ってるから、今度貸してあげる」
「わーい」
 娘に別の漫画を貸す約束をして次に進んだ。
 鑑賞していた40分間は、高校1年生のクラスを思い出していた。毎月LaLaを買っていたのは紀子。読み終わったら学校に持ってきて、回し読みをしたのだっけ。授業中でも待ち切れず、バレないように続きを読んだ。いいところで終わった連載は、次号が待ち遠しくて気が狂いそうになり、結局自分で買うことにした。
 美形のキャラの冒険や恋愛は、現実にはあり得ないことだとわかっていても、少女たちの未来に夢を与えてくれる。私の人生にも、この先、多少はドラマチックなことが起きるかもしれない、という類に。
 決してバラ色ではなかったが、空色やレモン色などの淡いイメージで人生を描いていた気がする。
 出口付近にも清水玲子の原画があった。ここを通り過ぎると売店となり、現実に引き戻される。タイムスリップは終了だ。
 実際の私の人生は何色になるのやら。淡い色でないことは確かで、濃い人生を送ってきた。レンガ色あたりが妥当ではないかと思っている。
 さて、売店では、公式ビジュアルブックと

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 クッキーを買ってきた。

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 中は、こんな感じになっている。

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 お菓子がなくなっても、薬などの小物を入れて使いたい。
 ビジュアルブックでは、再会できてうれしい漫画家が何人もいた。
 山岸凉子。

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 以前、『日出処の天子』を娘に読ませたが、「絵が嫌い」と拒否されて悲しかった。
 木原敏江。

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『摩利と新吾』は名作だ。何度泣かされたかわからない。他にも琴線に触れる作品が多く、電車の中では読むと下を向き続ける破目になる。
 大島弓子。

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 浮世離れした作風が、現実の悩みや苦しみを吹き飛ばしてくれた。楽天的に生きてこられたのは、チビ猫のおかげかもしれない。
 ひかわきょうこ。

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 妹が『彼方から』を揃えていたので、全巻借りて読んだ。『荒野の天使ども』も読んだことがあるが、登場する男性が強くて正義感にあふれており、「こういう人が彼氏ならいいな」と夢を膨らませた。
 樹なつみ。

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 初期の頃からのファンである。『蛍たちは笑う』という作品が好きで、繰り返し読んでいたら、続編がいくつも飛び出して、もっと好きになった。どの作品にも、読者の心をつかむ言葉が随所に散りばめられており、新刊が出るたびに「この作品に出会えてよかった」と思える数少ない漫画家である。
 清水玲子。

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 キャラも背景も小道具も、描くものすべてが美しい。色彩感覚も素晴らしく、漫画を超えた芸術品の域に達している。作品を読んでいると、現実逃避したくなるのが難点か。
 青池保子に萩尾望都、かわみなみもいたけれど、切りがないので割愛……。
 仕事に追われる今は、楽しませてもらった作品を読み返す気になれない。
 定年退職後の楽しみにとっておこう。

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2016年06月05日

バウム吉祥寺

 子どもの頃からバウムクーヘンが好き。
 その日は、午後から杉並区に出かけることになっていたので、帰りは井の頭線から吉祥寺に出るつもりだった。せっかく吉祥寺を経由するので、何かおいしいものはないかと検索してみる。
「バウム吉祥寺」
 私がこのワードを見逃すはずはない。店舗は駅から少々離れた場所にあるが、好物のバウムクーヘンをゲットするためにはノープロブレム。三菱東京UFJ銀行の脇をすり抜け、まーるいお菓子を想像しながら小走りに歩いた。
 視界に入るのは2号店から。こちらは種類が少ないので、さらに奥の本店を目指す。
「いらっしゃいませ〜」
 若い女性スタッフが感じよく迎えてくれた。
 目当てはバウムクーヘンを使ったショートケーキだが、内側の様子がわからない。サンプルで切り口を確認し、店員さんに質問しながら買い物を終えた。若いころは、店員さんと話をすること自体が面倒だったのに、変われば変わるものだ。
「おみやげ買ってきたよ」
 箱を開けて、夕食後のデザートに早変わり。
 夫が選んだのは、バウムの上や周りにフルーツ・生クリームがたっぷり載った一品であった。

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「甘すぎなくてふんわりしていて、これはいいよ」
「ふーん」
 チーズケーキの好きな娘は、バウムクーヘンをくり抜いた土台の中に、ベイクドチーズが詰まった品を選んだ。

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「おいしい。一口あげるよ」
「わあい♪」
 このチーズはかなり濃厚。かといって、しつこくない。娘はあっという間に平らげた。
 一方、私が選んだものは、バウムの上にプチシューを並べて、クリームとカラメルで固めた「サントノーレ」。カラメルが歯にくっつくし、バウムにはイマイチ合わない。これは失敗作なのではと落胆した。

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 見た目はパーフェクトな美しさなのに、惜しいことだ。
「悔しいなぁ。これは、オリジナルバウムクーヘンで仇をとらなくては」
 実は、職場に持っていって、ティータイムに仲間と食べる用のバウムも買ってある。

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 さっそく、翌日いただいた。
「やわらかくて、しっとりしていて、すごく美味しいですね」
 周囲からの評判も上々だ。ここのバウムは甘みを控えているのに、物足りないとか食べた気がしないなどとは感じない。やさしい歯ごたえと、食欲をそそる香ばしい匂いが隠し味なのかもしれない。
 パルコには、あの治一郎も入っている。
 次回は、両方買っちゃったりして……。

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2016年05月24日

210分待った「若冲展」

 若冲展が大人気だ。

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 最終日の本日は意外に行列が短いようだが、先週、私が並んだ日は「待ち時間 210分」だった。こんなに待つのは初めての経験である。でも、それだけの価値はあったと思う。

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「釈迦三尊像が圧巻でしたよ。今年の展覧会の中ではピカイチです」
 同じ職場の紳士から聞いた感想を思い出し、人垣のすき間から「どれどれ」とのぞき込んだ。だが、さほどときめかない。
「おおっ!」
 しかし、動植綵絵(どうしょくさいえ)には大いに心を揺さぶられた。冒頭の鳳凰図もよかったが、私はこの動植綵絵30幅すべての実物が見られた時点で、「210分なんのその」と満足した。
 一筆箋の裏に、絵の一部分が載っていたので、さらに20分待ってレジで購入する。
 水中にも美しい世界が広がっているところに、意表を突かれた。

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 海の中の生物も、色鮮やかに描かれている。

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 雪景色にはため息が出た。

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 光を反射して、宝石のように輝くひとコマから、若冲は冬が好きだったのではと推測する。

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 雀の群れは、いつの時代も愛らしい。

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 蝶と花の距離が空間を表していて、これは非常にいい構図だと感心する。

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 娘のお気に入り。
 白鳳の目が「エジプトみたい」でツボにはまったそうな。
 そこ?

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 私のお気に入り。
 たくさんの鶏が生き生きと描かれており、「鶏愛」が感じられる。
 もっとも、観客の中からは「焼き鳥食べたくなってきた」という声も聞かれたので、感想は人それぞれ……。

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 私が通っていた小学校では、こんな鶏を飼っていた。

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 気性が荒くて、子どもを見れば追いかけてきたので怖かった。
 他にもいい絵ばかりが揃っている。

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 どの絵にも四重、五重の人垣ができており、遠目には上半分しか見えないので、近づいて隠れた半分を確認してから次へと進む。ここだけは時間をかけてじっくり鑑賞した。

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 うれしいことに、動植綵絵全30幅が載っているダブルクリアファイルが売られていた。
 中には絵のタイトルも書かれており、とても気に入っている。

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 素敵な展覧会だったなぁ……。
 今でも夢見心地。

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2016年04月10日

「The T」で頭を柔らかく

 「The T」という木製のパズルゲームがある。
 わざわざ買おうとは思わないけれど、宿泊先に置いてあったので、ちょこっと遊んでみた。
 ルールは簡単だ。このような形の4つの木片を組み合わせて、シルエット通りに並べるだけ。

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 やってみると、意外に思う通りに進まないことがわかる。特に、このピースがいけない。

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 逆に、この問題児の配置が決まれば、あとはスムーズに完成する。頭を柔らかくして、根本的な発想を変えることが必要だ。
 まずは「T」。

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 変な形のピースを斜めに使うところがミソだ。
 次に「家」。

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 「家」に似たシルエットもあるが、こちらは「小屋」というべきか。

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 「平行四辺形」。

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 「階段」。

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 カタカナの「ト」。いや、漢字の「卜(うら)」か?

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 「飛行機」。

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「重ねたスリッパ」。

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 「兜」。

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 「2種類の羊羹」。

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 とっかかりさえつかめれば、全種制覇は時間の問題だ。
 すべての写真を撮り、私は天狗になっていた。
 ところが、しばらくして、ケーキ屋さんのウインドウで衝撃的な商品に出会ってしまった。

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 何と、これは四角いシュークリームなのである。シュークリームは丸い、当たり前という先入観をひっくり返す、スタイリッシュなデザインにノックアウトされた。
 味もなかなか。カスタードクリームがすき間なく入っており、がっつり食べた満足感がある。
 自分では、思考に柔軟性のある方だと思っていたが、まだまだ、まだまだ。

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2016年03月31日

トゥールダルジャンのアスパラガス

 ホワイトアスパラガスの缶詰は、小学校時代からの敵である。
 そもそも、母がこれを料理に多用したことから、私の不幸が始まった。サラダにも肉のつけ合わせにも、白くてネッチョリしていて、歯に挟まるほどスジスジの食材が入っている。
 どうやら、私の母は、この変な臭いのする白い野菜が好きらしかった。
「おはよう。朝ごはんは何?」
「玉子焼き。昨日の残りのサラダも食べちゃってね」
 特に、一日たって水の出たアスパラサラダは、独特の匂いが他の野菜にも移って最悪だった。
「オエ〜ップ」
「砂希、好き嫌いは許さないよ。食べ終わるまで学校に行っちゃダメ」
「えー、そんな」
 イヤイヤ腐ったような臭いの野菜を食べ、絶望的な気分で登校したことをおぼえている。

 オバさんになった今は、缶詰でないホワイトアスパラが、美味しいものだと知っている。
 でも、病的に白くてヒョロッとした姿を見ると、どうしても警戒してしまうのだ。
 年度末、珍しく姉が食事に誘ってきた。
「ねえ、トゥールダルジャンに行かない?」
「いいねぇ」
「フランス産アスパラガスメニューっていうのがよさそうだわ」
「アスパラ……」
 条件反射で体が硬直した。あのサラダとは別物だとわかっていても、生理的嫌悪感はなくならないものらしい。
 でも、春らしいメニューだから、タイムリーという気がする。「いいよ」と言って予約をした。
「いらっしゃいませ」
 ここの従業員は、なぜか全員男性だ。丁寧にお辞儀をして出迎えてくれる。
 ビールは置いていない。シャンパンで、平成27年度の勤労ぶりに乾杯した。

 オマール海老のカルパッチョ レモンコンフィ風味のホワイトアスパラガスと空豆のバヴァロア

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 オマール海老の歯ごたえが好きだ。アスパラの淡白さとコラボして、新しいことが始まるワクワク感を感じさせる。

 フォアグラポワレとホワイトアスパラガス エクルヴィスのラグーとソリレス添え

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 口の中でとろけるフォアグラには、ちょっと甘めのソースが定番だ。これとアスパラがマッチするとは思わなかった。他の食材もフォアグラを囲んで集まり、にぎやかに談笑しているようである。

 メバルとコキヤージュのナージュ アスパラガスとオニオンのハーブ風味

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 ナージュというのはスープ仕立ての料理をいうらしい。メバルの皮はえび煎餅のようにパリパリで香ばしく、緑と白のツートンアスパラがシックで美しい。

 ホワイトアスパラガスのヴルーテとグリーンピースのロワイヤル

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 アスパラはスレンダーな姿を見せない。しかし、液状と化していても、口の中にはフワッとした「アスパラ感」が広がるのだ。

 幼鴨のクルート仕立てとホワイトアスパラガスにのせた彩り野菜

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 鴨が好物だ。オーソドックスにスモークするのもいいが、この食べ方も悪くない。スクエアなお皿に、緑の横線が入るだけで、シャープな印象を与えるのが新しかった。

 グランマルニエ香るオーガニックチョコレートのクリームとカカオのシャーベット

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 やっとデザート。水玉模様のソースが華やかで、花見のシーズンにピッタリだ。しかも、カカオのシャーベットの口あたりが抜群だった。
これにはアスパラガスがない。……当たり前か。
 コーヒーと小菓子でコースは終了する。

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 美味しかった。
 私のアスパラ感が見事に上書きされ、食後は缶詰の味が思い出せない。トラウマもなくなり、ホワイトアスパラに対する警戒心が吹き飛んだ。
 姉は、私以上にゴキゲンだった。
「そういえば、年末に化粧品をいっぱいもらったじゃない? あれでずいぶん出費が抑えられたから、ここは私が出すわよ」
「ええっ」
 化粧品を変えたせいで、使わなくなった洗顔石鹸などをいくつか姉に渡しただけなのに、意外に喜ばれていたようだ。お言葉に甘えて、ゴチになった。
 明日からは平成28年度がスタートする。
 しっかり頑張って働こうっと。

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2016年02月14日

2016 今年のバレンタイン

 毎年バレンタインデーには、夫にチョコレートをあげている。
 決め手は、味より見た目である。中身より、ルックスが大事なのだ。
 今年は2個買ってみた。
 まずは、バラのブーケをかたどったチョコレート。

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 花は個別に選び、箱に入れてもらう。
 このタイプだと7個くらいまでと、店員に言われた。チョコレートは10種類くらいあり迷う。全部食べてみたい気もしたが、夫にあげるものだと思い出して我慢する。
「えーと、抹茶とローズ、ミルク、ブルーベリー、マンゴー……」
 あと何を買ったっけ? 忘れた〜。
 なるべく、色とりどりになるよう気を配る。たとえば、ローズとラズベリーは色が似ているので、どちらかにすればよい。
 義理チョコ、友チョコに一輪ずつ配っても、喜ばれるのではないだろうか。
 それから、花札のチョコレート。

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 3種類入り、5種類入りのミニセットもあった。
 だが、うちでは、夫にあげたはずのチョコを、私と娘が横取りするので、たくさん入っていたほうが便利だ。
 それに、花札にはちょっとした思い入れがある。
 小学生のとき、父から花札を教わったことがある。大晦日で、姉や妹も一緒だった。
「これは松で、これは菖蒲。桜に梅に……」
 札の解説を聞いたあと、「花合わせ」という遊びに興じた。
「これは猪鹿蝶っていうんだぞ」
「これは赤短、こっちは青短」
 私は「月見桜で一杯」の組み合わせが好きだった。決して呑兵衛ではないが……。
 夢中で遊び、気がついたら朝の6時になっていて、家族みんなで夜更かしを笑ったものだ。
 さて、この花札チョコは「華歌留多」という名前だが、全部で36枚のチョコレートが入っている。
 12枚は絵柄のあるホワイトチョコで、その下には24枚の絵柄のないセミスィートチョコが隠してあるのだ。まずは、絵柄なしのセミスィートからいただいて、ホワイトチョコは最後にしておきたい。
 食べる組み合わせも大事である。
 猪鹿蝶、月見桜で一杯、えーとあとはあとは、どういう順番で食べようかなぁ。

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2016年01月31日

酒亭菊姫

 親友の幸枝と飲みに行った。

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「菊姫」は加賀の酒である。かなり評判が高いので、贈り物によいのではと興味を持った。

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 新橋にあるこの店では、すべての菊姫を飲むことができる。持ち帰ることはできないので、欲しければネットで申し込めばいい。
「日本酒しかないのかしら」
 ビール好きの幸枝が、少々不安そうな顔でメニューをのぞきこむ。ところがどっこい、ちゃんとスーパードライが用意されているのだ。
「生2つお願いしまーす」
 乾杯をすませると、料理の注文に進む。コース料理もあるが、単品で頼んだ方が好きなものが食べられる。
「お造りに合鴨ロース、白子ポン酢、ブリ大根ください」
「はーい」
 従業員は男性も女性もフレンドリー。初めての客でも常連でも、分け隔てなく接してくれる。
 お通しが実に美しかった。

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 しかし、意外な落とし穴が潜んでいた。喜んで食べ始めた幸枝が、小さな悲鳴を上げたのだ。
「この鴨、たっぷり辛子がついてた。ひー」
 辛いものが得意でない私が、そそくさと辛子を落としたのは言うまでもない。後出しのほうが得である。
 ビールのあとは、お目当ての日本酒だ。1合は約180ml。これでは酔っぱらってしまうので、お酒に弱い私は60mlの飲み比べにした。お酒によって金額が変わってくるが、どれを選んでも構わないところがうれしい。
「金劒(きんけん)と特選純米、菊理媛(くくりひめ)でお願いします」
 お酒のチョイスは味ではない。ラベルである。

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「菊姫」らしいデザインがいいのだ。
「左から順に飲むのがいいと思います」
 年配の店員さんが、グレードの低いものから飲むよう勧めた。でも、3つとも全部イケる。
「本マグロと甘エビです」

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 とろけるようなお造りに感動する。食材は加賀産にこだわらず、築地で仕入れることもあるらしい。
「出来のいいものは、築地に出荷されますからね。こちらにはかなわないですよ」
 そういうものなんだろうか……。
「合鴨ロースです」
「キャアッ♪」
 私は鴨が大好きだ。歓声を上げて、すぐさま箸を伸ばした。やわらかくて、しっとりした食感がたまらない。
「あ、写真……」
 本当は7枚あったのだが、がっついて食べた分がなくなり、6枚に減っている。

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 白子ポン酢は幸枝のリクエスト。

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「あああ、これ最高! ホント美味しい」
 半分もらったら、その通りだった。白子は料理したことないけれど、チャレンジしてみようかしら……。
「ブリ大根です」
 これも絶品。夢中で食べてしまい、写真どころではなかった。
 実のところ、ワカサギ唐揚げやサラダも食べたかったが、幸枝は小食だ。食べるよりも飲む方が大事らしい。ならば私もとお酒を注文した。たしか、限定酒の「鶴乃里」だったような気がする。
 こちらもいい味。日本酒のよしあしはわからないが、口あたりがよく美味しく感じれば、それはいい酒に違いない。
「デザートに大吟醸アイスを食べようよ」
「いいね、いいね!」

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 やはり、食後に甘いものは必要だ。
「ごちそうさまでした〜」
 お酒もお料理も、本当に美味しかった。
 結果として、どの菊姫も甲乙つけがたく、贈答用に何を選ぶか決められなかった。私は何をしに来たのだろう……。
 やはり、ラベルで決めるしかないかしら。

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