2014年03月15日

駆け込み 〜モネ展〜

 3月9日まで、国立西洋美術館で「モネ、風景をみる眼」を開催していた。
 昨年の12月7日からのスタートだから、結構長い展示だが、「まだ大丈夫」と安心しているうちに、あっという間に3月を迎えてしまった。
「大変、急がなきゃ」
 高2の娘の試験が終わるのを待ち、3月8日に行くことにした。閉会直前の、いわゆる「駆け込み需要」である。
 ありがたいことに、3月8日、9日は、美術館が夜8時まで開いている。午前中に掃除などを終え、午後は映画を観て、夕方すいたころにモネ展という段取りにした。

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 5時を回っても、まだ明るい。さすがに3月だ。
 入口付近にも、モネの絵を撮る人たちが列をなしていた。

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「これ、つみわらって絵だよね。美術の先生が、すごく有名だって言ってた」
「ふーん」
 娘も看板にスマホを向ける。郷愁感のある、この絵が好きらしい。
 絵の点数は多くない。モネは36点、ルノワールやコロー、シスレー、マネ、ピカソなどが63点だから、じっくり楽しめた。
 実は、この展示の前に、リーフレットで予習ができる。
 表紙には、睡蓮が2作並んでいる。

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 そして中には、33点ものモネ作品が載っているのだ。

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 ぜいたくなリーフレットに感謝した。

「雪のアルジャントゥイユ」は、両親の住む那須塩原を思い出させる。観光地から外れると、同じような風景が目に入るのだ。

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 一転して、「ヴァランジュヴィルの風景」は夏の生命力を感じさせてくれる。後ろに広がる海の、水平線の高さが木と調和していて、実に巧みである。

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「あっ、セザンヌ」
 私はセザンヌの絵が少々苦手である。あまり時間もないので、スルーして先に進む。
「あっ、ゴッホだ」
 娘はゴッホが好みでないらしい。これまたスルーして歩く。
 巨匠お二方には、大変申し訳ない……。
 一番の見どころは、行儀よく並んだ2つの「睡蓮」であろう。
 右側の絵は、チケットの写真にも使われており、ダイナミックで迫力のある「睡蓮」だ。

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 色彩も豊かで人目をひく。
 左側の絵は、緑をベースにした、繊細なタッチの「睡蓮」である。

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 ちょこんと描かれたピンクの花が愛らしい。私はこちらのほうが好きだ。水面に映る木の影が幻想的で、極楽浄土に行かれそうな気がする。
 最後に、モネではないが、立ち止まって見る価値のある絵があった。
 画家はエドマン=フランソワ・アマン=ジャンで、「日本人の肖像(黒木夫人)」というタイトルがついている。この黒髪の女性、どこかで見たことがあるような……。
「イモトアヤコだよ」
 娘が笑いながら言った。
 そうか、タレントのイモトアヤコに、少々似ているのだ。太めの眉と、丸みを帯びた童顔が印象に残った。
「お腹すいた」
 素敵な絵の数々を楽しんだあとは、館内のレストラン「すいれん」でディナーを楽しんだ。18時半を回っているのに、まだランチが残っていて、お得であった。
 夜の国立西洋美術館は、落ち着けてよかった。

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2014年01月12日

ハイランドリゾート ホテル&スパ パークサイドスイート

 カレンダーの並びがよく、年末年始にまとまった休みが取れると気づいたのは12月上旬。
 富士急ハイランドに行くことを計画したのはいいが、なじみのホテルはどこも満室だった。混雑する時期なのに、予約するのが遅いのだから仕方ない。
 だが、ハイランドリゾート ホテル&スパには空室があった。利用したことはないが、これを逃す手はない。ネットで調べると、60平米、72平米といった大きな部屋があるようだ。我が家は3人家族なので、広いところで一緒に泊まるのがいい。電話で問い合わせたところ、富士急ハイランドに面した、パークサイドスイートがよさそうだった。
「畳の部屋に布団を敷けば、最大6名様までご利用になれます」
「じゃあ、それにします」
 6人いっぺんに入れる部屋はありがたい。今回はうちだけだが、姉夫婦や祖父母と来ても楽しいだろう。
 入口は板張りになっている。

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 私はここでラジオ体操やストレッチをした。畳だけ、じゅうたんだけの部屋より使い勝手がいい。
 ベッドルーム。

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 私と娘はここで寝た。
 隣にはトイレがついている。

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 定員6名だから、入口付近にもう一つトイレがあって、取り合いにならずにすんだ。
 洗面所には歯ブラシやコップが置いてあるが、コップの形がユニークだった。

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 富士山のシルエットではない。何をイメージしたのだろう。
 和室。

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 夫はここに布団を敷いて寝た。
 ソファーの座り心地は抜群で、正面にあるテレビを見ながら、ゴロ寝するにはちょうどいい硬さだ。
 窓からは、富士急ハイランドの全景が見える。

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「高飛車が落ちる、落ちる〜」
 何度見ても、アトラクションの様子は楽しい。
 夜は、リサとガスパールタウンの夜景がキレイに見えた。

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 和室の隣には、お茶セットと冷蔵庫がある。

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「夕飯食べに行こう」
 富士急ハイランドで遊んだあとは、日本料理の「こころぎ」で懐石「富美」をいただく。
 
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 刺身は新鮮だったし、香梅豆腐もいい味で、どれも美味しかったが、私は特に「白子天婦羅」が気に入った。個室に案内してもらったので、静かな場所で落ち着いて食事することができた。
 食後は「ふじやま温泉」で体をほぐす。
 少々離れているものの、のんびりくつろぐことができた。
 部屋に戻ると、一日の疲れが出て、ぐっすりと眠った。ベッドの硬さや、部屋の暗さが安眠に適している。

「おはよう」
 7時を過ぎても爆睡している娘、夫を起こし、朝食をとりに部屋を出る。
 朝食バイキングもあるが、私は「リサとガスパールレストラン」のフレンチモーニングセットを勧めたい。
 たまたま、富士急ハイランドのあとにお茶を飲みに入ったら、紅茶もコーヒーも美味しかったので、これはイケると確信した。このレストランでの朝食セットは、前日21時までに予約が必要となっている。
「いらっしゃいませ」
 バイキングと違って、客は私たち3人だけだった。
 まずは、オレンジ、リンゴ、ザクロ、サクラの4種のジュースが運ばれてきた。

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「美味し〜い」
 クロワッサンとイチゴ、イチジク、ブルーベリーなど4種のジャムとバターも並べられる。

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 私は特にイチゴジャムが美味しいと思った。
「富士桜ポークのソーセージでございます」

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 ブランド豚らしく、どっしりとしたソーセージである。ナイフを入れた場所が悪かったのか、切り込みを入れた瞬間、ピュッと肉汁が噴き出してきた。
「ギャッ」
 メガネに肉汁のしぶきがかかった……。
「アハハ、お母さん、何やってんの」
「ハッハッハ」
 夫と娘に笑われてしまった。
 かなりジューシーなソーセージなので、みなさんも気をつけましょう。
 料理のペースは速い。うかうかしていると、次から次へとお皿がやってくる。
「ふわふわオムレツ モンサンミッシェルスタイルでございます」

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 私と娘はこれにした。
「クラシック・エッグベネディクト・オリジナルでございます」

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 夫はこれにした。
 食べ比べたら、夫の頼んだ料理のほうが美味しかったので、次があったら食べてみたい。
 このあとは「野菜のココット焼き」が続く。

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 スーパーと違って、野菜の味が濃いような気がする。
 最後にフルーツで締めくくる。

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 食後はコーヒーにした。
「おかわりはいかがですか」
 カップが空になると、すぐ注ぎに来てくれる。味もいいし、ゆったりできる。走り回る子供や、ラジオ番組みたいによくしゃべるオバさんたちもいないから、レストランを貸し切りにしたような贅沢ができた。
「いいね、ここ」
 夫も満足気だ。

 食事のあとは、身支度をしてチェックアウトである。
 ひとつ、気になったのは料金を支払うタイミングだ。
 なんと、チェックイン時に前金で払うことになっている。まるでビジネスホテル並み、というところが興ざめだった。2回目以降は、チェックアウト時になるとうれしい。
 レストランを出たら、雪化粧をして、雲の衣装をまとった富士山が待っていた。
 
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 さて、今年はいいスタートが切れた気がする。

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2013年11月26日

ブリヂストン美術館〜カイユボット展

 よく晴れた週末、高2の娘とブリヂストン美術館に行ってきた。
 ここに来るのは2回目だが、美術品のグレードは高いし、周辺でランチも楽しめていい。

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 目当てはカイユボット展だ。

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 1848年に生まれたこの画家は、裕福な事業家の息子だったそうだ。パリの街並みを描いただけでなく、仲間の画家を経済的に支援していたという。

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 リーフレットの絵は、「ヨーロッパ橋」である。犬の首や尾の白い部分に、たっぷりの絵の具が塗られており、興味をそそられた。
 また、この絵は、少々離れたところから見ると、奥行きが感じられて気に入った。表紙にピッタリの傑作である。
 リーフレットをひっくり返すと、別の絵が出てくる。

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 これは「イエール川のペリソワール」だ。水面の光は素敵だが、どうも手足の小ささが気になって仕方ない。上方の縁は見事である。
 リーフレットを開くと、左側には4枚の絵が紹介されている。

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 左上から時計回りに、「自画像」「室内 読む女性」「ピアノを弾く若い男」「室内 窓辺の女性」となっている。部屋の調度品や装飾から、お金持ちの空気が漂ってくる。
 ピアノを弾いているのは、カイユボットの弟・マルシャルだそうだ。エラール社製の当時のピアノも展示されており、かなり忠実に描かれているとわかった。
「室内 窓辺の女性」は、パリで泊まったホテルを思い出し、とても懐かしくなった。外の格子と、窓から見える風景がリアルである。
 そして、リーフレットの右側を見る。

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 左上から時計回りに、「建物のペンキ塗り」「パリの通り、雨(エスキス)」「ジュヌヴィリエの平原 黄色の丘」「静物、鶏肉と吊るされたジビエ」「シルクハットをかぶったボート漕ぎ」となっている。
「グロい……」
 娘が顔をしかめてつぶやいた。ジビエとは、野生の鳥獣肉のことである。きれいに整頓されて並ばされていると、模様のように見えてくるから不思議だ。
 シルクハットをかぶった男性は、暑くて上着を脱いでいるのに、帽子は取らない。
「ハゲてるんじゃね?」
 これまた娘が、首をかしげて言った。
「ジュ、ジュ、ジュヌヴィ、リ、エ」
 どうにも発音しにくい平原だが、モネ風の色彩を帯びたこの絵には、「いいね!」をつけてあげたい。
 シルクハットの絵の下に、こんな写真が載っている。

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 タイトルは、「ギュスターブと犬のベルジェール、カルーゼル広場」である。画家本人と愛犬が、寄り添い歩いている微笑ましい光景で、信頼や愛情にあふれている。セピア色の仕上がりも、背景の景色がほどよく霞んでいるのもオシャレだ。
「ねえ、お母さん。これ、いいじゃん」
「でも、見たおぼえがないよ」
「うん。どこにあったんだろう」
 リーフレットにはあったが、展示では見ていない。さて、どこにあるのかと警備員に聞いてみた。
「ああ、これは第1室ですよ」
 彼はあっさり教えてくれたが、第1室は最初に見たはず。どうして気づかなかったのか。
 行ってみてわかった。この写真は、びっくりするくらい小さなサイズなのだ。見落としても不思議はない。
 しかし、やはりいい写真だ。第1室では、これをスルーすることのないよう、お気をつけて。
 ちなみに、こんなに小さな写真なのに、リーフレットの別の箇所にも登場している。

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 図録バッグのデザインにも使用されているし、人気が高いようでうれしい。
 カイユボットのあとは、コレクション展示を堪能する。
「アヌビス神礼拝図だって、これ、すごくない?」
 世界史を学んでいる娘は、エジプトやギリシアの古代美術に釘付けだ。紀元前24世紀だの、紀元前1300年だのと、相当古い芸術品が目の前にあるのだから当然だろう。
「古い彫刻は、だいたい、どこかが欠けているんだね」
 腕のないヴィーナスを見て、娘は気の毒そうにささやいた。
 私はこちらのコレクションである、ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」と、ゴッホの「モンマルトルの風車」に再会できてうれしい。しかし、アンリ・ルソーの「イヴリー河岸」は、見当たらなくて残念だった。

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           (ポストカードより)
 カイユボット展は12月29日までで、1月18日からは「ブリヂストン美術館コレクション展 画家の目、彫刻家の手」が始まる。美術館所蔵の絵画、彫刻160点を公開するというから、ルソーも登場するかもしれない。
 また行かなくちゃ!

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2013年10月27日

カップヌードルミュージアム

 みなとみらい駅から歩いてすぐ。カップヌードルミュージアムに行ってきた。正式名称は、安藤百福発明記念館というらしい。
「いらっしゃいませ」
 開館は10時だが、混雑するため、準備ができたら9時50分くらいから入場できるという。顧客目線の配慮がうれしい。
 まずは、インスタントラーメンヒストリーキューブに入る。ここには歴代のインスタントラーメンが勢ぞろいしている。
 このあたりは、私が生まれた年に近い。

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 しかし、生後すぐにインスタントラーメンを食べることはないので、出前一丁以外は記憶に残っていないのが残念だ。
 百福の研究小屋。

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 日清食品創業者、安藤百福氏は、大阪府池田市の自宅裏にこの小屋を作り、来る日も来る日もインスタントラーメンの研究をしていたそうだ。「発明は、りっぱな道具がなくても、アイデアと情熱があればできる」というメッセージを発している。
 
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 クリエイティブシンキングボックス。

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 発明・発見のヒントになるのは、「まだないものを見つける」「なんでもヒントにする」「アイデアを育てる」「タテ・ヨコ・ナナメから見る」「常識にとらわれない」「あきらめない」なのだそうだ。
 このオブジェには、キーワードとなる英単語が隠されており、連れのモト子と一緒に探してみた。
「アタシ、HAPPYだけ見つからないわ……」
 彼女は、最近ついていないのである。

 お目当ての、マイカップヌードルファクトリー。

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 チキンラーメンを作る体験もあるが、私たちはお手軽なマイカップヌードルにした。
 まずは、300円払いマイカップを購入する。これにペンで絵を描き、自分だけのカップヌードルを作るのだ。
 しかし、いざ絵を描けと言われても、何にしようかと悩む。少々考えて富士山にした。色のチョイスをミスったが、まあいいだろう。

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 絵が描けたら麺を入れ、好みのスープ、トッピング4種を選んで、フタをしてもらう。最後に、150度の熱風でビニールコーティングをしてでき上がり。完成品すると、けっこう嬉しいものだ。
 お隣のチキンラーメンファクトリーも白熱していた。

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 4階へ上がると、海がきれいに見える。

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 ここのお目当ては、フードアトラクションの「ワールド麺ロード」である。8か国の麺が味わえるというので、オープンの11時まで写真を撮って待った。
 11時。屋台風のカウンターで麺を注文する。私はカザフスタンの「ラグマン」にした。羊の肉が珍しい。味は日本風にアレンジされているようで、大変食べやすかった。

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 モト子は、インドネシアの「ミーゴレン」。

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 ひと口もらったら、こちらもいい感じ。
 冷麺やトムヤンクンヌードルなど、辛そうな麺も多い。辛党にはたまらないかもしれない。
 食べ終わったら1階へ降り、退館してお土産を買う。
「わあ、これ、面白い!」
 私が気に入ったのは、カップヌードルまんじゅうである。
 中にはこしあんが入っており、しっとりと仕上がっている。

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 ストラップやクリアファイルなどもあったが、娘には消しゴムを買った。

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 可愛いと喜んでもらえたが、実は私が欲しかった……。
 もう1個買えばよかったかな。
 マイカップヌードルの賞味期限は1カ月である。新鮮なうちに食べたほうが美味しいに違いない。
 日曜日、お昼にこれをいただくことにした。

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 フタを開けると中が見える。

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 なんだか、食べてしまうのがもったいない気分だ。
 お湯を入れて3分待つ。フタのすき間から、ラーメンの匂いが漂ってきた。
 さあ、できた。フタを開けてみると、乾燥していたトッピングが、いい感じに膨らんでいる。

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 箸で軽くかきまぜ、麺をすする。
「う☆まーーい!!」
 自分の好みのトッピングにしたからではないだろう。自分が作ったから、こんなにも美味しく感じられるのだ。自己参加型のなせる技である。
 残すのがもったいなくて、珍しくスープまで全部飲んでしまった。
 カップヌードルミュージアムに行ったら、ぜひ作ってみてください!

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2013年09月29日

名古屋 赤味噌ラガー

 先日、池袋でユニークなビールを見つけた。
 「名古屋 赤味噌ラガー」

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 試飲したら、微妙な味だった。
 味噌とビールの相性はイマイチだ。
 でもまあ、珍しいし面白いから欲しくなった。

 名古屋といえば、中2のときの転校生を思い出す。
 彼女はアサコといい、名古屋から引っ越してきた。
 当時、私はさいたま市に住んでいたので、名古屋のことをよく知らなかった。友達も同じで、「名古屋は大阪の近くだよね」などと、どうしようもない話をしたおぼえがある。
 悪気はなかったけれど、アサコには「名古屋」というあだ名がついてしまった。
 でも、彼女は嫌な顔もせず、ニコニコと笑って返事をしていた。今にして思えば、クラスに溶け込もうと必死だったのだろう。名古屋の言葉は使わず、標準語で話す努力をしていたし、声を掛けると弾んだ声で答えてくれた。
 夏休みには、2泊の林間学校があった。たしか、志賀高原に行ったはずだ。服装はジャージか体育着なのだが、寝るときはTシャツが許されていた。女の子たちは、競うようにオシャレなTシャツを用意する。
「ナオミちゃんの可愛いね」
「ミカちゃんのカッコいい!」
 私は、「キライなものにフタをする」と書かれた、ウケ狙いのTシャツにした。
「砂希のヘン〜!!」
 予想通り、みんな笑ってくれた。
 部屋は急ににぎやかになったが、アサコはジャージの上を着たまま、黙っている。
 理由はすぐにわかった。
 ジャージからのぞいたTシャツの襟ぐりが、悲しいくらいに伸びている。おそらく彼女は、パジャマ代わりのものだからと、古いTシャツを持ってきてしまったのだ。名古屋には、そういう習慣がなかったのかもしれないし、家庭の方針なのかもしれない。ファッションショーに加われず、アサコは静かに布団に入った。気の利いたことが言えなくて、私も友達も声をかけられずに寝てしまった。

 翌年には修学旅行があり、広島に行った。制服かジャージで行動したが、お約束のように、就寝時はTシャツである。また、同じクラスにアサコがいる。その頃は、もう「名古屋」というあだ名ではなく、みんなから「アサコ」と呼ばれるようになっていた。今度は彼女もジャージを脱ぎ、真新しい黄色のTシャツを身につけ笑っていた。
「それ、いい色だね」
「アタシも欲しい! どこで買ったの?」
 友達が、口々にアサコを褒める。一年前の分まで、彼女に言葉をかけているようだった。
「あ、そう? えへへ」
 アサコは、照れながらも満足そうだ。部屋の中は、女の子たちのはしゃぎ声でいっぱいになった。

 アサコが今、どこでどんな生活をしているかは知らないが、この名古屋赤味噌ラガーを見せてみたい。
 きっと、「何これ、ギャハハ!」と笑ってくれるはずだ。

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2013年08月09日

鳥羽みやげ

 さて、これは何に見えるだろうか。

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「パチンコ玉」
 ブッブー。
 そう答えたあなたは、いっぺん三重県に行ったほうがいい。
 この写真は、パチンコ玉ならぬ伊勢志摩地域の名産、真珠なのである。

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 先日、私は両親、妹一家と一緒に、鳥羽まで旅行をしてきた。
「じゃあ、3時20分、ここに集合ね」
 駅に到着したとき、バスの時間まで自由行動となった。世帯ごとに買い物をしたりして、思い思いに過ごす。
「ソフトクリームが食べたい」
 高2の娘がグズグズとうるさいので、私と夫も1階に下りてお茶することにした。
 しかし、いざソフトクリームを前にすると、「北海道産」などと書かれている。
「三重なのに、何で北海道なのさ」
 たいそうガッカリしたが、隣には地元産のアイスクリームがあるではないか。
「これにしようか」
 娘は「塩アイス」、夫は「抹茶アイス」にするという。だが私は、珍しくて美容によさそうな「パールアイス」が気になり、それを注文した。

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 うっほほーい!

 一口食べると、予想通りこってりしていて美味しい。
「交換しようよ」
「いいよ」
 娘とひと口交換してみたのだが……。
「あれ? 何か同じ味じゃね??」
 大ざっぱな舌のせいか、私も娘も、塩アイスとパールアイスの違いがわからなかった。

 鳥羽では、いたるところに土産品の真珠が並んでいる。
 真珠は美しい。店先で何度もチラ見したが、自分でもいくつか持っていることもあり、購入までに至らなかった。雑誌を見ると、「ミキモト真珠島」なる観光スポットもあるけれど、時間がなくて、とても行かれそうにない。今回は、ご縁がないのだと諦めていたのだが……。
「ねえ、最終日はどうする?」
 妹が観光ルートを相談してきた。最初は、伊勢神宮に行こうと考えていた。それが、両親のリクエストで夫婦岩に変わり、さらに天気予報で「猛暑」と報道されたことから、それもやめようという話になったのだ。
「年寄りもいるんだし、無理しないで近場にしようか」
 妹の提案に、私の期待がよみがえる。
「じゃあ、じゃあじゃあじゃあ……」
「ミキモト真珠島あたりでいいんじゃない」

 ビンゴ〜!!

 二転三転したが、念願のパールアイランドに行かれることになったのだ。
「いらっしゃいませ」
 ここでは、真珠を養殖する仕組みや、出荷までの作業などを学習することができる。母貝に核を埋め込む手術や、育った真珠に糸を通す穴を開ける工程を動画で見て、裏方の苦労を理解した。何しろ、養殖の貝は収穫までに半数ほどが死んでしまうそうだ。また、生き残った中にも形や大きさの問題から、製品として販売できないものがある。それらを差し引くと、商品として通用する真珠の割合は、必然的に小さくなる。
 おびただしい母貝の命の上に、パールは気品のある輝きを放っているのだ。

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 勉強が終わったら、パールアートを見る。何といっても、これが観たかった。
「お写真はご自由にどうぞ」
 寛大な言葉をちょうだし、遠慮なく撮らせてもらう。
 まずは夢殿。

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 金とパールの組み合わせは、最強だと思うのだがいかがだろうか。
 隣には、地球儀もあった。

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 陸地には22金、海と湖には真珠を使ったそうだ。真珠は全部で12,541個、赤道にはルビーが377個、黄道にはダイヤを373個ちりばめたというからすごい!
 クラウンにもため息がでる。

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 赤との組み合わせもいいかも〜♪

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 五重塔は、雪化粧をしたようで、非常に清楚な印象を受ける。
 
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 これは大正15年に、フィラデルフィアで開催された米国独立150周年記念万国博覧会に出品された傑作らしい。真珠総数は12,760個だそうだ。平成4〜5年に解体修理を行って、当時の美しさを復活させたという。
 自由の鐘。
 
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 真珠12,250個、ダイヤ366個を使用し、昭和14年、ニューヨーク万国博覧会に出品したものである。だが、鐘にたくした平和への願いもむなしく、博覧会会期中に第二次世界大戦が勃発したという事実が哀しい……。
 真珠で、これだけの芸術品ができるとは驚きだ。
 ひたすら感心していたら、1階にはもっと大物があった。

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 ウエディングドレス!

 こちらにも、13,262個という膨大なパールが使用されているそうだ。きっと、かなりの重量と予測されるが、幸せの重みである。
 いいなぁ〜。

 それなのに、ああそれなのに。
 私が買ったおみやげは、これである。

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 カップ麺……。
 これはこれで美味しいと思う。しかし、あれを見たあとでは物足りない。

 ちなみに、同僚にはキャラメルにした。

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「うわぁ、ありがとうございまーす」
 女性は喜んでくれたが、男性は「はあ?」というような顔をしていた。
 適当過ぎたかも。

 やはり、ここに来たらパールを買わなくちゃ。

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2013年07月30日

福岡タワーから大宰府へ

 何とかと煙は高いところに昇るという通り、私は展望台が好きだ。
 福岡での短い滞在期間に、ぜひ福岡タワーに行きたいと思った。博多駅からバスが出ているが、日曜日とあって、道路が渋滞しており1時間ほどかかってしまった。電車のほうがよかったと後悔する。

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「おお〜」
 苦労したけれど、のっぽのタワーは美しかった。
 まずは展望室へ。エレベーターの待ち時間で、写真を撮ってくれる。気に入ったら帰りに買うことができる。撮影が終わると、コンパニオン調のおねえさんが「きれいに撮れタワー」と声をかけてくれる。
 展望室では、何といっても海。

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 沖縄ほどキレイではないが、関東とは違った趣があっていい。

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「ああ楽しかった」
 海を堪能したあとは、余計なものが目につく。
 まずは、「あなたが生まれた日の新聞を発行します」というもの。1枚400円だが、やってみた。私が生まれた日は、ときの佐藤栄作首相が沖縄返還に尽力しているという記事が一面に大きく載っていた。
 
 まだ、返還されていなかったのか!!

 結構ショックである。
「ミキも」
 同行した娘も400円を投入した。こちらは平成生まれだ。偶然とはいえ、沖縄の記事がトップに出ていたところでシンクロした。

「楚辺」緊急使用 不許可へ

 そして、憲法記念日なので、「憲法施行 50年目に」とも書いてある。
「へえ、すごいじゃん」
 一面だけだが、記念日の新聞は興味深い。
 それから、ガチャガチャが気になった。

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「ねえ、右端の大宰府のストラップ、可愛いよね。お母さん欲しいなぁ」
「やってみたら?」
「うん」
 200円を入れてハンドルを回すと……何と、お目当ての大宰府ストラップが出てきた!
「やった〜!」

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 気をよくして、翌日は大宰府天満宮に行くことにする。

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 本殿だけでなく、九州国立博物館も見どころの一つらしい。だが、あいにく、その日は月曜日だった。

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「ありゃあ……」
 入口付近の看板に入館を拒絶され、お参りだけでいいやと決めた。
 まずは太鼓橋を渡る。

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 池が落ち着いた雰囲気を醸し出している。

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 絵になる光景だと感心した。

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 この池には鯉だけでなく、たくさんのカメが住んでいた。

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 泳いだり甲羅干しをしたりして、のんびり過ごしている様子が微笑ましい。
 大きな門をくぐって進む。

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 麒麟が凛とした立ち姿で迎えてくれる。

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 撫で牛は直射日光を浴び、暑そうに座っていた。背中と頭をなでなでし、ご利益を祈る。

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 そして本殿。
 中ではご祈祷が行われており、荘厳な空気が漂っていた。
 私も道真公に祈る。仕事上の失敗が増え、もっとしっかりしなければと思っていたところだった。「アタマよくなりたーい」との願いは、子どものときから変わらない。
 お祈りがすみ、おみやげを買う。
 ちょうど、仕事守なるものを見つけ、迷わず購入した。

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 あとは、おみくじだ。
 私が引いたおみくじは「小吉」である。

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 心だに まことの道にかなひなば いのらずとても 神や守らん

 心が正しければ、祈らなくても神が守ってくれるという意味だろうか。
 ちょっと安心して先を読んだ。

 変化の多い運気です。仕事面、家庭面、勉学面などプラスへの変化の兆しが見えます。積極的に対応することが肝要です。

 わお!
 道真公に、私の願いが通じたのだろうか。
 また来ることがあるかしら、と後ろを振り返り、天満宮をあとにした。
 もし機会があったら、今度は月曜以外にして、九州国立博物館も見たいものだ。

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2013年05月18日

クラコレ、コレクレ

 珍しく、高2の娘の方から「美術館に行きたい」と誘ってきた。
「ルノワールの絵がたくさんある展示があるんだって。絶対見たい」
 それはおそらく、三菱一号館美術館の「奇跡のクラークコレクション」であろう。73点の展示作品のうち、ルノワールは22点というから、かなりの割合だ。
「ミキは『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場』って絵が好きなんだよね。あるかなぁ?」
「さあね」
 有楽町からすぐのところに、この美術館はある。都心で大変便利だ。

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 10時を少々回ったばかりだったが、すでに長蛇の列ができていた。
 最後尾のプラカードには、「40分待ち」という文字が見え、ガッカリするが、待つしかない。

「モネも結構好き」
 ようやく順番が来て、中に入ることができた。印象派の明るい色彩がいいのだと、娘が主張する。
 シスレー、ピサロなどの作品も揃っていた。
 ドガも4点あったが、彼だけは戸外ではなく室内での作業を好んだという。
「あった、ルノワールだ!」
 自画像は、決して美男子に描かれていない。実際のところはどうだったのだろう。クリアファイルに小さく、この絵も入っていた。(下段の右から2つ目)

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「うちわを持つ少女」は不思議な絵だ。ルノワールならではの、透き通るような肌をした美少女が、満足そうな微笑みを浮かべてうちわをかざしている。

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(クリアファイルより)

「これ、日本のうちわだよね」
「どこから手に入れたんだろうね」
 着ているものから、夏ではないと思われる。珍しいものを手に入れた少女が、遊んでいるのかもしれない。
「劇場の桟敷席(音楽会にて)」もミステリーの香りがする。

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(クリアファイルより)

 妖艶なご婦人が、こちらを見つめている。目が合うと、思わずそらしたくなるほどの色っぽさだ。
 だが、完成した当初は、茶色の幕の場所に男性もいたという。人物は3人いたわけだが、依頼人に気に入ってもらえず、男性を幕の下に塗りこめて修正したらしい。
 男性を退場させ、茶色の背景にすることで、女性の肌の白さやなまめかしさは引き立つ構図となった。私はこのほうがよかったと思う。
「タマネギ」はノーマークだったが、大変気に入った。

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(クリアファイルより 下半分)

 スーパーで売られている、大量生産のタマネギと違い、生命の息吹が感じられる。根や芽が奔放に伸びていて、色艶もよく、とても美味しそうだ。
「ほら見て、ルノワールも、たまねぎ氷健康法にハマってたんだよ!」
「んなわけないでしょ。バカなこと言ってないで、次、次!」
 私はもっと見ていたかったのに、娘に押されてしまった。
「ヴェネツィア、総督宮」も素敵な一枚だ。
 青を基調とした景色が、異国情緒を高めている。こちらはマグネットを買い求めた。

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「うちわを持つ少女」のマグネットも一緒である。
 終わったときには、正午を回っていた。
「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場、なかったね」
「残念だったね」
 調べてみたら、オルセー美術館所蔵となっていた。パリに行ったら、見られるかもしれない。
 
 お昼を食べようと、店を探す。
 入口付近では、だいぶ行列が短くなっていた。
「……ちょっと、待ち時間20分だってよ」
「ホントだ。早く来ると混んでるってことか」
「チェッ、せっかく早起きしたのに」
 ここは、午後になってから、ゆっくりと入館するのがいいらしい。
 開催期間は5月26日まで。
 お早めにどうぞ!

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2013年04月07日

ルーベンスって誰?

 この春は、美術展が充実している。
 ぜひとも観たいもののひとつに、ルーベンスがあった。高2の娘を連れて、渋谷・Bunkamuraザ・ミュージアムに足を運ぶ。
「ルーベンスって誰?」
「……」
 娘はよく変な質問をする。おそらく、「ルーベンスってどんな人?」と聞きたかったのだろうが、「誰」で通じると思っているのだ。
「誰って、ルーベンスでしょ。何をした人とか、どんな絵を描いた人って聞いてよ」
「うん、まあ、そうかもね。今の子は、これで通じるんだよ。年寄りにはダメだね」
「……」
 ルーベンスは、ベルギー出身の画家である。
 しかも、単なる画家ではなく、美術品のコレクター、建築家、外交官としても名を馳せ、何か国語をも操るマルチリンガルだったという。
 リーフレットやチケットには、彼の自画像が載っている。

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 ヒゲが立派だ……!
 多分野における才能に恵まれながら、彼はそれに甘んじることなく、他の画家の作品を模写し、画風を取り入れるなどの努力を怠らなかったそうだ。たとえば、この「毛皮をまとった婦人像」は、ティツィアーノ作品の模写である。

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(リーフレットより)
 ルーベンスは子だくさんで、最初の妻イザベラとの間に3人、イザベラ死後に迎えた二人目の妻エレーヌとの間に5人もの子供がいたという。子煩悩なよき父親だったのではないだろうか。
 夭折した兄の子を描いた「眠る二人の子供」からも、幼子への愛情が見てとれる。

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(リーフレットより)
 また、チケットを飾る大作「ロムルスとレムスの発見」も大きく取り上げられており、絵の説明が加えられていた。

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(チケットより)
 ルーベンスの絵は、女性も子どもも、肉感的なふくよかさが特徴である。
 ガリガリの現代女性は貧相で、モデルの価値すらなさそうな気がした。
「ヤンって名前が多いね」
 ルーベンスの父は、ヤン・ルーベンス。工房の弟子にも、ヤン・ブックホルスト、ヤン・ファン・デン・フッケなどの名が見てとれる。共同制作者にも、ヤン・ウィンデンス、ヤン・ブリューゲルなる画家がいた。ベルギーだけでなく、オランダやチェコ、ドイツ、ポーランドなどにも多いようなので、無難な名前なのだろう。
「お腹すいた」
 芸術鑑賞には体力がいる。すべての展示を観たあとは、空腹を感じていた。
 しかし、ルーベンス展開催記念メニューのメイン料理は、タラである。

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「タラかぁ……」
 真鱈は、鍋物に入れるイメージが強く、ランチには向いていなかった。
 代わりに、バタークリスプを買ってみる。

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 ベルギー王室御用達のワッフル型クッキーだが、バターの風味が生きており、サクサクしていて大変美味だ。

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 6枚入りだが、少々物足りないので、10枚くらい入れてもらいたい。とても美味しい。
 ルーベンス展を観たあとは、もうちょっと太めでもいいような気がしてきた。
 さて、娘は、ルーベンスがどんな人だったか、理解できただろうか。

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2013年03月31日

上野のラファエロ

 上野・国立西洋美術館で、ラファエロ展を開催している。
 銀座に出る用事があったので、ついでに寄ってみた。

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 平日だが、春休みのせいか、チケット売り場には長蛇の列ができている。
「やだ、あんなに混んでるよ」
 高校生の娘が露骨に顔をしかめる。3月22日から4月7日までは、学生証さえあれば、高校生は無料で入場できるから得だ。この期間を狙うべきだろう。
 窓口は3つ開いており、10分も待たずに順番が来た。
 さあ、ラファエロ展の始まりだ。
 まずは、自画像から。
「なんかさぁ、色が暗くない?」
 娘は茶や黒の多い絵に、不満げである。
 ラファエロは、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロに影響を受けたらしい。「無口な女(ラ・ムータ)」などは、モナ・リザっぽい雰囲気がある。
「目が怖い」
 なおも、娘は絵にケチをつける。
 たぶん、ラファエロの描く顔が好みではないのだ。笑ったり怒ったりの表情に乏しく、キリスト教関連のものばかりだから、すっかり飽きてしまったらしい。
「ルノワールとかの印象派がいいよ。あっちのほうがキレイ」
 絵にはひと通り目を通しているが、じっくり観るほど心を惹かれないようだ。小さなサイズの絵が多いことも、一因かもしれない。
「あっ、あれ、スゴイ」
 唯一、彼女がじっくり観た作品がある。「聖ステバノの殉教」だ。人々から石で打たれ、殉じるステバノが大きな織物に描かれており、迫力満点の大作であった。
 逆に、目を背けた作品は「嬰児虐殺」。イエス・キリストの誕生を知ったヘロデ大王が、自らの地位を奪われる心配をし、ベツレヘムで2歳以下の男児をすべて殺害させるのだ。キリストは、その前にエジプトに逃れており、無事だった。
 皿にまで、この絵が描かれているのが不思議である。まさか、この皿で料理を食べたりしないだろうが……。
「ふー、終わったぁ」
 娘は、「欲しいものがないから」と、ショップも素通りしていく。
 入場無料だと、お金を払った分楽しもうと思わないのかもしれない。失敗した。
 ここは、「考える人」のグッズがとても多い。ネクタイ、ストラップ、タオルなど、かなりマニアックな印象だ。私はゴッホの、薔薇をイメージしたチョコレートが欲しかったが、2100円もするので躊躇した。娘はイライラして、じれったそうに言った。
「ねえ、早く〜」
「そうだ、まだ時間にゆとりがあるから、常設展見ていかない?」
「やだ。疲れたから座りたい」
「あ、あそこに『すいれん』ってレストランがあるよ」
「うほうほ〜」
 疲れたときは、お茶を飲むのが一番だ。私も娘も、競うようにレストランに飛びこんだ。
「グレープフルーツ白ぶどうジュースにしよう」
 娘は、長い名前の飲み物を注文した。

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 この飲み物は、美術館らしい、個性的なデザインのタンブラーで運ばれてきた。ひと口飲ませてもらったが、グレープフルーツの苦みが、白ぶどうの甘さで中和されているような、飲みやすさであった。
「美味しい」
 休憩を挟むと、とたんに元気が出てくる。飲み終わったあとは、シャキッと立ち上がった。
 レジで、焼き菓子を見つけた。
 店名になっている、クロード・モネの「睡蓮」のパッケージに入ったマドレーヌやフィナンシェの詰め合わせと、パンダのサブレ―の二種類があった。
「パンダがいい。おばあちゃんも喜ぶよ」
 たしかに、義母にうけそうなのはパンダである。一箱買って帰った。

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「ああ疲れた」
 美術館から移動してランチ、制服のお直し、さらにはドコモショップに寄ってきたので、家に着いたのは夕方になっていた。
 ブーツを脱いで、娘は「あっ」と声を上げた。
「小指に水ぶくれができてる!」
 左足小指の爪の下あたりに、プクッと丸い膨らみができており、少々痛そうだ。
「もう〜、美術館で無駄に歩いたからだよ!」
 いやいや。
 さんざん絵にケチをつけた小娘の不幸に、天国のラファエロが「うほほほ」と笑ったような気がする……。

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